• 公開日:2016.05.02
H&M、持続可能な素材使用率が3年で倍増
    • 辻 陽一郎

    H&M(本社スウェーデン)は4月末、製品の素材のうち「サステナブル(持続可能)」な素材が占める割合が3年前の2倍強に当たる20%に達したと発表した。同社は、2011年、7つのコミットメントを打ち出し、素材の100%をサステナブルなものにすることが目標だ。今後もオーガニックコットンやペットボトルのリサイクル素材などの使用量を増やしていく。

    H&Mは、価格の安さから短いサイクルで服を消費するファストファッションとしてのイメージが強い。しかし、同社は、地球環境に配慮した最先端の取り組みを実施している。

    その一環で、同社は2011年、すべての製品素材をオーガニックコットンやリサイクルプラスチックなどの、サステナブルなものにする方針を打ち出した。5年目に当たる2015年の「サステイナビリティ・レポート」では、衣服に使用する素材のうち、20%についてサステナブルな素材に切り替えたと発表した。

    H&Mは、数ある素材の中でもコットンを最も多く使用している。しかし、コットンを栽培するには、大量の水が消費される。ジーンズ一本に使われるコットンを栽培するには、約8.5リットルの水が必要となる。サステナブルなファッションを目指す上で、水使用量の削減は重要な課題だ。

    そこで、水の消費量が少ないオーガニックコットンやリサイクルコットンなどへの転換を進めている。2020年までに、すべてのコットンをサステナブルにする目標を掲げ、2015年は約31.4%達成した。

    コットン以外では、ペットボトルのリサイクル素材や、ユーカリなどの木が原料で、水や農薬をほとんど必要としないリヨセルという素材を様々なアイテムに使用している。

    同社の工藤真希広報担当は、「日本のユーザーは、持続可能性への理解は高いものの、実際どうやって行動につなげたらいいのか迷っている傾向がある」と言う。H&Mの店舗では、環境に配慮した商品を選びやすいように、商品にグリーンのタグを付けている。

    written by

    辻 陽一郎 (つじ・よういちろう)

    オルタナ特約記者、NPO新聞代表。フリーライターとして、NPO・NGOやボランティア、ソーシャルベンチャー、企業のCSRなどを中心に取材。

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