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ロシアのウクライナ侵攻 グローバル企業、人道支援から事業停止へ流れ加速 50社の動向

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ロシアによる分別なきウクライナへの軍事侵攻は世界を一変させた。2月24日の開戦から1週間が過ぎた先週末、グローバル企業も一斉に転換点を迎えている。VISAやマスターカードなどの金融大手がロシアでのサービスを停止、DHLなどの運輸・物流大手も事業の停止を発表。ロシアが核施設を攻撃するなど戦況が悪化するなか、当初はウクライナへの人道支援のみを表明していた企業がロシアやベラルーシでの事業停止を続々と発表している。今週もこの動きは加速するだろう。ここでは、コーポレートサイトやオフィシャルSNSでステークホルダーに対してブランド・事業の方向性を示しているグローバル企業の動きを中心に取り上げる。(小松遥香)

テクノロジー・エンターテインメント

グーグル(アルファベット)
ウクライナへの人道支援、ロシアでのオンライン広告(検索サービス、ユーチューブなど)の販売停止。同社は「ロシアのウクライナ侵攻は、悲劇であり人道的災害。製品を通じてウクライナの人々を支援し、サイバーセキュリティの脅威から守り、高品質で信頼できる情報を表に出し、現地で働く同僚とその家族の安全・安心を確保するために24時間体制で取り組んでいる」と発表。

同社によると、ウクライナ政府のサイトやロシアの侵攻・攻撃情報が確認できるLiveuamapなどへのサイバー攻撃が続いているという。2500万ドル(約29億円)を人道支援し、さらに1000万ドル(約11億4800万円)をポーランドで人道支援・長期支援を行う団体に寄付する。また、人道支援組織・政府間組織が支援情報を届けられるよう500 万ドル(約5億7400万円)の広告クレジットを提供するなど支援を強化している。

マイクロソフト
ウクライナへの人道支援、ロシアでの全製品・サービスの新規販売の停止を発表。ブラッド・スミス社長は「世界の他の国々と同じく、ウクライナでの戦争の画像やニュースに恐怖と怒り、悲しみを覚え、ロシアによる不当で、いわれのない、不法な侵攻を非難する」と発表。

同社ができる最も効果的な手段である、ウクライナのサイバーセキュリティーの保護に積極的に取り組んでいる。戦争が始まって以来、ロシアによる20以上のウクライナ政府や金融セクターへのサイバー攻撃、さらに民間サイトへの脅威に対処してきたという。同社は、こうした民間人に対するサイバー攻撃はジュネーブ条約に違反するとの懸念を示す。人道的支援もテクノロジーと資金の両面から行う。

アップル
ロシアでの店舗を閉鎖し、製品の販売を停止。Apple PayやApple Mapsなどのサービスも制限。ロシア国営メディア「RT」「スプートニク」のアプリのダウンロードを不可能に。同社は「私たちはロシアのウクライナ侵攻を深く憂慮し、暴力により苦しんでいるすべての人と共にある。人道的活動を支援し、進行中の難民危機に援助を提供し、その地域にいる私たちのチームを支援するためにできる限りのことを行っていく」と声明を発表した。

サムスン
ロシアへのスマートフォンやチップの出荷停止。ブルームバーグによると、サムスンは「地政学的情勢」をその理由に挙げている。同社のロシアでのスマホ市場の規模はアップルよりも大きく、100万ドル(約1億1500万円)相当の家電製品を含む600万ドル(約6億8900万円)を人道支援に寄付する方針。

ネットフリックス
ロシアで計画していた全プロジェクト、買収を停止する(ロイター)。また、3月1日からロシア国営放送20チャンネルの配信が義務付けられているが、同社は拒否している。

スポティファイ
ロシアでの音楽ストリーミングサービスは続けるが、2月に同国の新たな法律に従い開設したばかりの国内オフィスを無期限で閉鎖。「RT」「スプートニク」をコンテンツから削除した。

ソニー  ※情報を更新​ ​​​​​​
ソニー・ピクチャーズがロシアでの映画上映を停止。ソニーグループとしては、ウクライナや周辺地域の被災者への人道的支援として200万ドル(約2億3000万円)を寄付。さらに、グループ各社で社員募金を実施し、集まった募金と同額を会社が寄付する。「一刻も早くこの緊急事態が解決し、ウクライナおよび世界における平和が取り戻されることを願う」としている。

ロイターは9日、ソニー・インタラクティブエンタテインメントがロシア向けの全てのソフトウェアとハードウェアの出荷を停止、プレイステーションストアの運営も停止する方針を報じた。ウクライナのミハイロ・フェドロフ副首相はTwitterでソニーのPlayStationとマイクロソフトのXboxのアカウントに対して、ロシア市場からの撤退を呼びかけていた。

ディズニー
ピクサーの最新作『私ときどきレッサーパンダ』などの映画上映を停止。「ウクライナへのいわれのない侵攻、悲劇的な人道危機を考慮した」としている。同社はNGOと連携し、難民への緊急援助や人道支援に取り組む。

金融

VISA
ロシアでの事業を停止。ロイターによると、VISAとマスターカード両社の2021年のロシアでの純収入は全体の約4%だったという。VISAのアル・ケリーCEOは「ロシアによるウクライナへのいわれのない侵攻とわれわれが目撃している受け入れがたい事態により、行動を起こさざるを得なくなった。これによりロシアの同僚、顧客、パートナー、加盟店、利用者が影響を受けることを遺憾に思う」としている。

マスターカード
ロシアでの事業を停止。マスターカードは「現在起きている紛争の前例のない特質と不透明な経済環境を考慮して事業を停止する。簡単な決断ではなかった。マスターカードは25年以上、ロシアで事業を行ってきた。現地には200人近い従業員がおり、従業員はこれまで多くのステークホルダーにとってマスターカードが重要な存在になるよう努めてきた。今回の措置を講じると共に、給与や福利厚生の提供を継続するなどし、従業員の安全とウェルビーイングに引き続き注力する。適切な時期が来て、法の下で許されるなら、彼ら彼女らの情熱・創造力を生かして事業再開に取り組んでいく。前向きで、生産的で、平和な未来を望み、その実現に向け一歩踏み出す 」としている。

ペイパル
決済サービスを停止。ダン・シュルマンCEOは「ウクライナの人々を支援し、国際社会と共にロシアの暴力的な軍事侵攻を非難する」とし、同社システムを使った人道支援金の収集を行う地域を拡大する方針を示している。

自動車・バイク

フォルクスワーゲン
ロシアでの生産、ロシアへの輸出を停止。同社はTwitterで、その影響を受けるロシアの従業員に対する責任を非常に重く受け止めているとし、すべての従業員に短時間勤務手当を支給すると発表。さらにドイツの国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に100万ユーロ(約1億3000万円)を寄付。ウクライナで起きている戦争について「大きな落胆とショックとともにニュースを受け止めている。敵対行為の停止と外交への復帰を願い続けている。紛争に対する持続可能な解決策は、国際法に基づいてのみ見出せると確信している」と発表した。

フォード
ロシアでの合弁会社の事業を停止。フォード基金は、避難するウクライナ市民や家族を支援するために「Global Giving Ukraine Relief Fund」に10万ドル(約1150万円)を寄付する。「国際社会の一員として、ウクライナ侵攻とそれに伴う平和と安定への脅威を深く憂慮する」としている。

トヨタ  ※情報を更新
供給問題により、サンクトペテルブルク工場の稼働と完成車の輸入を停止。トヨタはコーポレートサイトで今回の事態への見解を示した。「世界中の皆様と同じようにウクライナの人々の安全を憂いており、一刻も早く平和で安全な世界が戻ることを願いながら、ウクライナ情勢を注視している。ウクライナとロシアで事業を行う企業として、私たちが何よりも優先していることは、すべての従業員、販売スタッフ、仕入先の皆様の安心と安全だ」。

9日、最大で総額250万ユーロ(約3億1500万円)の寄付を赤十字・UNHCRに行う方針を発表。東ヨーロッパの従業員は仮住まいの提供や通訳サポートなどのボランティアを実施。トヨタ モーター ヨーロッパは、一人あたり年間40時間のボランティア活動を有給で認める。

日産  ※情報を更新
車両の輸出を停止し、サンクトペテルブルク工場の稼働も停止。7日、人道支援として総額250万ユーロ(約3億1500万円)を拠出することを発表。さらに日産ケア基金を創設し、従業員とその家族を含む今回の危機に影響を受けている人々を支援する。赤十字社とその他NPOに100万ユーロ(約1億3000万円)を寄付し、必要に応じて車両の寄贈も行う。また特別基金に150万ユーロ(約1億9000万)を拠出。従業員やパートナーも特別基金に金銭や食料、衣料などの物資を寄付することができる。

内田誠CEOのコメントも掲載。「私たちは、多くの人々や家族、そして私たち日産ファミリーのメンバーが苦しんでいることに心を痛めている。『日産ケア基金』を設立し、従業員とともに、この計り知れない人道的危機に24時間体制で対応している国際的な取り組みを支援していく。そして、一刻も早くこのような状況が終結することを願っている」。

ホンダ
自動車とオートバイのロシアへの輸出を一時的に停止。ブルームバーグによると、状況が通常に戻れば再開の予定という。

マツダ
ロシアの自動車メーカー「ソラーズ」との合弁工場で使う部品の輸出を停止。

ボルボ
ロシアへの自動車の生産・販売を停止。

アストン・マーチン
ロシアへの自動車の販売・出荷を停止。

ハーレーダビッドソン
ロシアでの事業およびバイクの出荷を停止。

輸送・物流

DHL
ロシア・ベラルーシへの配送サービスを停止。「ウクライナの状況に深い悲しみを抱いている。世界中の国々、人々が貿易を行うことを可能にする企業として、すべての人の平和と繁栄と共に、よりつながりのある世界を目指していく」と表明している。

フェデックス
ロシア・ベラルーシへの配送サービスを停止。150万ドル(約1億7200万円)以上を人道支援に拠出する方針。フレデリック・W・スミスCEOはウクライナを含む全従業員へのメッセージを掲載し、企業としてウクライナの従業員の安全を第一に考え、支援などを行なっていくことを表明。「フェデックスのコア・バリューの『互いを思いやる』『役立つことをする』の意味を今回ほど強く意識することはない」としている。

UPS
ロシア・ベラルーシへの配送サービスを停止。

マークス(海運)
ロシア・ベラルーシ発着の貨物予約を停止。食料や医療機器、人道支援物資などの配送はこの措置から除外される。

MSC( 海運)
ロシア発着の貨物予約を停止。ただし、食料や医療機器、人道支援物資などの配送はこの措置から除外される。

CMA CGM( 海運)
ロシア・ベラルーシ発着の貨物予約を停止。

SNS

Twitter
ロシア国営メディアのリンクがあるツイートには警告を示すラベルを付けて可視化。同メディアの表示を制限するなどの対策を講じた。同社は「ロシアのウクライナ侵攻に関して、人々がTwitterで信頼できる情報を探しているなか、私たちは自らの役割を理解し、真剣に受け止めている。私たちの製品は、コンテンツの背後に誰がいるのか、その動機や意図は何かを簡単に理解できるようにする必要がある」としていた。これに対し、ロシアはTwitterへのアクセスを制限した。

メタ (フェイスブック・インスタグラム)
ロシア国営メディアのアカウント・投稿の表示を制限。これに対し、ロシアはフェイスブックへのアクセスを遮断した。メタの広報責任者ニック・クレッグ氏はTwitterで「数百万人の一般のロシア人が信頼できる情報から切り離され、家族や友人とつながる方法を奪われ、言論を封じられるだろう。サービスを回復するためにできる限りのことを続けていく」と表明。

旅行プラットフォーム

エアビーアンドビー
ロシアとベラルーシでの業務を停止。先んじて、ウクライナから避難した最大10万人に無料で短期の住居を提供すると発表。宿泊は同社と、利用者によるAirbnb.org難民基金への寄付、宿泊先ホストの善意によって賄われるという。

ブッキングドットコム
ロシアとベラルーシでの業務を停止。グレン・フォーゲルCEOは「ウクライナで起きているショッキングな出来事は、ウクライナの人々の命を無視した無意味な暴力行為として歴史に暗い足跡を残すだろう。ウクライナの従業員、お客様、パートナーのことを深く案じている」と声明を発表。ブッキング・ホールディングスは、赤十字国際委員会の支援活動に100万ドル(約1億1500万円)を寄付し、さらに同ホールディングスと同ブランド全体で働く従業員の寄付総額と同額を寄付する方針。

ファッション・化粧品・日用品

イケア
ロシアとベラルーシでの生産・販売を停止。同社は「ウクライナでの壊滅的な戦争は人類の悲劇であり、影響を受けている数百万の人々に深い同情と懸念を抱いている」としている。ただし、親会社インカグループが運営する14カ所のショッピングセンターMEGAは、ロシアの人々が食品や食料品、薬などの生活必需品を入手できるよう営業を続ける。イケアの財団は国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に2000万ユーロ(約25億1400万円)を寄付。グループ企業としても製品を提供し、現地で活動するUNHCRやセーブ・ザ・チルドレンにまずは2000万ユーロ(約25億1400万円)を支援する。

H&M
ロシアでの事業を停止。168店舗を展開している。「H&Mグループは、ウクライナでの悲劇的な事態を深く憂慮し、苦しんでいるすべての人々と共にある」。またH&M財団はセーブ・ザ・チルドレンやUNHCRに寄付を行うという。

ザラ (インディテックス)
ロシアの502店舗を閉鎖し、オンライン販売も停止した。同社は「現在の状況では、ロシアにおける業務と商業状況の継続を保証することができない」と説明(ロイター)。

ファーストリテイリング  ※情報を更新
3月4日に人道支援を発表し、10日に事業停止を発表。UNHCRからの要請を受けて、11億5000万円の寄付を行う。またヒートテック毛布やヒートテックインナー、マスクなど10万点と、国内店舗で回収したリサイクル衣料のうち防寒着など10万点を提供する。同社はロシアで50店舗を展開し、昨年12月に欧州最大の店舗をモスクワにオープンしていた。

10日の発表では「ファーストリテイリングはあらゆる戦争に強く反対する。私たちは、人々の人権を侵害し、平穏な生活を脅かすいかなる攻撃をも非難する」とした。これに先立ち7日、日経新聞は、柳井正会長兼社長が「戦争は絶対にいけない。あらゆる国が反対すべきだ。今回は全欧州が明確に戦争に反対し、ウクライナへの援助を示した。世界を分断する試みは逆に結束を強固にする」と発言していることを報じていた。国内グローバル企業で「戦争に反対する」という言葉を使用する企業はまだ少ない。

LVMH
人道支援を行うほか、ロシア国内の事業を停止。124店舗を一時的に閉鎖。ロシアでは従業員3500人が働いており、給与は払い続けるという(ロイター)。「LVMHグループはウクライナの悲劇的な状況に目を凝らし、この戦争で深刻な影響を受けたすべての人々と共にある」としている。LVMHは紛争の直接・間接的な被害者を支援するため、まずは赤十字国際委員会(ICRC)に500万ユーロ(約6億2800万)を緊急寄付する方針。従業員からも支援金を募る。

ケリング
人道支援を行うほか、ロシアで運営する2店舗を一時閉鎖。ロシアでは180人の従業員が勤務しており、継続して支援していく(ロイター)。先んじて、ウクライナ難民を支援するために、UNHCRに多額の寄付を行うことも明かしていた。傘下のグッチは、長年行うグローバルキャンペーン「Chime for Change」を通じてUNHCRに50万ドル(約5800万円)を寄付する。

シャネル
人道支援を行うほか、ロシア国内の事業を停止。17店舗を一時的に閉鎖。「シャネルは、平和とウクライナでの戦争により影響を受けた人々を断固として支持する」と表明し、200万ユーロ(約2億5100万)をCAREとUNHCRなどに支援すると発表。また財団としても、女性や子どもに中長期的支援を行う計画。

エルメス
ロシアでの事業を停止。モスクワに3店舗を運営するほか、今年後半にはサンクトペテルブルクに新店舗をオープンする予定だった(ロイター)。

ナイキ
当初はオンライン販売のみを停止していたが、ロシア国内の全店舗の営業を停止。従業員には閉鎖中も給与を支給する(ブルームバーグ)。そのほか、ユニセフ(国連児童基金)とIRC(国際救済委員会)に100万ドル(約1億1500万円)を寄付する。

プーマ
当初はロシアへの輸出停止を表明していたが、100店舗の営業を停止。

アディダス
ロシアサッカー連盟とのパートナーシップを停止。

ロレアル
避難民やウクライナの現地の人々を支援するために、地域のNGOや国際NGO(HCR、赤十字、ユニセフなど)に 100万ユーロ(約1億3000万円)を寄付。さらにウクライナ、ポーランド、チェコ、ルーマニアのNGOに衛生用品を届けており、今後数週間で30万個を寄付する計画。「ウクライナへの侵攻と戦争を強く非難する」としている。

資生堂
UNHCRに100万ユーロ(約1億3000万円)を寄付。さらに、同グループの全世界の社員に対して募金を呼びかけ、集まったものと同額の金額を会社がUNHCRに寄付するという。同社は「ウクライナで起こっている大変な出来事によって、日常を失い、行き場を失った方々が多くいることによる現状に深く心を痛めている。また現地のお客さまや取引先、そして社員はもちろん社員の家族や友人の無事を案じてやまない。ウクライナの人々に1日でも早く、平穏な日々が訪れることを願う」と発表している。

これに先立ち、ファッション雑誌『Vogueウクライナ』はインスタグラムで、資生堂を含むLVMH、シャネル、エルメス、マックスマーラなど高級ファッション・美容ブランドのアカウントに対してロシアへの商品の輸出を直ちに停止するよう呼びかけていた。

ユニリーバ  ※情報を更新
500万ユーロ(約6億2800万円)相当の食料やパーソナルケア用品、衛生用品を寄付。また、グローバルで従業員による寄付を集め、会社もそれに上乗せする形で寄付をするプログラムを設立した。アラン・ジョープCEOは、「罪のないウクライナの人々に対する無分別な暴力行為に深い衝撃を受けている。ロシアの侵攻は近隣の主権国家に対する残虐な戦争行為であると非難する」と明言した。

8日、同CEOは、ロシアへの製品の輸出入、広告費の投入を停止することを発表。「ロシアにはこれ以上の資本投資をしない。ロシアでのプレゼンスから利益を得ることもない。ロシア国内で製造する食品や衛生用品については国内の人々に提供を続ける。これについては検討を重ねていく」とした。

コンサルティング

アクセンチュア
ロシアでの事業を停止。ロシアには2300人の従業員がいる(フィナンシャル・タイムズ)。「ウクライナの人々や世界中の政府、企業、個人とともに、ウクライナの人々とその自由に対する非合法で恐ろしい攻撃の即時停止を求める」としている。同社は、避難民を支援する団体に500万ドル(約5億7500万円)を寄付し、さらに従業員からの寄付金に同額を加える形で支援を行う。

ボストン・コンサルティング・グループ
ロシアでの事業を停止。約400人の従業員を抱える(フィナンシャル・タイムズ)。事業規模の縮小を始めており、新たな仕事は引き受けない方針。モスクワオフィスは引き続き営業し、従業員の一部はロシア国外の顧客のサポートを継続するという。食料やシェルターの提供など独自の難民支援を行っていることを発表。クリストフ・シュヴァイツァーCEOは「ウクライナで激化する戦争が数百万人に与える影響を目の当たりにし、恐ろしさを感じている。胸が張り裂けそうだ。今こそ、一致団結しなければならない」としている。

マッキンゼー
ロシアでの事業を停止。従業員は400人以上いる(フィナンシャル・タイムズ)。「ウクライナ人の全同僚とその家族の安全を確保することに注力してきた。ロシアでの残りの業務が終われば、すべての顧客サービスを停止する」としている。

PwC
ロイターやフィナンシャル・タイムズは7日、同社がロシアから撤退すると報じている。先んじて、「国際法の違反とロシアのウクライナに対する侵攻を遺憾に思う。私たちはウクライナ国民と共にある。最優先事項は従業員の安全とウェルビーイングだ」と侵攻を非難する声明を出していた。また同社は1993年からウクライナで事業を展開。750人以上の従業員がおり、法的・経済的支援などを実施しているという。

KPMG
ロシアとベラルーシから撤退。両国に4500人以上の従業員がいる。ウクライナおよびこの戦争により影響を受けている地域の人々を支援する方針。「私たちは、ロシア政府によるウクライナへの継続的な軍事攻撃に対応する責任がある。従業員の多くは数十年間、KPMGで働いており、関係を終わらせることは非常に困難なこと。影響を受ける従業員の今後のサポートのためにできる限りのことをする」と発表した。

デロイト
侵攻への非難声明を発表し、ロシアでの事業とプレゼンスを検討中。また、ロシア政府のいかなる事業体にもサービスを提供しないとしている。「デロイトはウクライナの人々とともにある。ロシアによる主権国家ウクライナへの侵攻は、欧州の歴史における最も暗い日々を思い起こさせる弁解の余地のない行為」と明言。

EY
侵攻への非難声明を発表。「ウクライナでの戦争を糾弾し、国際法違反を非難する。ウクライナへのロシアの軍事侵攻は、EYの中核をなす価値観に真っ向から対立する。すべての当事者が平和的解決に向けて努力することを強く求める」。ウクライナの従業員および軍事衝突に家族や友人が巻き込まれている世界中の従業員の支援を行っている。

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小松 遥香 (Haruka Komatsu)

アメリカ、スペインで紛争解決・開発学を学ぶ。一般企業で働いた後、出版社に入社。2016年から「持続可能性とビジネス」をテーマに取材するなか、自らも実践しようと、2018年7月から1年間、出身地・高知の食材をつかった週末食堂「こうち食堂 日日是好日」を東京・西日暮里で開く。前Sustainable Brands Japan 編集局デスク。