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  • 公開日:2018.09.18
  • 最終更新日: 2025.03.16
脱プラスチックで、廃棄物量が30%増の可能性
  • トニー・キングスバリー

Image credit: ヘンリー・ヘミング/フリッカー

海洋汚染などの観点から、使い捨てレジ袋やストローなどのプラスチック製品の使用を中止する動きが、世界中で急速に進んでいる。そんな中、反対にプラスチックが持つ、環境面におけるメリットに注目する論文が発表されている。プラスチックは、エネルギー消費や資源量を抑え、都市廃棄物の重量軽減に貢献。地球温暖化の抑止にも役立っているという。(翻訳=クローディアー真理)

米国における都市廃棄物の種類と素材をシティ・カレッジ・オブ・ニューヨークの化学工学科が分析し、まとめた論文が、「ロール・オブ・プラスティックス・イン・デカップリング・ミュニシパル・ソリッド・ウェイスト・アンド・エコノミック・グローイング・イン・ザ・US」だ。

それによれば、より安価なプラスチック製品を買い求める消費者の傾向を受け、廃棄量の割合はプラスチックより、紙や金属、ガラスの方が少ない。加えて、紙や金属、ガラスの方がリサイクル率が高いため、プラスチック製品のマイナス面だけが際立つ。

しかし、研究者らは、もしプラスチックを使用しなければ、廃棄物は現在比で30%増加する可能性があると指摘する。プラスチックを従来の素材の代わりに用いることで、廃棄物の全体量は軽減され、原材料も少なくて済んでいる。

研究者らは、飲料の容器やレジ袋、フタなどの6つのカテゴリーにおいて、プラスチック素材を取り入れることが、環境負荷の抑制に役立っていると言う。製品の素材重量は約5000万キロ減、製造に必要なエネルギー量は80%減、地球温暖化への影響は130%減とすることを可能にしているそうだ。

英国の環境評価企業、トゥルーコストは、2016年の研究で、プラスチック導入以前に用いていた素材を、製品や包装に再び採用すると、環境コストは今の3.8倍に膨れ上がってしまうことを明らかにしている。

長所短所両方の面を鑑み、状況に応じてプラスチック製品を使用するかどうかを考えることが必要だ。使わなくて済むのであれば使わず、必要ならば、使用後リサイクルを徹底する。

利点もあるプラスチックの代替は慎重に選ぶ必要がある。重量が重く、プラスチックより資源効率性が落ちる素材を代わりに用いれば、エネルギー使用量は増加し、温室効果ガスも増え、気候変動を助長することになりかねない。

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