• 公開日:2018.08.29
シドニー中心部で大規模再開発、「環境先進地区」に
  • クローディアー真理

グリーン・スクエアは、シドニーのビジネス中心街へも、空港へも便利なロケーション
【©City of Sydney】

シドニーのビジネス中心街の近くで、環境負荷を減らした新街区「グリーン・スクエア」の再開発が進んでいる。東京ドーム約60個分のエリアにコミュニティ・アンド・カルチャー地区がすでに完成。2030年までに6万人規模の住宅、オフィス、公園、図書館などができる。豪州最大の雨水活用施設や太陽光発電、ライトレール(軽量軌道交通)や自転車専用道を備えた「環境先進地区」を目指す。(クローディアー真理)

グリーン・スクエアは、豪州のグリーンビルディング認証である、「グリーン・スター」認証取得コミュニティになることを目指して計画・建設が進められている。この取り組みには、2030年までに温室効果ガスを70%削減するという目標も含まれる。

スクエア内には、自然を満喫できる公園が多く用意されている。それはテニスコートが24面入る大きさのものも含め、40カ所以上に上る。

コミュニティ・アンド・カルチャー地区にある、ジョイントン・アベニュー・クリエイティブ・センター。旧看護士寮をモダンにアップグレードした
【©City of Sydney】

しかし、公園にはほかの役割もある。園内の地表を利用して雨水を採取するのだ。35ある公共施設の屋根からの雨水も加え、豪州最大の雨水活用施設でろ過・消毒後、貯蔵・再利用する。

再生水は、家庭でトイレや洗濯用、庭の植物用に用いられる。公衆トイレの水も同様だ。使われもせず、海に流れ込む、年間90万リットルにもおよぶ雨水を無駄にしないで使おうという取り組みだ。

グリーン・スクエアにある全公共施設に太陽光パネルを設置し、各建物間にはミニグリッドの送電網を構築する。こうすると、1つの建物の太陽光パネルで発電したエネルギーが、そこでの需要を上回ると、余剰分をほかの建物に回すことができる。

リサイクルセンターには蓄電池が供えられており、グリーン・スクエアで使い切れない電力は市内のほかのエリアに供給されるようになっている。

建物の建築方法や、構造、材料にも配慮が見られる。例えば、図書館は地下に設置され、夏は涼しく、冬は熱を逃さない。館内には中庭や天窓をしつらえ、極力自然光を取り入れる。リサイクルセンターの建造には、炭素放出を抑えた方法で製造された、特殊なコンクリートが用いられている。

市民広場の地下に図書館がある。グリーン・スクエアの中心ともいえるここにライトレールの駅もできる
©City of Sydney

グリーン・スクエアでは、移動手段として、公共交通機関や自転車の利用、徒歩を奨励している。それをよりよく浸透させるために、市内のどのエリアより多くの自転車専用道を設けるほか、電車を利用しやすいよう駅周辺の歩道の整備を行う。

2030年までに、6800~8600人が通勤する町に成長することが見込まれており、住人や通勤者が効率よく移動できるようライトレールの敷設が計画されている。ライトレールにアクセスしやすい環境づくりも始まっている。

今月初め、グリーン・スクエアで最も背が高い建物であるマンションがオープンし、居住者の入居が始まった。今年中には図書館や市民広場がオープンすることになっている。屋内外プールや競技場などについては2020年初旬の完成を目指す。さらに、子どもの遊び場などの設置も予定されている。

written by

クローディアー真理

ニュージーランド在住ジャーナリスト。環境、ソーシャル・ビジネス/イノベーションや起業を含めたビジネス、教育、テクノロジー、ボランティア、先住民マオリ、LGBTなどが得意かつ主な執筆分野。日本では約8年間にわたり、編集者として多くの海外取材をこなす。1998年にニュージーランドに移住。以後、地元日本語誌2誌の編集・制作などの職務を経て、現在に至る。Global Press所属。

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