• 公開日:2017.03.22
NZのビール会社が空き瓶のガラスで「代用海砂」
    • クローディアー真理

    空き瓶を投入口に入れると代用砂ができる、DBエキスポート・ビアボトル・サンド・マシン。消費者に沿岸環境保護の大切さを理解してもらう目的で作られ、国内を巡回している

    ニュージーランドの大手ビールメーカー、DBブリューワリーズ(本社オークランド)は2月下旬、海岸浸食対策として、空き瓶のガラスをリサイクル利用した砂を開発したと発表した。建設業で使う海砂の採取を減らすことが目的。世界の海岸部の3分の2では過度な海砂の利用で海岸浸食が起こり、生態系破壊や自然災害の拡大を引き起こすとされている。(クローディアー真理)

    BDブリューワリーズが海砂の代わりにと、ビールの空き瓶を用いて作り出した砂が「DBエキスポート・ビアボトル・サンド」。空き瓶1本で約200グラムの砂ができる。2タイプあり、1つは、ガラスを1粒0.4から1.1ミリにまで粉砕し、砂にした。ゴルフ場のバンカー、パイプ敷設時の敷き込み、競技場の芝生造成などに活用することができる。

    もう1つは、コンクリートに配合するのに適した代用砂だ。空練りコンクリートの製造・販売を手がける国内大手企業の協力のもと、現在も開発が続けられている。2、3ヵ月中に、このサステナブルなコンクリートは市場に出荷される予定だ。

    海砂は枯渇性資源だが、道路工事、建物の建設、日曜大工など、広い用途に用いることができる、便利な資材だ。海岸部での採取が進むと、海岸浸食を引き起こし、多くの環境問題を誘発する。海岸砂丘や湿地は消滅し、水生生物や鳥類などの野生動物や、海浜植物が生育場所を追われ、生態系は崩壊。津波や悪天候が内陸部へもたらす被害は拡大化する。

    同社のショーン・オドネルマーケティング部長は「DBエキスポート・ビアボトル・サンドは、私たちニュージーランド人の暮らしの一部ともなっている美しいビーチの環境を守り、次世代に引き継いでいくためのイニシアチブ」と話す。

    イニシアチブには、リサイクルされずゴミ処理場に廃棄される、国内で年間6万トンにも及ぶガラスを、少しでも減らそうという意図がある。

    written by

    クローディアー真理

    ニュージーランド在住ジャーナリスト。環境、ソーシャル・ビジネス/イノベーションや起業を含めたビジネス、教育、テクノロジー、ボランティア、先住民マオリ、LGBTなどが得意かつ主な執筆分野。日本では約8年間にわたり、編集者として多くの海外取材をこなす。1998年にニュージーランドに移住。以後、地元日本語誌2誌の編集・制作などの職務を経て、現在に至る。Global Press所属。

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