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  • 公開日:2019.01.25
  • 最終更新日: 2025.03.16
地域社会でサステナブルな変化を:仏コンサルタント
  • ディーン・ガルシア

「サステナブル・ブランド」コミュニティに属し、サステナブルなビジネスを展開する企業家への一連のインタビューの1つを取り上げる。「『グッド・ライフ』実現に向けての再構築」のために組織ができることについて、仏ユトピ社のエリザベス・ラヴィーユ チーフ・アントレプレナーに語ってもらう。聞き手は米ミネアポリス・カレッジ・オブ・アート&デザインの学生や卒業生だ。(翻訳=クローディアー真理)

Bコーポレーションであるユトピ社はフランス・パリを拠点にコンサルティングとシンクタンク業務を行う、欧州でもリーダー的存在の企業だ。社内の各階層にサステナビリティを取り入れようという企業を支援する。ラヴィーユ チーフ・アントレプレナーは、ビジネスは目的(パーパス)をもって運営されるべきであり、その目的は企業の組織構造に根差すべきものだという信条を持つ。

近年、ユトピ社は「シティX・ブランド」パートナーシップに力を入れて取り込んでいる。これは、企業が拠点を置く地域社会に重点的で前向きな影響を与える方法を模索する活動だ。

――何に着想を得て、コンサルタント会社としてユトピ社を立ち上げたのか。

エリザベス・ラヴィーユ(以下EL):当初に得たインスピレーションは、Bコーポレーションの活動とよく似ている。ブランドや企業は利益のためだけでなく目的のためにも運営できると私たちは信じ、ビジネス戦略にサステナビリティを組み込もうと、現在活動を3点に絞り込んで行っている。

1つは、サステナビリティとイノベーションの融合、2つ目は「ポジティブ・ブランド」フレームワークを通しての、ブランド・ポジショニングにおけるサステナビリティの統合、3つ目は製品の原料生産・製造・販売のどれを地域社会で行うのであっても、そこでのビジネスの影響を最大化することだ。

――昨年バンクーバーで行われたサステナブル・ブランド本会議のテーマは、「「グッド・ライフ」実現に向けての再構築(リデザイン)」だったが、あなたにとって「グッド・ライフ」とは何か。また「デザイン」はそこにおいてどのような役割を果たすか。

EL:サステナブルな開発を目指した都市設計を実践する建築士、ウィリアム・マクダナー氏が言うように、もし「デザイン」が人間の意図を表す最初のしるしだとすれば、デザインは「グッド・ライフ」に大いに関係している。

各人に「グッド・ライフ」を提供するためにデザインされた商品やサービス、活動によって、「グッド・ライフ」の構築が可能だからだ。ここにブランドの存在目的や、サステナビリティ、イノベーションがある。

――この点で消費や消費者に焦点を当てるのは、私たちの方向性が間違っているのか。

EL:「グッド・ライフ」を支えるのは必ずしも商業的・物質的なものとは限らない。家族間のつながりや文化、スポーツ、アウトドアアクティビティなどがそれに当たり、現代の過剰消費からの脱却手段ともなっている。

サステナブルな消費とは、私たちの文化やライフスタイルを根本的に変えることを意味する。環境負荷の低い製品に切り替える間、現在の消費レベルを維持するということではない。

過剰消費を幸せや社会的ステータスへの第一歩として捉えるのでなく、生活上物的価値と非物質的なものの価値のバランスをとることを再考すべきだ。「グッド・ライフ」とは、物品を購入する前に本当にこれは自分にとり必要なのかを自問するところから始まる。

――「シティX・ブランド」パートナーシップについて教えてほしい。

EL:私たちは「地域社会を優先すること」が、消費者、生産者、コーポレート・ガバナンスが求める新しいコンセプトと見ている。環境面をはじめとするサステナビリティの観点で、これは道理にかなっている。しかしその一方で移動性などの幾つかの側面からいえば、都市もサステナビリティの問題を解決する重要な場だ。

地域社会でも都市部でも実現可能で、よりサステナブルで新しいビジネス・モデルには2つのトレンドがある。1つは「サーキュラー・エコノミー(循環経済)」であり、もう1つは「シェアリング・エコノミー(共有経済)」だ。

軽んじてはいけないのは、都市にしろ地方にしろ、自治体が体系的な変化を実現するのにより良い位置にいるということだ。住人への教育、インフラや法整備を進めていくのに適役であり、ボトムアップ・アプローチもトップダウン・アプローチも行いやすい。

――地域社会でサステナブルな変化を推進する上での企業の役割とは何か。

EL:こうした企業は重要だが、ビジネス・モデルについてはさらに検討の余地がある。公益に関連した事柄の変化を企業が推進する場合、地域内のパートナーのエコシステムに沿って進める必要があるからだ。

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