![]() オークションの運営を任されたオークションコーズのエリック・ゲイズン社長(写真右)
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今年4月、老舗オンラインオークションサイト「eBay(イーベイ)」で、「ファーストアップルオークション」が行われた。目玉のアップル初代コンピューター「Apple-1」の最終落札額は23万6千ドル(約2800万円)。売上の一部は、「ALS(筋萎縮性側索硬化症)」の啓発活動や研究費用に寄付されるという。(寺町幸枝)
このオークションを手掛けたのは、米ロサンゼルスでオンラインチャリティーオークションのマーケティングを行うオークションコーズだ。
売り手は、作家のボブ・ルーサー氏。今回イーベイを通じて、Apple-1やほかのアップルのコレクターズアイテムを出品することにしたのは、友人が苦しむALSの研究費に売上の一部(10%)を寄付するためだという。
ルーサー氏は、「今回エリック・ゲイズンが率いるオークションコーズに、ネットオークション全てを任せることにしたのは、何よりも取り扱うものが貴重で、高額なものだったからだ」と言う。
「実際に商品を手に入れようとする真剣な入札者を選別し、オークションそのものの質を保つことは素人には難しい。関連商品を合わせると、今回のオークションは200点に及び、オークションの状況を逐一確認したり、商品を米国内や海外へ発送するためには、プロの手が必要だと感じた」と続ける。
![]() ネットオークションに出品されたアップルのコレクターズアイテム
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NPOの認知度向上にも
オークションコーズは、このアップルオークションに限らず、これまで「eBayオークションのエキスパート」として、多くのセレブリティーや財団のチャリティーオークションのプロモーションにかかわってきた。
生まれも育ちもロサンゼルスというオークションコーズの創業者ゲイズン氏のネットワークを最大限に生かし、ハリウッドでも大手のブッキングエージェンシーと組み、有名セレブたちの協力を得て、様々なNPOの認知度アップや資金集めに携わってきた。
5月には、米女性誌「エル・マガジン」の女性ミュージシャンサポートプログラムの一環として、「エル・ウーマン・イン・ミュージック」を手がけ、アラニス・モリセットをはじめ、有名女性ミュージシャンのサイン入りギターやヘッドフォンなどをオークションに出品した。その収益は全て、若手音楽家をサポートする「グラミーファンデーション」に寄付された。
数千万がクリック一つでやりとりされるネットオークション。失敗と成功は紙一重で、プロの手腕の見せ所でもある。国を超えて商品やサービスがやり取りできる分、繊細なコミュニケーションが求められる世界で、オークションコーズは秀でたサービスを提供する数少ない専門機関だといえよう。
寺町 幸枝(てらまち・ゆきえ)
Funtrapの名で、2005年よりロサンゼルスにて取材執筆やコーディネート活動をした後2013年に帰国。現在国内はもとより、米国、台湾についての情報を発信中。昨年より蔦屋書店のT-SITE LIFESTYLE MAGAZINEをはじめ、カルチャー媒体で定期出稿している。またオルタナ本誌では、創刊号以来主に「世界のソーシャルビジネス」の米国編の執筆を担当。得意分野は主にソーシャルビジネス、ファッション、食文化、カルチャー全般。慶應義塾大学卒。Global Press理事。