• 公開日:2018.04.12
  • 最終更新日: 2025.03.02
ダノンジャパン、製品の原材料を「自然派」に転換
  • 池田 真隆

ダノンジャパンのルイス・ファリア・エ・マイア社長

ダノンジャパンは4月12日、「ダノンビオ」や「プチダノン」など5つのヨーグルトブランドで、着色料、人工甘味料、人工香料を使用しないと発表した。同時に、全製品に関する原材料の原産国情報をウェブサイトに公開した。原材料の見直しを決めたのは、同社が行った消費者調査で製品の安全性を気にする声が高まったためで、同社社長は「グローバル企業として環境や生産者に配慮し、社会的インパクトを追求していく」と語っている。(オルタナS編集長=池田 真隆)

原材料を見直したブランドは、「ダノンビオ」「プチダノン」「ダノンヨーグルト」「ダノンオイコス」「ダノンデンシア」の5つ。4月中には出荷を完了し、店頭に販売される時期は5月中旬を予定。一部の製品はすでに販売している。

きっかけは「消費者の声」

同社では2年前から、部署横断型の「チームオネスト」を結成。消費者調査を実施し、「理想のヨーグルト」について探求してきた。調査の結果、消費者には3つのニーズがあることが分かった。それは、毎日食べても飽きない「おいしさ」、人工甘味料などを使わない「自然や健康へのこだわり」、ヨーグルト業界では先行事例が少ない「製品の裏側の可視化」――。

これらのニーズに応えるために、同社では3つの約束を全社員で取り決めた。一つは、全製品において、着色料、人工甘味料・香料を不使用にすること。二つ目は、原材料の原産国情報の公開。そして、栄養ニーズに応える製品開発の促進である。

同社のルイス・ファリア・エ・マイア社長は、「グローバル企業として、出荷したその先まで責任を持ち、利益だけでなく、環境や生産者にも配慮した社会的インパクトも追求していく」と話した。

自然派な素材を使うことで、コストが上がるが、卸売り価格は変えない。同社の松田実副社長は、改訂前に入っていた合成香料や着色料の量について、「微量」と回答。「よりこだわった選択をしてほしいという消費者の声に応えた」と強調した。

この取り組みにアドバイザーとして関わる古谷由紀子・サステナビリティ消費者会議代表は、「サイトを見るだけでなく、これを機に、原材料や製造過程、食品ロスや容器の環境への影響についても会社へ問い合わせてほしい」と述べた。

持続可能な社会の構築に向けた取り組みのため、「経営戦略に落とし込まないといけない」とし、「消費者とともに推進していきたい」と話した。

written by

池田 真隆(いけだ・まさたか)

株式会社オルタナ オルタナ編集部 オルタナS編集長

1989年東京都生まれ。立教大学文学部文芸思想学科卒業。大学3年から「オルタナS」に特派員・インターンとして参画する。その後、編集長に就任し現在に至る。オルタナSの編集及び執筆、管理全般を担当。企業やNPOなどとの共同企画などを担当している。 「オルタナ」は2007年に創刊したソーシャル・イノベーション・マガジン。主な取材対象は、企業の環境・CSR/CSV活動、第一次産業、自然エネルギー、ESG(環境・社会・ガバナンス)領域、ダイバーシティ、障がい者雇用、LGBTなど。編集長は森 摂(元日本経済新聞ロサンゼルス支局長)。季刊誌を全国の書店で発売するほか、オルタナ・オンライン、オルタナS(若者とソーシャルを結ぶウェブサイト)、CSRtoday(CSR担当者向けCSRサイト)などのウェブサイトを運営。サステナブル・ブランドジャパンのコンテンツ制作を行う。このほかCSR部員塾、CSR検定を運営。

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