• 公開日:2016.12.06
米パタゴニア、1日分の売り上げ「全額」を寄付へ
    • 寺町 幸枝

    パタゴニアは、ブラックフライデーの売上高全額を環境団体へ寄付する (C)Andrew Hyde

    アウトドアアパレルメーカーのパタゴニアは、米国でクリスマス商戦の初日と位置付けられる「ブラックフライデー」(今年は11月25日)の売上高の全額を環境団体へ寄付すると発表した。店頭とオンラインを合わせて200万ドル(約2億円)の寄付を見込む。環境関連のニュースメディア「Treehugger」の取材によれば、「温暖化対策に後ろ向きなトランプ氏が大統領選で当選し、新政権の環境対策への危機感が募った」(シーヒー環境担当副社長)ことが背景という。

    ブラックフライデーは、米国小売店にとって、1年で最も売り上げが見込める日だ。パタゴニアは創設以来、環境問題に草の根的な活動を行うNPOやNGOへ、売り上げの1%を寄付してきており、同社のプレスリリースによると、その総額は7400万ドル(約82億円)に上る。

    環境問題に対して後ろ向きは新政権発足を前にして、今回、急遽発表したブラックフライデーの売り上げ全額を寄付することにしたことは、長年前向きに化石燃料使用問題や、地球温暖化への対策支援を行ってきたパタゴニア流の強い意思表示となった。

    パタゴニアのローズ・マルカリオ社長は「パタゴニアでは、私たちが愛するものを守るための決意をさらに強め、深めていきます。私たちは勝利のためにあらゆる手段を使い、国のために、地球のために、私たちの声を必要とする野生の場所と生物のために、さらに懸命に、効果的に戦います」と宣言。米国のみならず、世界中のパタゴニア直営店及びオンラインでの売り上げ全額を寄付すると断言した。

    寄付団体についての詳細は未発表だが、「未来の世代のために、空気、水、土を守るために草の根的な活動を行っている複数の組織」としており、同社が長年進める「1%フォー・ザ・プラネット」に加盟する組織に寄付される。なお、このプロジェクトには、現在40カ国以上、1,200の企業及びNPOが加盟している。

    written by

    寺町 幸枝(てらまち・ゆきえ)

    Funtrapの名で、2005年よりロサンゼルスにて取材執筆やコーディネート活動をした後2013年に帰国。現在国内はもとより、米国、台湾についての情報を発信中。昨年より蔦屋書店のT-SITE LIFESTYLE MAGAZINEをはじめ、カルチャー媒体で定期出稿している。またオルタナ本誌では、創刊号以来主に「世界のソーシャルビジネス」の米国編の執筆を担当。得意分野は主にソーシャルビジネス、ファッション、食文化、カルチャー全般。慶應義塾大学卒。Global Press理事。

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