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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)
コミュニティ・ニュース

コロナ禍で高まるサステナビリティの重要性 SDGs時代のイベントを考える

コミュニティ・ニュース

Presented by 博展

コロナ禍で、企業のコミュニケーションやプロモーションのあり方は大きく変化した。展示会やイベントプロモーションを手がける博展は今年5月から、コロナ禍で目まぐるしく変化する社会に対応する、企業の体験型マーケティング活動を支援しようと、オンラインメディア「Think EXperience」を展開している。「実践と実験で新しい企業CommunicationをDesignする。」をテーマに、さまざまな視点からオンラインセミナー動画を配信する中、8月には「サステナビリティ(持続可能性)」を取り上げた。コロナ禍で、これからの社会や経済、暮らしのあり方として注目が集まる「サステナビリティ」と「コミュニケーション」について考えた。

ファシリテーター:
木島大介・博展第2営業本部営業2部部長
パネリスト:
山中優花・博展コミュニケーションデザイン本部プランニング局プランニングディレクター
小松遥香・Sustainable Brands Japan編集局デスク

SDGs(持続可能な開発目標)が2016年に発効し、近年、企業経営において切り離せないキーワードとなっているサステナビリティ。「この1−2年の間に、サステナビリティをテーマにしたイベントやプロモーションについての相談が増えてきた」とファリテーターの木島大介氏は話す。中でも、働き方、ジェンダー・ダイバーシティ・インクルージョン、ファッション・ビューティー、IoT・AIといった領域でSDGs・サステナビリティに取り組む動きが顕著だ。山中優花プランニングディレクターは「もはや社会課題=ビジネス課題となってきている」と語る。

では、なぜいま持続可能な社会や経済、暮らしへの切り替えがより一層必要とされているのか。そして、企業はこれからサステナビリティをどう事業やイベント、プロモーション領域に取り込んでいけばいいのだろうか。

コロナ禍で、消費者がサステナビリティやSDGsを身近に感じるように

「コロナ禍で、サステナビリティやSDGsへの取り組みの必要性は高まっている」。山中氏によると、それ以前は「サステナビリティは企業がやること」と認識されていたが、テレワークや教育のI T化、ジェンダーなどの社会的課題が自らの生活にマイナスの影響をもたらしていることを消費者自身が自覚するようになっている、という。

「いま求められているのは、どんな状況でも持続でき、成長し合える社会をつくること。つまり、サステナブルに生きる、ということ」

コロナ禍で、消費者がサステナビリティを自分ごと化するようになり、サステナビリティは「自分らしく生きる幸せ」「ウェルビーイング」へとつながって行く。「一人ひとりが自然にソーシャルグッドな行動につなげられるコミュニケーションを企業が打ち出すことが重要になる」と山中氏は言う。

サステナブル・ブランド ジャパンは4―5月に、580人に『新型コロナウイルス対策に関するSB緊急アンケート』を実施した。その中でも、「ポストコロナにおいて、サステナビリティの重視度は高まる」と65%の人が答えた。とりわけ中間管理職ほどそう考えているようだ。また、「コロナ前と比べ、市場や顧客の購買行動が変わる」と答えた人も88.3%に達した。

サステナビリティに取り組むことが不可欠な時代
環境や社会、経済を再生する

世界を一変させた新型コロナウイルス感染症が問うのは、人類がつくり上げてきた経済や社会システムであり、その基盤である地球環境との向き合い方だ。そもそも新型コロナウイルスなどの新興感染症が発生する要因には、人が本来、適切な距離を持って共生すべき野生動物の生息地に入り込むことで、未知のウイルスに遭遇することになり、さらにグローバル化した経済・社会によって感染症を爆発的に拡大させていることがある。

しかし、「新型コロナウイルスだけでなく、人類は気候変動や生物多様性の喪失といったさらに大きく長期的な脅威・リスクにも同時に直面している。サステナビリティに取り組むことは未来のために不可欠な時代」と小松遥香・サステナブル・ブランド ジャパン編集局デスクは言う。

実際、気候変動は深刻化し、それに起因する自然災害によって世界中で甚大な被害が生まれるようになっている。プラスチックによる海洋汚染もこのままでは、2050年には海洋プラスチックの重量が魚のそれを上回ると予測される。そうした課題が積み重なる中、世界人口は増加しており、限りある資源をどう持続可能に循環利用するかが焦点になっている。新型コロナウイルス危機に陥らなくとも、人類は経済や社会のあり方を考えなおす時期に来ており、持続可能な経済、社会をつくる努力なくしては多くの人が安全に、安心して暮らせる未来は実現できないのが現実だ。

金融分野でもそれを後押しする動きが起きている。環境、社会、ガバナンス(企業統治)といった非財務情報を投資判断に用いるESG投資が世界的に台頭している。世界持続的投資連合(GSIA)によると、日本のESG投資残高は2016年比で約2.2兆米ドル(約230兆円)と約360%増加。国内では、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のすべての資産がESGに基づき運用されている。

しかし、サステナビリティへの取り組みが政治や経済、社会、文化的に徐々に前進しているとは言え、気候変動や生物多様性の喪失など人類の足元を大きく揺るがす課題に対応するには今のままでは不十分だ。環境負荷の少ない技術開発など、より一層の取り組みが世界的に求められている。

そして、これから企業や国、コミュニティ、個人にも必要となる考え方が「リジェネレーション(再生)」だ。「持続可能であるために、地球環境や社会、経済、人々の暮らし、心のあり方まで含めて再生が可能な『リジェネラティブ(再生可能な・再生型の)』な方法で世界を創造し、構築していくことが求められている」と小松氏は語った。すでに欧米の企業ブランドは、再生可能な土壌づくりやコミュニティ形成に努めながら事業を運営するリジェネラティブ・アグリカルチャー(再生型農業)などを方針として掲げ始めているという。

サステナビリティへの取り組みは売り上げに直結する

木島氏は「サステナビリティへの取り組みは長期的視点が求められる。新型コロナウイルス感染症の拡大で、目先の売上高や事業活動にいっぱいいっぱいという企業もある。サステナビリティはビジネスになり得るのか、という問いについてはどう考えるか」と投げかけた。

山中プランニングディレクターは、「サステナビリティへの取り組みは将来的に売り上げに直結してくる。特にミレニアル世代をはじめとする若い世代のSDGsやサステナビリティへの関心は高い。サステナブル・ブランド ジャパンや電通などの調査によると、SDGsの認知度はビジネスパーソンよりも学生の方が高いことが分かっている。そうした層をターゲットにする場合、サステナビリティはビジネスに直結する。企業にとっても、取り組むことによりブランド価値が上がる」と説明した。

そして、価値向上の例として、P&Gのブランド「パンテーン」が行ったキャンペーン「#この髪どうしてダメですか」を挙げた。これは、学校での「地毛証明書」をめぐり生徒と先生がホンネで対話するドキュメンタリームービーを通して、髪についての校則をみんなで考えようというメッセージを社会に投じ、メディアにも取り上げられるなど話題になった。

ブランドや企業への消費者の期待は、もはや単なるサービス提供価値に止まらない、と山中氏は考える。これまでの当たり前を疑う若い世代は、生活を幸せにしてくれるもの、社会をより良くしてくれる存在としてブランドや企業を捉えているという。女性誌でも「サステナビリティ」はたびたびテーマに取り上げられるようになっており、読者はSDGsやサステナビリティについて学びながら、社会にとっていいことや私らしさを考えるようになっている、と分析した。

実際にイベント領域でどのような提案を行なっているかという事例に話が及ぶと、山中氏は「Bag for Happiness 毎日使う袋から、幸せを考える」という2020年の初めに企画した事例などを紹介した。同企画は、7月開始のレジ袋有料化を前に、イベントで、マイバッグをつくったり、紙袋をギフトにアップサイクルするワークショップを行い、それを通じて楽しみながら環境課題やサステナビリティ、モノのライフサイクルについて学ぶというもの。そして、ワークショップでつくった世界に一つしかないマイバックを持った人たちが街に繰り出したり、SNSを通して発信することで、そうした幸せな風景をつくり出す企業としてブランディグを行うこともできると事例を説明。そのほかにも、働き方改革のイベントにおける事例などについても紹介した。

SDGs時代のイベント運営に取り組む

博展は、2月に行われたサステナブル・ブランド国際会議2020横浜で、装飾や運営、来場者への対応においてサステナビリティに取り組む新たな挑戦を行った。「コストや手間とのトレードオフを解消し、サステナブルなイベントをいかにつくりあげていくかということに取り組んだ」と白川陽一・博展制作本部プロダクトマネジメント部部長は語る。イベントのサステナビリティの実効性を高めるために、客観的基準として東京観光財団発行の「TOKYO MICEサステナビリティガイドライン」を採用。さらに、ガイドラインを基に自社でまとめた取り組み施策が、ガイドラインの趣旨に沿っているかを客観的に判断するために、持続可能なイベント運営のための国際規格ISO20121を取得しているセレスポ社にアドバイザーとして参画してもらった。

白川氏は取り組みの一部を紹介した。イベントでは、別のイベントで使ったアルミフレームやファブリックなどのリユース部材を活用し、廃棄物発生の抑制に努めた。さらに持続可能な森林管理認証「FSC認証」の紙素材を用いて、リサイクル可能なサインボードやスツールを制作したことで、大幅な軽量化を実現し、運搬の際に発生するCO2の削減や作業員の負担解消にもつながった。設置や解体にかかる時間を大幅に解消し、夜間作業をなくすことができたなど、「サステナビリティに取り組んだことでさまざまな波及効果が生まれることを実感した」と白川氏は振り返った。

このほか、会場で提供する飲食においては地産地消やフードロスの削減に取り組んだ。来場者にマイボトル持参を呼びかけ、会場にウォーターサーバーを設置、ゴミの分別回収やイベントにおいて発生した二酸化炭素を相殺するカーボンオフセットも実施した。また準備段階でも、制作物を再生可能エネルギーで稼働する工場でつくり、環境認証「グリーンガード認証」を使用したインクを印刷に用いるなどした。

後のアンケートで、こうしたサステナビリティへの取り組みを来場者の8割が「気づいた」と回答。白川氏は「SDGsへの関心が高まる中、さまざまなイベントやプロモーション活動におけるサステナビリティの配慮はブランディングの観点からも外すことができない領域。現状では、サステナビリティに取り組むコストや手間とのトレードオフの課題が完全に解消されたわけではないが、その中でサステナブルなイベントをつくり上げていくには、クライアントのみなさまにご理解をいただきながら、プロジェクトの計画を立てることが必要になる。今回のイベントで得た知見、技術、パートナーシップを生かし、最適な提案をしていきたい」と語った。

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