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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)
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サステナブル・ブランド国際会議2021 見どころを解説

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「WE ARE REGENERATION」をテーマに2月24、25日に開催される「サステナブル・ブランド国際会議2021横浜」の見どころはーー。青木茂樹 サステナブル・ブランド国際会議 アカデミック・プロデューサーと小松遥香Sustainable Brands Japan編集局デスクが1月29日、博展が提供するオンラインメディア『Think EXperience』のライブ配信に登壇した。SDGsやサステナビリティをめぐる世界の潮流を解説するとともに、今回、パシフィコ横浜ノース会場とオンライン参加のハイブリッドで開催され、国内外から200人を超えるスピーカーが登壇するSB国際会議の、とりわけ注目すべき登壇者やセッションについて紹介した。(廣末智子)

はじめに小松氏が「2021年、これだけは押さえておきたいSDGsとサステナビリティ」と題して登壇。世界は今、地質学的にも人が地球を大きく変えてしまう「人新世」の時代に入っているとも言われ、プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)の考え方に基づいても、気候、水環境、生態系が本来持つレジリエンス(回復力)の限界を超え、まさに未知のゾーンに入っているとの認識を示し、「気候変動や生物多様性の崩壊、格差の拡大といった潜在的にある問題をみながらビジネスをすることが今、求められている」と指摘した。さらに今、SDGsやサステナビリティに取り組むことで時代や社会のニーズに応え、次の時代に生き残るイノベーションを生み出していくことが企業のメリットであり、同業他社であっても連携して危機や課題に取り組み、この危機的な状況を機会に変えていくことこそが大事だと強調した。

またコロナ禍で企業のサステナビリティの重視度は上がるとともに、これを支えるESG投資が日本でも急速に拡大していることに触れ、企業経営が「株主至上主義」から脱却し、人や社会を重視する方向に大きく移行していると説明。特に若い世代のSDGsやサステナビリティへの認知度が高く、そういう意識を持った消費者がさらに社会を変えていくだろうと語った。SDGsの特徴である、望ましい未来の視点に立ち、何をすべきかを考え、技術開発などをしていく「バックキャスティング」や社会課題を起点に事業を創出する「アウトサイドイン」の思考が、ビジネスや地域社会はもちろん、個人においても必要となる社会になると締めくくった。

世界的なトレンド共有がSB会議の独自性

続いて青木氏が、2006年に米国で始まり、毎年、世界共通のグローバルテーマを掲げて各国で開催している「SB国際会議」について、世界的なトレンドを共有し、実践しようとする姿勢に極めて独自性があり、企業や組織の垣根を越えてディスカッションできることが最大の特徴であると説明。今年のテーマである「リジェネレーション」について、地球環境を修復しながら、そこに暮らす人の心なども含めて再生・発展させていく仕組みであり、「今回、偶然にもコロナ禍が重なった中で、どのような形で社会や企業のあり方を新たに生み出していくか。38億年もの間、互いに関係性を持ちながら持続可能な形で発展してきた生物の『生命システムデザイン』にも学びながら考えていきたい」などと語った。

ここからは、今回の「SB国際会議2021横浜」の見どころについて青木、小松の両氏が解説。2日間とも午前に開催されるプレナリー・セッション(基調講演)と午後に開催されるブレークアウトセッションの中から、注目のセッションが7つ挙げられた。まずはプレナリー・セッションから、そのタイトルと中身を紹介する。

100年に一度の転換期 世界のトヨタは何を語る

トヨタ自動車の大塚友美デピュティ・チーフ・サステナビリティ・オフィサーによる「トヨタとSDGs」(24日)。100年に一度の転換期の只中にあるとされる自動車業界で、トヨタは昨年初めて、SDGsに本格的に取り組むことを豊田章男社長自らが宣言し、ミッションやバリューも改訂している。2050年までに脱炭素社会を目指す大きな流れの中で、車自体、モビリティ自体のあり方も大きく変わっており、自動車産業の動向は、エネルギー産業のあり方とも密接に関わる。日本の高度成長をけん引してきたトヨタは、日本の、世界の自動車産業を代表する企業として、今、どんな発信をするのか。

マーク・バークレイ氏にとって「REGENERATION」とは

次に、クライメートチェンジ(気候変動)の活動家として世界をけん引しているマーク・バークレイ氏によるオンライン講演「REGENERATION」(24日)。気候変動問題のみならず、社会変革や農業、食料などさまざまな分野でエキスパートとして活躍するバークレイ氏は、リジェネレーションをどう捉えているのか。その発信を通して世界は今、何を考え、どう動こうとしているのかを知り、参加者のみなさんもぜひ共有していただきたい。

企業価値創るサステナビリティー 富士通と資生堂、執行役員が対談

そして、「CXOが語る、企業価値を創るサステナビリティ」と題した、山本多絵子・富士通CMOと、岡部義昭・資生堂チーフブランドイノベーションオフィサーによるセッション(25日)。サステナビリティを企業の中でどう実行していくのか、またブランディングとサステナビリティをどうつなげていくのか、という大きなテーマに対する解決の糸口を、マーケティングとブランディングの執行役員である両氏の対談を通じて新しい観点から探る。きっと多くのビジネスパーソンにとってヒント満載の事例が語られるに違いない。

一方、ブレイクアウトセッションの中から注目セッションとして挙げられたのは、「パーパスが作るブレない経営」(24日15:30〜16:45)、「輝く未来を拓く〝人物〟を育む教育とは」(25日13:45〜15:00)、「ファッションはエシカルを欠いては生きていけない」(24日17:15〜18:30)、「持続可能で競争力ある農業をいかに構築し、魅力あるブランド価値を創造できるのか」(24日15:30〜16:45)の4つ。

トップ企業のパーパス経営に学ぶ

「パーパスが作るブレない経営」は、ネスレ日本から嘉納未来・コーポレートアフェアーズ統括部執行役員と、フィリップモリスジャパンから濱中祥子・エクスターナルアフェアーズコーポレートサステナビリティエグゼクティブの2氏が登壇し、パーパスを重視した経営の力を議論する。コロナ禍において、社会における企業の意義が増し、ESG経営の中でのS(社会)が注目される時代にあって、持続可能な社会の実現のために今、企業は何ができるのかーー。言わずと知れた世界的な企業であるネスレと、変革を迫られるたばこ産業の中で新事業を展開するフィリップモリスの姿勢に学ぶ。企業理念やミッションという言葉に比べ、より広い視点に立って語られるパーパス。このセッションを「社会の公器として企業はどうあるべきか」という企業の大義を今一度確認するきっかけとしてほしい。

輝く未来を拓く〝人物〟を育む教育とは?

「輝く未来を拓く“人物”を育む教育とは?」は、日本ファンドレイジング協会代表理事の鵜尾雅隆氏をファシリテーターに、3人の教育関係者が登壇。これからのサステナビリティを考える上でどういう人材を育てるか、まさに社会のリソースを集め、それをどう教育に転換していくかを議論する。工藤勇一・横浜創英中学・高等学校校長は、山形県鶴岡市出身で、山形で中学校の数学の教諭を務めた後、東京に移り、千代田区の麹町中学校の校長時代には子どもの自律を重視して宿題や定期テストを廃止するなど、学校教育を中から改革してきたベテラン教育者。一方、三原菜央・スマイルバトン代表取締役と、長井悠・タクトピア株式会社共同創業者・代表取締役は、教育メディアコミュニティの運営や学校向け教育事業を手がける若き経営者で、その3人が顔を合わせたらどんな教育談義に花が咲くのか、三者三様に描かれるであろう、教育の未来の話を楽しみにしたい。

ファッション性を追求しながらもエシカルにーー最新のサステナブル・ファッション

「ファッションはエシカルを欠いては生きていけない」は、環境・社会問題やサステナビリティについて発信し、モデルやブランドディレクターとして活躍する長谷川ミラさんがファシリテーターを務めるところからして注目される。常に時代の先端を走るファッション業界は、サステナビリティに関する取り組みも比較的進んでいる一方で、大量廃棄など大きな課題を抱えている。これについては、Enter the Eの植月友美CEOが、アップサイクル素材を再利用した商品など人や環境に配慮した商品だけを販売するセレクトショップをSNSなどを通じた新たな方法で展開しており、「ファッション性を追求しながらもエシカルである」という、これまでのエシカルの範ちゅうを超えた新しいエシカルが語られることが予想される。ファッションの常識は、エシカルをテーマにどう打ち破られるのかーー。業界の最先端をいく登壇者らが描くサステナブル・ファッションの新しい形に期待が高まる。

農業から社会を変える、食のあり方を問うセッションに

最後に紹介する「持続可能で競争力ある農業をいかに構築し、魅力あるブランド価値を創造できるか」は、青木プロデューサーがファシリテーターを務め、田中進・サラダボウル代表取締役と、二宮かおる・カルビー社会貢献委員会委員長が登壇。サステナビリティの中でも今最も注目されているリジェネラティブな農業について議論する。かつての農業は米国の大規模プランテーションに代表されるように、農薬散布などによって環境や土壌に極めて負荷をかけるものだった。これに対してリジェネラティブな農業は、土の中の微生物を活用するなど自然環境を生かした農法で行うほか、科学の力で農業をさらに近代化していく方法をとる場合もある。田中氏は金融機関勤務を経て自ら農業に飛び込んだ、“農業の革命児”で、露地野菜も作れば、大手の三井物産と組み、なるべく農薬を使わない形での工場型の農業にも果敢に挑む。一方、ポテトチップスで有名なカルビーは、ジャガイモの研究を進めながら農業生産者を支援し、生産から加工し、消費者に届くまでの仕組みに高負荷価値を付ける、いわゆるバリューチェーンの改革に取り組んでいる。この2者の対話を通じて、「農業から社会を変えていく、そしてわれわれの食生活のあり方を問うようなセッションになるのではないか」(青木氏)。

第1回「ジャパン SB インデックス」の発表も

また今回の「2021横浜」では、「ジャパン・サステナブル ブランド・インデックス」と題して、サステナブル・ブランド ジャパンが、トップ企業180社のサステナビリティへの取り組みを消費者がどう評価しているのかという調査を初めて行った結果を発表。そこで評価されている企業の関係者に登壇いただくセッション(「サステナビリティ×ブランド調査 ジャパン・サステナブル ブランド・インデックス」)も行う。これについても青木プロデューサーは、「ぜひ参加・聴講し、どういうところが消費者の評価につながったのか、見識を広めてほしい」と話した。

24、25の両日、パシフィコ横浜ノースで行われる「サステナブル・ブランド国際会議2021横浜」には50以上のセッションに、国内外から200人を超えるスピーカーが登壇。「第3回未来まちづくりフォーラム」と「第2回全国SDGs未来都市ブランド会議」「SB 2021 ASIA-PACIFIC」の3イベントが同時開催される。

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