• 公開日:2017.03.03
「日本でいちばん大切にしたい会社」、今年はTOTO
    • 辻 陽一郎

    評価理由を説明する審査委員長の坂本光司・法政大学大学院教授

    人を大切にする経営学会は27日、「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」を発表した。経済産業大臣賞はTOTO、厚生労働大臣賞は学校法人として初めて、柿の実学園を選んだ。同賞は過去5年以上「リストラをしていないこと」や、「法定雇用率以上の障がい者雇用」など厳しい基準で知られる。(辻 陽一郎)

    審査委員長の坂本光司・法政大学大学院教授はTOTOの受賞理由を「過去5年に渡り、結婚や出産などを除いた転職的辞職が実質0%であることが見事」と評した。

    障がいのある社員304名の内、半数が重度障がい者である点や、希望する3名以外正社員として雇用している点も、障がい者へ働く幸せを提供しているとして評価した。

    柿の実学園は1600名ほどの園児の内、約300名が障がい者。重度の障がい者を優先的に入園させている。「20カ所ほどで入園を断られたという園児も入園している。こういった会社は社会に知らしめるべきだ」と坂本教授は強調した。従業員には、65歳以上の人も10名弱いて、高齢者もはつらつと働ける環境があるという。

    中小企業庁長官賞に選ばれたパイプ加工専門メーカーのコーケンは、66歳以上の高齢者雇用率が16.7%、障がい者雇用率が4.87%と高い。実行委員長賞の新日本製薬は、社員教育訓練に5%以上の時間を充てている点などが、社員が成長できる会社として評価のポイントとなった。

    坂本教授は「経営の目的は人を幸せにすること。障がい者の仕事がないなら作ればいい。業績を伸ばすためにではなく、経営者は何が正しいか正しくないかで判断しなくてはいけない」と語った。

    今回の表彰では、主要な2つの賞を含め6賞に対して17の企業・団体が決定した。その他の受賞企業・団体は次の通り。

    審査委員会特別賞:
    株式会社アポロガス、三和建設株式会社、スズキ機工株式会社、ゾーホージャパン株式会社、有限会社ツマガリ、株式会社特殊衣料、株式会社ネオレックス、武州工業株式会社、株式会社ベル

    実行委員会特別賞:
    株式会社ウェルテクノス、株式会社ツバサ・翼学院グループ、社会法人実誠会なるみ園、社会福祉法人太陽会

    written by

    辻 陽一郎 (つじ・よういちろう)

    オルタナ特約記者、NPO新聞代表。フリーライターとして、NPO・NGOやボランティア、ソーシャルベンチャー、企業のCSRなどを中心に取材。

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