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SBサンディエゴで見た「リセンター&アクセラレイト」の意味とは――2022年度第3回SB-Jフォーラム

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サステナブル・ブランド ジャパン編集局
約2年半ぶりにリアルで参加した「SB2022サンディエゴ」の様子について報告する鈴木ディレクター

サステナブル・ブランド ジャパンの法人会員コミュニティに向けた「2022年度第3回 SB-Jフォーラム」がこのほど博展(東京・中央)本社とオンラインで開かれた。今回はSB国際会議の発祥の地である米サンディエゴで10月に4日間の日程で行われた会議に参加したメンバーらの報告を通して、来年2月14・15日に開催する「SB国際会議2023東京・丸の内」と共通のテーマである「RECENTER & ACCELERATE(リセンター・アンド・アクセラレイト)」が意味するところについて考えた。

サステナブル・ブランド国際会議は、世界を舞台に商業活動の未来を創り出すブランド・イノベーターが集うグローバルコミュニティで、2006年に米国を拠点にスタート。日本では2016年から株式会社博展がサステナブル・ブランド ジャパンを運営し、毎年の国際会議とニュースメディアの活動などを通じてサステナビリティとブランドの統合を推進する企業の取り組みを後押ししている。

会場のリゾートホテルの屋外で、プラントベースの食事を楽しみながらネットワーキングを深める「SB国際会議2022サンディエゴ」の参加者ら

今年の「SBサンディエゴ」はコロナ禍を経て、約2年半ぶりに本来の大規模な形でリアルとオンラインによるハイブリッドで開催され、日本からは鈴木紳介・SB国際会議カントリーディレクターと青木茂樹・同アカデミックプロデューサーらが現地入り。会場のリゾートホテルでは、広い室内でSBらしい熱のこもったトークが、屋外では参加者が自由に食事を取りながらネットワーキングを繰り広げる光景が見られたという。

環境、社会問題とビジネスの関連追い続けたSB16年の軌跡

在外研究のため留学中のデンマークからオンラインでフォーラムに参加し、SB国際会議の変遷や「SB国際会議2022サンディエゴ」について語る青木プロデューサー

この日のフォーラムでは、最初に、米国での国際会議に早い段階から参加してきた青木氏が、同会議16年間のテーマの変遷に触れ、2006年にグリーンからお金を生み出すことが新しい資本主義だ、というような意味合いの「Green to Gold」に始まり、楽しみながらグリーンエコノミー市場をつくろうという「Play On」(2011年)、グリーン革命こそがブランドになっていくという「The Revolution will be Branded」(2012年)と、環境や社会問題がさまざまなビジネスと関連していることを意識づける流れがあったことを説明。

さらに会議が10周年を迎え、日本が参画した2016年には「Activating Purpose」と、企業が社会や環境に対する立ち位置をしっかりと示してビジネスを行っていくことの重要性がパーパスという言葉で表され、以降、2017〜2019年は「GOOD LIFE」、2020・2021年は「Regeneration(再生)」とテーマが広がり、「経済も生態系の一部分でしかない」という大きな議論が生まれた背景を振り返った。

本質に立ち返り、行動変容を加速させようという強い意志

そうした方向の先に掲げられた今回の「RECENTER & ACCELERATE」について、青木氏は、「本質に立ち返り、立ち位置に立ち戻り、そして行動変容を加速させようということ。前年までのリジェネレーションがやや静的な印象であるのに対し、強い意志を示したテーマを選んだ」と解説した。

「SB国際会議2022サンディエゴ」の基調講演やセッションの様子。左上がSB創設者のコーアン・スカジニア

会議のウェルカムスピーチでは、SB創設者のコーアン・スカジニアが同テーマについて、「社会も環境も政治経済も困難を極める時代のなかで積極的に行動するには、立ち止まって自分自身を見つめ、心と思いを安定させ、歴史を振り返って教訓を学ぶ必要がある。それによってのみ、目前の課題に対する進歩を効果的に加速できる」と述べ、これまでの共感・認知のフェーズから、ブランド自身が行動変容を加速していくことの重要性が強調された。

その上で青木氏は、基調講演を含め全体で約100のセッションがあった今回の会議の中から印象に残った場面を列挙。ジャーナリストのJo Confino(ジョー・コンフィノ)氏による、日々の生き方、暮らし方に禅の思想を取り入れることの提案や、持続可能性に関する国際的な非営利団体「Forum for the Future」の最高経営責任者、Sally Uren(サリー・ウレン)氏が「死んだ地球にビジネスは存在しない。利益か、サステナビリティかという二者択一ではなく、Doing GOODによってビジネスを成長させ、従来の縦割りを飛び越えて組織のダイナミズムを永続させよ」と訴えたことなどを紹介した。

課題ベースでなく目的ベースのダイアログが特徴

続いてフォーラムでは、今年のSBサンディエゴをオンライン視聴した足立直樹・SB国際会議サステナビリティプロデューサーと山岡仁美・同D&Iプロデューサーが、それぞれの視点で同会議の面白みや、そこから読み取れることを解説した。

日本のSB国際会議と欧米の国際会議との違いについて語る足立プロデューサー

足立氏はまず、日本のSB国際会議と、SBサンディエゴとでは、セッションの進め方が違うことを指摘。日本では登壇者によるスライドを用いたプレゼンテーションから始まるのが一般的であるのに対し、「欧米ではどんどんスライドがなくなっている。要はダイアログ(対話)が多い。台本があるのでなく、本当に自由闊達に、そこで出会った人と、今気になること、議論したいことを話すなかから新しいものを生む場になっている」と対話を重視しカジュアルな雰囲気が強い印象を語った。


その特徴は「ブランドのパーパスを活性化する」「消費者行動を大規模に動かす」といった大まかな項目に分かれたプログラムにも表れている。つまり、気候変動や水の問題、女性の活用というようなイシュー(課題)ベースのプログラムではなく、ここを動かすためにこういう形でアプローチしていこうという「目的ベースのダイアログがなされている」というのが足立氏の分析で、来年以降の日本のSB国際会議においても参考にすべきところが大いにある。

その上で「RECENTER & ACCELERATE」について、足立氏は、単に過去から成功事例を引き出すのでなく、「うまくいかなかったものを整理して後に残す」ことがポイントであり、「壊れたシステムを少しずつ修理するのでなく、システム全体を新しく想像し直し(reimagine)、作り直すことに力点が置かれている」と強調した。

「SB国際会議2022サンディエゴ」の印象的なセッションについて語る山岡プロデューサー

一方、山岡氏は注目したセッションとして、パンデミックの最中、2020年にローンチした化粧品会社の「Rare Beauty」とニューヨークに拠点を置くファッションブランド「kate spade」の2社による対話を挙げ、「両社ともブランドの使命としてあらゆる側面からメンタルヘルスに焦点を当てている。例えばコミュニティが希薄になったZ世代が何に行き詰まっているのか、といった背景を認識することで、問題の大事なセンターを捉える(RECENTER)ことができるという文脈が伝わってきた」などと話した。

上記の報告をもとに、フォーラムでは参加者同士がグループに分かれて考えを深め、RECENTER & ACCELERATEについて、参加者からは「環境か社会か、といったさまざまな二者択一があるなかで見失ってはいけない線を確立することではないか。自分たちが思っているよりももっと深い共創が求められている」「一つにフォーカスするとどうしてもそこに当てはまらない人たちを取り残してしまうことにつながる。そうではなく、真に包括的に社会を見直すことが大きなテーマになっていくのかと感じた」などいろいろな意見が交わされた。