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高すぎる返礼品に対して批判が止まらない「ふるさと納税」だが、返礼品に頼らなくても51億円を集めた事例が注目されている。ウェブ上でのふるさと納税の募集サービス「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンク(東京・目黒)が始めた。寄付の使途を明確にした社会貢献プロジェクトを前面に押し出し、返礼品ではなく社会貢献内容によって寄付先を選ぶことができる。(オルタナ編集部=沖本啓一)
ウェブ上でのふるさと納税の募集サービス「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンク(東京・目黒)は「地方に『ヒト』『モノ』『お金』『情報』を循環させ、地域が自立自走できるようになること」を目指している。
同社は、他社の同様のサービスとは一線を画す「ガバメントクラウドファンディング」を行っている。寄付の使途を明確にした社会貢献プロジェクトを前面に押し出し、返礼品ではなくプロジェクト内容によって寄付者が寄付先を選ぶことができるサービスだ。
例えば、東京都文京区とNPO法人フローレンスなど6団体が協働で子どもの貧困問題の解決を目指す「こども宅食」プロジェクトでは、募集期間165日のうち42日を残して、目標金額2000万円に対して2倍近い3946万円が寄付されている。このプロジェクトには返礼品がない。
2013年にサービスを開始してから、2017年11月時点で183件のプロジェクトが公開された。寄付金の流通金額は累計約22億円にのぼり、災害時の地域支援のために臨時に公開する「災害支援プロジェクト」の流通金額の約29億円を合わせると、これまでに約51億円がふるさと納税を通じて社会貢献活動に寄附されたことになる。ふるさと納税全体の規模から見れば極一部だが、自治体に委託され、あるいは協働するNPOにとっては無視できない金額だ。
トラストバンクのガバメントクラウドファンディング/災害支援チームのグループリーダー・浪越達夫氏は、「ふるさと納税は、使途が明確な納税という形を取っているので寄付の敷居が低い。『私にも社会貢献ができる』と思ってもらえる。お礼の品を全否定するわけではないが、地域にお金が循環しないようなお礼の品では意味がない。私たちのサービスで、昨今の『お礼の品至上主義』というふるさと納税の風潮を払拭したい」と力を込めた。
沖本 啓一(おきもと・けいいち)
オルタナ編集部 編集局
好きな食べ物は鯖の味噌煮。