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ザ・ボディショップは40周年を迎え、「Enrich Not Exploit(搾取することなく、より良く、より豊かに)」と名付けられた宣言に取り組む Image credit: The Body Shop
40周年を迎えたザ・ボディショップは2016年2月、同社の全事業にグローバルCSR戦略を適用すると発表した。エシカルビジネスの分野において、これまで通りグローバル化粧品ブランドの先駆けであり続け、次のステップの目標を明確にすることを決めた。(翻訳・編集:オルタナ編集部=小松遥香)
「Enrich Not Exploit(搾取することなく、より良く、より豊かに)」と名付けられた宣言はグローバルな取り組みであり、同社の全部門が2020年までに目指す目標を掲げたものだ。
次の成長を求めて
ジェレミー・シュワーツ最高経営責任者兼会長はこう語る。
「『搾取』という言葉を宣言のタイトルに使うには勇気が必要だった。難しい挑戦であり、詳細に公表することになる。だが私たちは、今回発表したことを必ず実行していく。世界で一番エシカルでサステナブルな企業になる。誰も到達していない目標を達成するのだ」
「他の企業はダメージを減らすことを考えるだろうが、ザ・ボディショップは地球を豊かにするには何が必要か、そのためにどうすればいいのかを考えている。他とは全く異なる、これまでにないアプローチだ」
これまでの同社の取り組みを振り返り、
「ザ・ボディショップは企業として新たな考え方を提唱し、行動し、提言してきた。時代を先取りし、動物実験や人身売買の法律も変えてきた。フェアトレードを導入したのも業界では最初で、今なお最も厳しい基準で調達をしている。地球という大きな視点で見れば、小さな取り組みだが、どこよりも取り組んでいる」と続けた。
「本当のサステナブルとは、自然界のシステムに合わせた経営をすることだ。そうすれば自然はおのずと環境を補完し調整する。私たちはこれまでの取り組みをさらに超えるためにチャレンジをしていく。本物であり、サステナブルで、ポジティブなワンステップ上の変化を生み出す」
同社はNPOのFuture Fit Foundationと共同で7つの長期的なサステナビリティ目標を設定した。
ザ・ボディショップのクリス・デイビス国際CSR・キャンペーンディレクターは、「未来に期待を込め、わくわくし、効果をきちんと測定できる目標を設定した。企業として成長し、繁栄しながらも、豊かな地球を目指す新たな方法を見つけ出す段階にいる」と話した。
「まず私たちのビジネスがどう地球上の生命の存続に貢献しているかを知り、将来を考え、サステナブルな未来のために何をすべきかを理解していく。そして必然的に、何ができるかを考えていかなければならない。目標を達成するために必要なイノベーションと変化を起こすために、これまでと同様にサプライヤーやNGO、学会、政府機関や他企業と協働する」
真のリーディングカンパニーとして
![]() Image credit: The Body Shop
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Future Fit Foundationの創設者の一人であるケンダル氏は、「ボディショップと協働する楽しみは何といっても、クリス率いるチーム全体が業界を単にリードしていくことと、本物のリーダーになることの違いを明確に理解していることだ」と話す。
「業界トップでいるために、ライバルや去年の業績と比べて良い結果を出すことはそう難しいことではない。しかし社会が直面する課題の規模や複雑さを考えると、『悪くはない』という基準は不十分だ。ここでいう真のリーダーシップは、地球上の生命が永続的に繁栄できる可能性を守りながら、価値のあるビジネスを行っていくことだ」と付け加えた。
ケンダル氏は「これはユートピア的発想でも何でもなく、サステナブルな未来を築くためにどの企業も最低限しなければならないことだ。Future Fitness(未来に則している)とはまさにそういうことを意味する。そういう企業が他にあるかと言えば、どこにもない」と言い切る。
宣言には、「関わるすべての人々を、より豊かに」、「製品をより豊かに」、「地球をより豊かに」という3本柱がある。この基本概念のもと、同社は企業として2020年までに目標を達成するために14項目の詳細目標を設定した。
ボディショップの取り組みは、親会社であるロレアルにも影響を与え、サステナビリティだけでなく調達においても飛躍的な進歩を及ぼした。ボディショップの「Enrich Not Exploit」宣言は、ロレアルの厳格なサステナビリティの枠組み「Sharing Beauty with All(すべての人と美を共有する)」に大きく寄与している。
シュワーツ最高経営責任者兼会長は語る。
「ボディショップは、地球や生命に貢献しながら、同時に利益を生み出せる企業となる。創設者アニータ・ロディックが40年前、当時の社会やビジネスの課題に正面から取り組んだように、私たちも今日の課題に取り組んでいく」
「この『Enrich Not Exploit』宣言を新しい世代の消費者やサポーター、特に企業の活動に目を配っているミレニアル世代がわくわくするようなものになればいいと考えている。ボディショップが真の意味でのリーダーになっていくためには、私たちが今回掲げた目標を広めていくことが必要だ」