• 公開日:2017.10.30
英名門FC、スポンサーの環境破壊疑惑で波紋呼ぶ
    • Nithin Coca

    Image credit: Liverpool FC

    イングランドプロサッカーリーグ加盟のリバプールFCが、チベット・ウォーター・リソーセズ社(本社・香港)とスポンサー契約を結んだことが、人権擁護団体、環境保護団体だけでなく、ファンにも波紋を呼んでいる。同社は、チベットを源とする水を利用し、利益を上げる一方で、チベット人にはほとんど見返りを与えることなく、むしろ環境破壊をもたらしていると指摘されている中国企業だ。(翻訳:クローディアー真理)

    チベット支援団体、チベット・ソサエティのグロリア・モンゴメリー権利擁護責任者は、「今回の契約は、チベットが抱える問題の核心を私たちに突きつけている」と語り、環境・倫理面で、チベットが中国から不当な扱いを受けていることを指摘する。

    チベットの山岳地帯にある氷河から流れ出す水は、南アジアや東南アジアの複数の大河にも流れ込む、貴重な天然資源。その水をボトル詰めして販売するなどの水資源開発を行えば水量が減り、周辺に悪影響が出る恐れがある。

    一方、中国占領下のチベットでは、僧院や寺院の破壊、チベット語使用の制限、行動の自由の剥奪、不当な拘置や拷問などが行われている。長年にわたって繰り返される人権侵害行為は国際社会でも周知の事実だ。

    米『フォーブス』誌によれば、14億9000万米ドル(約1700億円)の価値があるといわれる同FC。人気スポーツチームが持つイメージの社会的影響力は大きい。特に2016年に人権尊重を表明しているだけに、「リバプールFCがチベット・ウォーター・リソーセズ社とスポンサー契約を結ぶことで、世界中の人々に『同社の企業活動は合法的』という間違ったメッセージを伝えることになる」と、企業の社会責任を問う活動を行うサムオブアスのソンジャ・グプタ広報担当者は懸念する。

    サムオブアス、チベット・ソサエティ、自治権獲得を目指す組織であるフリーチベットなどの団体はリバプールFCに対し、本契約の破棄を求めており、請願書には4万人もの署名が集まっている。ファンも憂慮しており、これら団体やリバプールFCに問い合わせを入れている。しかし現在のところ、契約反対の動きに同FCからの反応はない。

    スポーツ界ではブランドのイメージがものをいう。もしサステナビリティを追求する企業を目指すのであれば、パートナーシップを組む際には、同じ志を持つ企業を選ばなくてならない。リバプールFCのように、間違った相手を選べば、そのイメージは致命的なダメージを被ることになるだろう。

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