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日産が脱炭素社会の実現を考える「Zero Emission Forum 2021」を開催

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いからしひろき

日産自動車は2021年11月30日、推進する日本電動化アクション「ブルー・スイッチ」の今後の展望を紹介するとともに、有識者による基調講演や、各団体の代表者によるパネルディスカッションなどを通じて、改めてカーボンニュートラル社会の実現を考え、実行していくための「Zero Emission Forum 2021(ゼロ・エミッションフォーラム 2021)」を、日産本社を会場に開催した(オンラインで同時配信)。同社は前日に長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」を発表したばかり。この軸になるのが、今回のテーマ“ゼロ・エミッション”ということもあり、注目を集めた。(いからしひろき)

冒頭の挨拶に立った内田誠CEOは、「EVの市場拡大はもちろん、全固体電池のイノベーション、充電ネットワークの構築、使用済み電池の二次利用の促進などに総合的に取り組む」と自社の今後の展望を語り、全世界のCO2の2割が自動車から排出されている現実を受け止め、「その事実を責任と感じゼロエミッションを責務として取り組む」と決意を述べた。

続いては、同社上級役員によるプレゼンテーション。

最初に登壇したのは星野朝子副社長だ。星野氏は「カーボンニュートラルの実現に向けて」と題し、同社が2018年5月から3年半にわたって取り組んできた日本電動化アクション「ブルー・スイッチ」を振り返った。

星野氏によれば、活動の転機になったのは2019年、千葉の台風災害。同社のEV「リーフ」50台が“走る蓄電池”として被災地で活躍したことが報道されたのを契機に、全国の自治体との協定が「加速度的に進んだ」という。現在締結している協定の約7割が災害関連だ。

防災以外で増えているのが「観光」分野で、熊本県阿蘇市や沖縄県名護市、神奈川県小田原市の例を紹介。9月には環境省と国立公園オフィシャルパートナーシップを自動車業界で初めて締結したと報告した。

次にプレゼンテーションしたのは、土井三浩常務執行役員兼総合研究所所長。「Nissan Ambition 2030」の背景と根拠について、技術的側面から説明した。

まずは「これまでの10年」として、同社の電動化の歩みを振り返った。この10年を端的に「電気自動車を買うなら日産と思わせるための10年だった」とし、技術だけでなく販売店、充電インフラの整備にも力を入れてきたと述べ、「航続距離、つまりバッテリー容量が2倍になったのにむしろ安く提供できている。しかも安全性も同時に担保し、通常の使い方での重大事故は0件」と胸を張った。

「これからの10年」については、同社が現在取り組んでいるVGI(Vehicle Grid Integration)を最重要課題として語った。VGIとはEVが電力網と連携して充放電をすることで電力供給を行う技術。同社はEV自体に頭脳を持たせ、充放電を自律的に行うことで、より効率的な電力マネジメントを目指す。その実証実験をデンマーク・ボーンホルムで行っており、「数年での収益化が期待できる」と報告。さらに、業界注目の全固体電池の開発の進展についても触れた。

地球温暖化の現状とプラス1.5度上昇の先にあるリスク

基調講演では、IPCC「1.5℃特別報告書」の主執筆責任者で公益財団法人「地球環境戦略研究機関(IGES)」研究顧問の甲斐沼美紀子氏が登壇。「地球温暖化の現状とプラス1.5度上昇の先にあるリスク」と題し、気候変動の推移やリスク、脱炭素の実現に向けた排出経路、脱炭素に向けた取り組みについて講じた。特に“なぜ2℃ではなく1.5℃上昇に抑えなければならないのか”“なぜ2050年までにネットゼロを実現しなければならないのか”という問題点について再認識させられる説得力のある内容だった。

イベントの最後に行われたのは、「カーボンニュートラルの実現に向けて〜電気自動車への期待〜」と題したパネルディスカッションだ。サンメッセ総合研究所代表でサステナブル・ブランド ジャパン ESGプロデューサーの田中信康氏の進行で、環境省の飯田博文氏(水・大気環境局総務課長/自動車環境対策課長)、小田原市の藤澤隆則氏(環境部長)、大丸松坂屋百貨店の米山由紀氏(経営戦略本部経営企画部長)、日産自動車の伊藤由紀夫氏(常務執行役員)がパネリストとして登壇した。

まずは、それぞれの取り組みを紹介。環境省の飯田氏は2030年度までに少なくとも100カ所の策定を目指す「脱炭素先行地域」について、小田原市の藤澤氏はエネルギーの地産地消の取り組み「EVを活用した脱炭素型の地域交通モデル」について、大丸松坂屋百貨店の米山氏はモデル店舗やコミュニケーションワード「Think GREEN」などサステナビリティに関する取り組みについて語った。

その後、一問一答式によるディカッションを実施。「自治体にはEVを活用したカーシェアが有効」(環境省・飯田氏)、「公民連携が鍵」(小田原市・藤澤氏)、「EVは災害時にお客様へ電力供給できる」など、他の自治体や企業に参考になりそうな意見が発せられた。

日産自動車の伊藤由紀夫常務執行役員は、「走る巨大蓄電池としてのイメージは浸透してきた。しかし非常時だけではもったいない。今後間違いなく伸びていく再エネの需給の調整弁、つまりエネルギーマネジメントの領域でも、EVの普及を進めていきたい」とディスカッションをまとめた。

最後にモデレーターの田中氏が「環境と経済の両立をはかりながら透明性のあるトランジションを果たしていくことが一番重要なポイント。そのためにはワクワクするようなEV活用のアイディアが鍵を握る。日産リーフの10年のノウハウが、これからの10年の役に立つだろう」と総括し、イベントは閉幕となった。

いからし ひろき

ライター・構成作家。旅・食・酒が得意分野だが、2児の父であることから育児や環境問題にも興味あり。著書に「開運酒場」「東京もっこり散歩」(いずれも自由国民社)がある。