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「人的資本の好循環」を生み出す街に! 『日本橋サステナブルサミット2022』レポート

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一般社団法人日本橋室町エリアマネジメント

一般社団法人日本橋室町エリアマネジメントとサステナブルブランド・ジャパンは、11月28日、『日本橋サステナブルサミット2022』を東京・日本橋で開催した。テーマは「人的資本の好循環」。日本橋にオフィスを構える企業のビジネスパーソンや、地方で活動するイノベーターらが集まり、食・教育・働き方・エネルギーの4つのテーマについて議論を展開した。プログラムには登壇者と参加者が交流できる場を設け、人的資本の共創を後押し。まさにテーマである人的資本の好循環が目の前で起こっていた。(いからしひろき)

日本橋は江戸時代より、全国から人が集まり、新たなビジネスが生み出されてきた場所だ。単に地域と都市をつなぐだけでなく、人々がもたらす新しい知見や技術、ビジョンといった人的資本を循環させ、地域同士の交流や異業種間での共創を促す「日本のハブ」の役割を担ってきた。

そんな日本橋で、三井不動産と日本橋室町エリアマネジメントが毎秋「日本橋サステナブルWeek」を開催し、持続可能なまちづくりと情報発信を行ってきた。2021年には日本橋企業各社のSDGsの取り組みの発信と、共創コミュニティを創出する出会いの提供を目的に『日本橋サステナブルサミット2021』を開催。


2022年の会場は昨年同様、コレド室町テラス内の室町三井ホール&カンファレンス、および、野村コンファレンスプラザ日本橋とし、それぞれ働き方とエネルギーのセッション、食と教育のセッションが行われた。

黒田氏

室町三井ホールで開幕の挨拶に立った、主催である日本橋室町エリアマネジメント黒田誠事務局長は「日本橋という地域の中だけでなく、外を向いていくことも大事にしたい。今回のテーマは『人的資本の好循環』。それを推進している人の話を伺い、実際に交流して関係性を深めて欲しい」と述べた。

働き方セッション「ニューノーマル時代に広がる働き方」
株式会社SANU ファウンダー・ブランドディレクター 本間貴裕氏
株式会社Staple 代表取締役 岡雄大氏
モデレーター: サステナブル・ブランド国際会議 D&Iプロデューサー
株式会社グロウス・カンパニー・プラス 代表取締役 山岡仁美
@室町三井ホール

本間氏
岡氏
山岡氏

室町三井ホールでの最初のセッションは、同世代の若い二人の起業家をパネラーに迎えて行われた。SANUの本間貴裕氏は、事業として「セカンドホーム」を展開。いわゆる別荘ではなく、オフィスや住民票のある自宅とは別のサードプレイスとしての、もう一つのわが家がコンセプトだ。またサブスクリプションという形で、自然と共生できる環境を提供し、一人ひとりのパフォーマンスを向上させ、組織や社会の力にしていくという狙いがある。

Stapleの岡雄大氏は、自らをソフトウェアデベロッパーと名乗る。ハードではなくソフト、つまり人を中心に街を作っていこうという発想で、日本橋と広島県の瀬戸田をつなぎ、2拠点でいかに自分らしい生き方を実現できるか、そしてそれぞれの地域の繁栄に貢献していけるか、に取り組んでいる。

岡氏は「エリアをむやみに広げるのではなく、あえて半径20分以内圏にとどめ、奥行きや高さをもたらせるような生き方をしていくことによって、その地域に貢献し、地域が持っている文化や伝統、産業と共創しながら自らの力を発揮できる」と話した。さらに大手企業を巻き込んだ壮大な計画に、会場の参加者は興味深そうに聞き入っていた。

働き方セッション「働く人の思考・行動・成果をつくる オフィス」
株式会社オリバー 営業統括本部 WPS開発部 部長 魚返浩司氏
三井不動産ビルマネジメント株式会社 営業推進部 主査  井岡悟氏
モデレーター: サステナブル・ブランド国際会議 D&Iプロデューサー
株式会社グロウス・カンパニー・プラス 代表取締役  山岡仁美
@室町三井ホール

井岡氏
魚返氏

続けて行われた2つめのセッションのテーマは「オフィス」。オフィスがそこで働く人の思考にどのような影響を与え、どのような成果につながるのかについて語られた。

三井不動産ビルマネジメントの井岡氏は、デザイン性やオフィスを変革していくことの重要性について語った。オリバーの魚返氏は、オフィスの固定観念に縛られず、大胆にグリーンを取り込むなど、その会社にあったオフィスの課題解決をしている。

両者の話で共通するのは自然との共生だ。ただの無機質な空間ではなく、グリーンを取り入れたり、光や音、温度など、単に動線やレイアウト、デザインだけでなく、過ごしやすさまでアプローチすることで、そこで働く人たちのエンゲージメントが高まったり、ウェルビーイング度が高まる効果があるという。

食セッション「食資源と食文化の両立」
ネッツフォレスト陸上養殖株式会社 代表取締役 貴田剛氏
フレンチレストラン「La paix/ラペ」 シェフ  松本一平氏
モデレーター: 一般社団法人 日本サステイナブル・レストラン協会 代表理事 下田屋毅氏
@野村コンファレンスプラザ

松本氏
貴田氏

もう一つの会場である野村コンファレンスプラザでは、まず「食資源と食文化の両立」について議論された。

日本橋に店舗を持つ松本シェフは、食のサステナビリティに取り組んでおり、生産者を訪ね、具体的にどのような課題を抱えているのかを聞きながら、無農薬の野菜や果物を積極的に使うなど、料理を通して課題解決に貢献している。また、生産者のストーリーを客に伝えることにも力を入れている。

NECネッツエスアイの子会社であるネッツフォレスト陸上養殖の貴田氏は、海や湖など天然の養殖場ではなく、地下水などを循環させた養殖場を建設し、養殖事業に取り組んでいる。陸上養殖は、環境汚染など外部環境に影響されにくく、安定的に安全な魚資源を市場にできる食糧自給に有効な手段といわれている。そうした管理を担っているのが最先端のIoTやICTの技術であり、IT企業のユニークな活動の事例として紹介された。

食セッション「食の六次産業化」
ちばぎん商店株式会社 代表取締役 小野雅康氏
株式会社せとのわ 代表取締役 小林靖典氏
モデレーター: 一般社団法人 日本サステイナブル・レストラン協会 代表理事 下田屋毅氏
@野村コンファレンスプラザ

小林氏
小野氏

引き続き行われた2つめの食セッションでは、「食の六次産業化」について議論された。六次産業とは、農林水産業の一次産業、加工の二次産業、サービス販売の三次産業、それぞれをかけ合わせた取り組みのことで、全ての数字を掛け算すると6になることからこう呼ばれている。

その六次産業を後押しするのがちばぎん商店の小野氏とせとのわの小林氏だ。ちばぎん商店は千葉銀行、せとのわは中国銀行と、それぞれ地方銀行をベースに立ち上げられた企業であり、地方銀行ならではの地域ネットワークを活用している。

ちばぎん商店は2021年5月、地域の優れた商品・サービスの販路開拓、マーケティング支援を通じて、地域内での経済循環システムを構築することを目的に設立。具体的には、生産者と加工業者などをマッチングし、数多くの六次産業化した商品の開発を支援し、これまで130以上のプロジェクトをクラウドファンディングで実施している。

せとのわは2020年11月、地域事業者の持つ食品・工芸品・工業製品といった地域資源を発掘し、地域内外への情報発信や販売を通じた売上向上支援を行うことを目的に設立した。マーケティング戦略立案や、企画開発、販路開拓など、幅広い支援を行うことで、地域の食の六次産業化を後押し。これまでに200件の相談が寄せられている。

どちらもコロナ禍の真っ只中に設立されたが、SNSやクラウドファンディングなどのITツールを活用しながら、立ち止まることなく地方創生を牽引していることに大きな意義があるだろう。

エネルギーセッション「脱炭素が地域社会に与えるインパクト」
岡山県西粟倉村 地方創生特任参事 上山隆浩氏
株式会社中国銀行 ソリューション営業部 調査役 / Cキューブ・コンサルティング 業務部 堀憲太氏
ごうぎんエナジー株式会社 営業戦略部 副部長 井上光悦氏
株式会社肥後銀行 理事 地域振興部長 田邉元氏
モデレーター: サステナブル・ブランド国際会議 サステナビリティ・プロデューサー 株式会社レスポンスアビリティ 代表取締役
サステナブルビジネス・プロデューサー 足立直樹
@室町三井ホール

上山氏
堀氏
井上氏
田邉氏

エネルギーセッションでは、地方銀行が主なパネラーとなり、脱炭素化が地域をどのように変えていくのかをテーマに議論された。なお、ごうぎんエナジーは、山陰合同銀行が「他業銀行業高度化等会社」として今年7月に設立した会社である。

最も会場の関心を集めたのは西粟倉村の取り組みだ。同村では2008年ごろから、村の93%を占める森林に付加価値をつける活動に取り組んできた。その結果、木材として売る場合では1億円程度だった森林の価値を、家具に加工することなどで12億円に向上させた。さらにバイオマスなどの事業全体で22億円の新しいビジネスを生み、若者を中心に220人が移住してきている。それをサポートしているのが中国銀行だ。

ごうぎんエナジーが行っているのは、既存の小売電気事業者と連携し、脱炭素を勧めることである。しかし、井上氏は「脱炭素だけが目的ではありません」ときっぱり言い切った。つまり、脱炭素を通して地域の問題解決をしていくことに意義があるという。

肥後銀行が本店を構える熊本は2020年の豪雨災害が記憶に新しい。同行は被害を大きくしないために、これまでのような堤防で川の水を抑え込むやり方ではなく、地域で水を溜め込み川にできるだけ流さないという「緑の流域治水」事業を自治体と連携して進めている。そこに小水力発電を組み込むことで、脱炭素による地域循環モデルを構築しようというのがこのプロジェクトのみそだ。

いずれの事例も、地域資源に目を向けることの重要さ、そしてDXの推進を訴えていた。しかしそのための人材が地方では不足しており、その人的循環こそが肝であろう。

次世代教育セッション「次世代育成が拓く子どもの可能性」
中外製薬株式会社 サステナビリティ推進部社会貢献グループ・グループマネジャー  酒井めぐみ氏
三井住友信託銀行株式会社 サステナビリティ推進部長 稲葉章代氏
ライフイズテック株式会社 取締役 最高教育戦略責任者 讃井康智氏
モデレーター: 新生企業投資株式会社 シニアディレクター / 新生インパクト投資株式会社 代表取締役  高塚清佳氏
@野村コンファレンスプラザ

高塚氏
讃井氏
酒井氏
稲葉氏

野村コンファレンスプラザ最後のセッションには、教育系スタートアップや信託銀行、製薬会社の、代表者・担当者らが登壇し、次世代教育をテーマに議論した。

ライフイズテックは、プログラミング教育を中高生に向けて提供しているスタートアップだ。ただしプログラミングはあくまでも手段であって、「プログラミングによって何をどう解決していくか、どう仲間と解決していくかが大事」と代表の讃井氏。そうした課題を自ら設定し、テクノロジーを活用しながら課題解決のアクションにまで到れるイノベーション人材を、2025年までに120万人育てることを目指している。

三井住友信託銀行は、ファイナンシャルウェルビーイング(経済的健全性を確保し、将来の安定を図ること)に取り組み、金融教育を職場や学校で行っている。特徴は金融だけでなくSDGs教育も合わせて行っているということ。どちらも未来に向けて必要な知識という位置づけにしている。

中外製薬は持続可能な医療を掲げてCSR活動に取り組んでおり、その一つに次世代育成がある。具体的には科学や医薬への興味・関心を高めてもらえるよう、バイオ実験教室の開催や中高生の会社訪問受け入れ、学校への出前授業などを実施している。

本セッションでは、次世代を担う子どもたちに知識を与えるだけではなく、それを自分事化する体験の質を高めることが重要である、といった問題提起がなされた。そのためには異業種で連携し、発展的な次世代教育を行っていくことが効果的であるという認識がまとめとして共有された。

クロージングセッション「ラップアップ」
株式会社グロウス・カンパニー・プラス 代表取締役 / サステナブル・ブランド国際会議 D&Iプロデューサー 山岡仁美氏
株式会社レスポンスアビリティ 代表取締役 / サステナブル・ブランド国際会議 サステナビリティ・プロデューサー 足立直樹氏
一般社団法人 日本サステイナブル・レストラン協会 代表理事 下田屋毅氏
新生企業投資株式会社 シニアディレクター / 新生インパクト投資株式会社 代表取締役 高塚清佳氏
主催 一般社団法人 日本橋室町エリアマネジメント事務局長 / 三井不動産ビルマネジメント株式会社 オフィス事業推進本部日本橋エリアマネジメントグループ グループ長 黒田誠氏
モデレーター: Sustainable Brands Japan, Country Director / 株式会社博展 執行役員 CSuO 鈴木紳介
@室町三井ホール

下田屋氏
足立氏

食・教育・働き方・エネルギーの4つのテーマでのディスカッションが終わり、それぞれのモデレーターが室町三井ホールに集結。まとめのセッションが行われた。

働き方セッションを担当した山岡氏は、「働き方やオフィスを変革していくことは経営戦略。会社だけでなく働く人も、そのオフィスで働くことで会社から何を求められているのかを読み取り、どうすれば自分らしく働けるのかをマインドセットするべき」と、労使それぞれに意識改革が必要と主張した。

食セッションを担当した下田屋氏は、「ウェブでクリックすれば何でも届く便利な時代だが、そこに生産者がいることを意識的に感謝できる世の中になってほしい。食の自給という観点でも一次産業を強くすることは必定。その取り組みとしての6次産業の流れを今後もますます加速していく必要がある」と述べた。

主催した日本橋室町エリアマネジメントの黒田事務局長は、「この場もすでに人的資本の循環の場。さまざまな人と会話することで自社を見つめ直し、持ち帰り、それを聞いて育った人材がまた別のコミュニティに参加することで循環していく。その行き着く先を想像すると非常にワクワクする」と話した。

レセプション「ゲスト講演」
株式会社スマイルズ 代表取締役社長
株式会社 The Chain Museum 代表取締役社長 遠山正道氏
@室町三井ホール

遠山氏

最後にステージに登場したのは、スープ専門店「スープストックトーキョー」や、新しいコンセプトのリサイクルショップ「PASS THE BATON」を展開するスマイルズ代表取締役社長の遠山正道氏。講演のタイトルは「江戸時代的なこれから」だ。

遠山氏によれば、これまでは「プロジェクトにお声がかかる」働き方でもよかったが、これからは「プロジェクトを自ら仕掛ける」積極性が必要だと説いた。遠山氏は今年60歳。人生100年時代と考えればまだおよそ半分だが、「周りの人からお声がかかるのは難しい」という。だからこそ、「人生の後半のために自ら仕掛けることも早めに考えないといけない」と訴えた。

世の中すべてがプロジェクト化し、例えばフリーランスが会社を利用して自ら仕掛けていくのが当たり前になるそんな近未来の仕事のイメージを、「江戸時代のよう」だと遠山さんは言う。江戸時代の最大の社会構成員である農家は、作物を作るだけでなく、漬物を作り、自ら販売するなど、まさに六次産業化して稼いでいたからだ。そんな江戸時代に、最新の技術が伴ったものがこれからの“新時代”であると遠山氏は語った。

全てのステージセッション終了後、隣接するスペースで参加者と登壇者が集い、交流会が催された。会場のあちらこちらに、熱く語り、真剣に耳を傾ける人の姿を見るにつけ、主催の黒田氏がラップアップで語ったとおり、すでに人的資本の好循環が始まりつつあると確信した。

《日本橋サステナブルサミット2022概要》
タイトル: 日本橋SUSTAINABLE SUMMIT2022
日程: 2022年11月28日(月)11:45〜19:15
場所: 街一体型MICE (室町三井ホール&カンファレンス、野村コンファレンスプラザ日本橋の2拠点に分かれて実施)
主催: 一般社団法人日本橋室町エリアマネジメント
共催: サステナブル・ブランド ジャパン(博展)
企画:アティーク

一般社団法人日本橋室町エリアマネジメント

一般社団法人日本橋室町エリアマネジメントは、日本橋室町地域及びその他の周辺地域において、日本橋らしい景観を維持しながら、江戸桜通り地下歩道をはじめとした公共空間等を活用して賑わいに資する機会の創出・支援に関する事業を行うことによって世界からも注目される街を目指し、日本橋室町地域ひいては東京の活性化に寄与することを目的とします。