サステナブル・ブランド ジャパン | Sustainable Brands Japan のサイトです。ページの先頭です。

サステナブル・ブランド ジャパン | Sustainable Brands Japan のサイト

ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Brands, PBC)
コミュニティ・ニュース

社会問題やエコを意識した旅行が2019年のトレンドに

  • Twitter
  • Facebook
サステナブル・ブランド ジャパン編集局

旅行予約サイト大手のブッキング・ドットコム(オランダ)は22日、社会問題や環境への配慮を意識した旅が2019年の旅のトレンドになるとの予測を発表した。背景には、体験や学びを重視する消費動向に加え、人権や平等、労働環境、海洋プラスチック汚染など社会問題への関心が世界的に高まる中、ミレニアル世代・Z世代を中心に社会問題や持続可能性を基準に旅先を決める傾向が高まっていることがある。(サステナブル・ブランド ジャパン=橘 亜咲)

ブッキング・ドットコムが発表した「2019年に鍵となる旅の8大トレンド」。調査は8月に日本を含む29カ国の2万1500人の旅行者を対象に実施され、同社が持つ1億6300万件の利用者の声も参考に予測が行われた。

8大トレンドに入ったのは、「学びに満ちた旅」「テクノロジーで旅がより簡単・便利に」「宇宙旅行は遠くとも、見果てぬ地への憧れは続く」「個々の旅行者の興味・好みにあった旅の情報がより重要になる」「社会問題を意識した旅」「旅にもエコ意識」「現地での体験が旅の醍醐味に」「大満足できる小旅行」。「社会問題」や「エコ意識」は、2018年の旅のトレンド予測にはなかった要素だ。

  • 学びに満ちた旅

新しい通貨や自己充足の手段が生まれる中、56%の人が「旅を通して人生をより良く生きるために、掛け替えのないスキルを得た」と回答。2019年は、旅で新しいことを学びたいという声や世代を超えてボランティアやスキルを生かす旅への需要が高まる。とりわけ1990年代後半に生まれたZ世代は、学校や会社の外での経験を多くの企業が重視する時代において、人生をより良く生きるスキルと旅から得られる実践的な学びと高額な大学の授業で得られる価値とを冷静に比較するようになると考えられている。

  • テクノロジーで旅がより簡単・便利に

「簡単さ」が旅関係のテクロノロジーの主な評価基準になる。AIやバーチャルリアリティを巧みに応用した便利で革新的なテクノロジーに注目が集まり、ルームキーの代わりになる携帯電話機能や個々の嗜好にあった旅のアドバイス、母国語で会話ができるロボットコンシェルジュ、旅先での自動運転車など技術革新への期待が高まっている。

  • 宇宙旅行は遠くとも、見果てぬ地への憧れは続く

NASAが月周回軌道の宇宙ステーションの建設を2019年から始めると発表し、今後は宇宙旅行分野に莫大な投資が行われていく。宇宙への旅はすぐに実現できなくても、地球上の見果てぬ地への憧れは続く。60%の旅行者が海底の宿泊施設に泊まってみたいと回答しているように、2019年には実現不可能に見えるような新たな別荘やホテルが登場すると予測される。

  • 個々の旅行者の興味・好みにあった旅の情報がより重要になる

旅行に関する情報の集め方や使い方が急速に発展していく。従来の包括的な旅行ガイドとは異なり、定期的かつ手軽に確認できる、個々の旅行者の嗜好を反映したコンテンツが注目される。

  • 社会問題を意識した旅

旅の目的地を選ぶ際、現地の社会や環境、政治に関する問題を検討して行き先を決める旅行者が増える。すでに49%の回答者が目的地を決めるにあたり、現地の社会問題は非常に重要と認識。58%は現地の社会問題が住人に悪影響を与えている場合、目的地に選ばないと回答している。さらに、ジェンダーや人種などを問わず安全に旅を楽しめることを基準に目的地を選ぶ旅行者もいることが分かっている。

  • 旅にもエコ意識

使い捨てプラスチックによる汚染問題が世界で関心事になる中、2019年には環境破壊への懸念が大規模な環境活動に変わっていく。ミレニアル世代・Z世代の旅行者は、目的地での持続可能な体験を求め、宿泊施設ではプラスチックの使用量を減らし、持続可能性を高めようと取り組む。実際に、86%の旅行者は「滞在によって生じる環境負荷を相殺できるごみ拾いなどの活動に参加したい」と回答している。今後、旅行者が環境への配慮を基準に目的地や宿泊施設を選ぶことを考えると、持続可能な事業を行うスタートアップへの投資はさらに不可欠となる。

  • 現地での体験が旅の醍醐味に

2018年のトレンドにもなった現地での体験に重きを置いた旅行。60%の回答者が体験を物質よりも大切なものと認識しており、2019年は多彩で本格的な体験を熱望する旅行者が増えると見られている。

  • 大満足の小旅行

旅行者の関心に合い、旅の魅力を短期間に詰め込んだ小旅行が流行する。実際、53%の回答者が「2019年はこれまで以上に週末旅行にでかけるつもり」と回答。航空経路の拡大や航空券の価格競争、シェアもできる手軽なオンデマンドのレンタカー、公共交通機関の運行状況をいつでもどこでも簡単に確認できるシステムなど移動手段のイノベーションによって、短期間で充実度の高い旅行が可能となる。

同社のパパイン・ライヴァース 最高マーケティング責任者は「2019年は旅行が大きく変化する一年になると断言できる。これまでにない技術革新を進め、旅という体験をさらなる高みに導いていく」と話している。近年、国内でも体験型の旅は重視されている。しかし2019年は、世界の潮流を考慮し、さらに一歩先をいく体験を生み出し提供することが旅行業界には求められそうだ。

  • Twitter
  • Facebook