• 公開日:2018.03.12
  • 最終更新日: 2025.03.02
第23回:押し寄せるZ世代の波(3)
  • 山岡 仁美

Photo by Annie Spratt

自然食品に力を入れる米国有名スーパー「ホールフーズ」で、人気のレモネード「Me & the Bees Lemonade」。砂糖ではなく、天然のはちみつを使ったレモネードは、健康意識の高い層の人気を集めています。その人気の鍵は、オーガニック性や健康志向だけではなく、自然生態系を守ることに寄与できるというソーシャルな面も大きいと言われています。

「Me & the Bees Lemonade」のCEOはミカイラ・アルマーさん。なんと13歳です。蜂に刺されたことで、蜂に興味を持ち、自然生態系のなかでのミツバチの重要性に気づいたことがレモネード製造販売を始めるきかっけになったとのことですが、ブランドミッションは「蜂を守ること」。顧客がレモネードを買うと、収益の一部がミツバチ保護に従事する団体に寄付されるビジネスモデルとなっています。

彼女は自身を社会起業家と、明確に位置づけており、ビジネスを通して自然を守ることを信条としています。自らが養蜂するほど、蜂への情熱を傾ける注目Z次世代起業家のひとりです。(Me & the Bees Lemonade : https://www.meandthebees.com/

2006年生まれのケリス・ロジャースさんは、わずか10歳にして自分のファッションTシャツブランド「Flexin’ In My Complexion」を起業しました。肌の色(人種)差別に反対するメッセージを太字であしらったビビッドな色のTシャツを販売しました。

彼女は、学校で肌の色を理由にいじめられたことをきっかけに、このTシャツブランドを立ち上げました。自分自身の経験から、自分と同じように肌の色や人種差別に悩む人々をファッションを通して勇気づけようと考え、それがTシャツブランドの立ち上げにつながったのです。

人種差別という社会問題に果敢に挑戦するロジャースさんのメッセージは力強く、彼女のツイートには3万リツイート、Facebookには8万いいねがつくなど、多くの共感を集めています。社会課題への高い意識だけでなく、旺盛な起業家精神を持ち合わせる注目のZ世代起業家です。(Flexin’ In My Complexion : https://www.flexininmycomplexion.com/

今年も、「サステナブルブランド国際会議・東京」を盛況の内、終えることができました。当方も、昨年に引き続き、ダイバーシティ/ワークライフバランスのセッションを担当するとともに、開催中は多くの方々とお会いすることができました。

その中には、Z世代の来場者との談話もあり、それは、とても興味深いものでした。

ある大学院生は、「社会に影響を与えたい」という熱い思いを持ち、環境、経済、教育、持続可能な開発等に興味をもった人々(若者と思うなら誰でも)が、企業、行政、NGO等と協働していくことを目指し、有志の団体を立ち上げている。

ある女子大学生は、「未来への先導を果たす新事業を世界へ創出する」とし、インキュベーション活動に関わっている。

そして、二人とも、当然のように、即時にSNSを通じて、当方にコンタクト。つまり、SNS上の友達になったのです。

ミカイラやケリスのような次世代起業家とは違っても、日本のZ世代にも、高いソーシャル意識と行動力が育まれています。彼らに未来をつなぐ活動が、私たち大人の役割であるとあらためて再認識する機会となりました。

written by

山岡 仁美(やまおか・ひとみ)

グロウス・カンパニー+ 代表取締役

航空会社勤務を経て、人材派遣会社の研修企画担当に。その後、人材育成への意欲から、大手メーカー系列のコンサルティング会社に移り、人材育成に関する開発・販促・広報などのマネジャー職から企業研修部門の統括部長までを務める。1000社ほどのコンサルに携わった後、独立。ビジネスフィールドの豊富なキャリアで様々な人材や組織づくりと関わり続け、自身の出産・育児との両立での管理職・起業などの経験から、多様性を活かす着眼点が持ち味である。 コンサルタント、研修講師、講演と多方面で活躍中。そのテーマは「課題解決」「リーダーシップ」「アサーション」「ネゴシエーション」「キャリアデザイン」「ダイバーシティ」「リスクマネジメント」など幅広い。

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