![]() 学習誌「みっけ」を手に取るタイの子どもたち
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朝日新聞社と博報堂は9月20日、タイで小学生向けの無料の学習誌を創刊した。バンコクの小学校を中心に10万部を配布する。タイの学校では読書習慣が根付かないといった教育手法に課題があると指摘されており、同学習誌では日本独自のキャラクターやイラストを使用し、楽しみながら学習に興味を持てる内容とした。
学習誌の内容はタイの大手出版社アマリン社と協力し、子どもたちへのヒアリングを行いながら制作した。掲載する科目は子どもたちが様々な教科に興味をもつように、基本科目の理科や算数、社会だけでなく、料理やスポーツなども扱う。朝日新聞が発行する小学生向けの新聞で掲載したコンテンツも取り入れている。
同学習誌はまず132校の小学校高学年の子どもたちを対象に無料配布する。今後もアマリン社と内容に改善を加えながら、隔月で発行していく予定だ。
朝日新聞社の榎本淳氏は「日本の教育システムの特徴である知識吸収を活性化させる教材の要素を取り入れた」と言う。文字が多い教科書では子どもたちの関心が広がらないため、算数を学ぶ手法にマンガの要素を取り入れたり、忍者のキャラクターを登場させたりすることで子どもの興味を誘う内容とした。
9月1日にはバンコク市内で「日タイ教育フォーラム」を開催した。学習誌を配布する小学校の先生150人を対象にして、学習誌の説明や日本式教育の特徴について伝えた。今後は学習誌の発行に加えて、学校への出張授業や体験教室も行っていく予定だ。
written by
辻 陽一郎 (つじ・よういちろう)
オルタナ特約記者、NPO新聞代表。フリーライターとして、NPO・NGOやボランティア、ソーシャルベンチャー、企業のCSRなどを中心に取材。