• 公開日:2018.04.17
英スーパーのテスコ、世界規模でレジ袋削減を徹底へ

サカナのデザインの「アンフォーゲッタブル・バッグ」を使う買い物客。サカナの尾がバーコードになっている © Tesco Malaysia

世界10カ国で小売業を展開する英テスコは、世界規模でレジ袋などプラスチックごみの削減を強化する。4月3日、マレーシアで展開するスーパーで「インセンティブ付きエコバッグ」を導入すると発表した。エコバッグにはバーコードが付いており、それを使うと割引が受けられる。プラスチックごみは世界規模で深刻な問題になっており、同社は各国でさまざまなプラごみ削減の施策を展開している。(クローディアー真理)

テスコ・マレーシアが導入したインセンティブ付きエコバッグ、「アンフォーゲッタブル・バッグ」は、バーコードがバッグに付いており、それをレジで読み取ると、20セン(約6円)割引になる。1回の買い物でエコバッグ2つ分までの割引が受けられる。「アンフォーゲッタブル・バッグ」は耐久性に優れたプラスチック製で、価格は50セン(約14円)。現在クアラルンプールとジョホールバルの2都市にある店舗のうちの11店で購入・利用が可能だ。

マレーシアでは一人当たり年間約300もの使い捨てレジ袋を廃棄しているといわれている

バッグには3種類あり、各々カメ、クジラ、サカナが描かれている。使い捨てレジ袋をエコバッグに替えるだけで、バッグのモチーフとなっている、絶滅の危機に瀕する動物を助けることができることを顧客や周囲の人にアピールしようという狙いだ。

名称は、エコバッグを持っていながら、来店時に車の中に置き忘れる顧客が多いことから、忘れずに買い物をする時に持ってきてもらえるようにと名づけられた。

テスコ・マレーシアでは、今までも使い捨てレジ袋削減策が取られてきた。土曜日の買い物に使い捨てレジ袋を使わないよう奨励する「ノー・プラスチック・サタデー」キャンペーンや、エコバッグを持参し買い物をした場合には、ポイントカード「グリーン・クラブカード」にポイントが加算され、貯めると、買い物券をもらえるシステムなどだ。これらの策を助けとし、2011年から2017年の間に、使い捨てレジ袋の数を半減させることに成功。

より速く、多く減らすために「『アンフォーゲッタブル・バッグ』を導入し、年内に使い捨てレジ袋の数をさらに半減したい」とポール・リッチー テスコ・マレーシア最高経営責任者は意欲的だ。

タイ、英国、アイルランドでもレジ袋対策が進む

同じアジア地区で、特にプラスチックごみ削減に力を入れているのが、タイにあるテスコ・ロータスだ。2013年には、一部店舗でレジ袋を置かないようにしたり、2014年にはレジ袋の代わりに段ボール箱やエコバッグを奨励する、「セイ・ノー・トゥ・プラスチック」キャンペーンを実施したりしている。マレーシア同様、レジ袋を使わない顧客にはロイヤリティカードにポイントを加算する。昨年は、買った商品を入れるための布製バッグの貸し出しを実施した。

一方、本社のある英国のテスコでは、2015年10月に導入された、政府による大型小売店での1枚5ペンス(約8円)のレジ袋課金制度のおかげで、顧客が利用するレジ袋の数が約80%減となった。さらにそれを加速させるために、昨年8月から使い捨てレジ袋の販売を完全中止。代わりに94%がリサイクルプラスチック製という、10ペンス(約15円)のエコバッグ、「バッグス・フォー・ライフ」のみを置いている。

アイルランドでは、2002年に導入された政府によるレジ袋への課金制度が功を奏し、利用者が激減した。そのため、テスコ・アイルランドでは、2016年にレジ袋の販売を取りやめ、英国同様のエコバッグ「バッグス・フォー・ライフ」を採用している。ヨーロッパ地区にある、ほかの国のテスコは、EUの規制に沿う形で、使い捨てレジ袋の削減を進めている。

テスコ・マレーシアの「アンフォーゲッタブル・バッグ」の購入・利用は、6月1日からマレーシア国内の全店に拡大される計画だ。レジ袋削減に有効であることが確認されれば、アジア地区内のテスコすべてで取り入れることも検討するという。

4月22日のアースデイに先駆けて、導入が発表された「アンフォーゲッタブル・バッグ」。左がポール・リッチー テスコ・マレーシア最高経営責任者 © Tesco Malaysia

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