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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)

H&M、グッチなど大手ブランドが森林認証のあるセルロース繊維を重視

H&Mは春夏のサステナブルコレクションに環境に配慮したセルロース繊維を使用したロングワンピースを発表

ファッション業界ではここにきてサステナブルな素材の調達が活発化している。レーヨン、リヨセルなど木材から取り出したセルロース使用の繊維として原生林や消滅の危機にある森林からの調達を避け、きちんと管理されたFSCなど森林認証のある原料を選ぶ大手ブランドが増えている。H&Mは2025年末までに自社の製品に使用するセルロース繊維をFSC認証林から優先的に調達を行うと宣言。グッチも、FSC認証を得た森林からセルロースの調達を拡大している。ステラマッカートニー(本社:イギリス)は森林保護団体と協力し、セルロース繊維の環境への負荷を調査し、原料調達から製造までのトレーサビリティを行っている。(環境ライター箕輪弥生)

どんな森から調達されたセルロース繊維なのかを明らかにする

ファッション業界ではリサイクルポリエステルやオーガニックコットンなど、サステナブルな素材が注目され、シフトが進んでいる。その中で木材を原料としたセルロース(植物)繊維は、世界の織物市場で7%未満を占めるにすぎない。しかし、植物由来の原料であるため生分解し、ポリエステルやナイロンのように洗濯時にマイクロプラスチックを発生させないことが再認識され、セルロースファイバー国際会議によると、2016年から2024年までに9%以上伸びると予想されている。

中でも原料となる木材パルプについて、持続可能な森林管理をする森から調達したものを選ぶことが重視され、FSC(森林管理協議会)認証を取得したセルロース繊維を利用するアパレルメーカーが増えている。

FSCジャパン マーケティング&広報担当の河野絵美佳さんは「FSCは2015年からFSCラベル付きの衣類などの開発を支援してきたが、最近では、繊維や天然ゴムなどの森林由来の原材料調達について、FSC認証を要件として取り入れるブランドが増えてきている」と話す。

大手ファッションブランドのH&Mは、2025年末までに自社の製品に使用されるセルロース繊維をFSC認証のある森林から調達した資源から調達することを明らかにしている。H&Mに製品を供給しているサプライチェーンに対しても、カナダ森林保護NGOキャノピーが実施する「キャノピースタイル監査」と呼ばれる、森林保全に関する独立した監査を通じて持続可能な繊維であることを証明することを要請している。

H&Mの環境持続可能性ビジネスエキスパートであるマドレーネ エリクソン氏は「キャノピースタイル監査とFSC認証原材料を組み合わせることで、私たちが使用する木質繊維が適切に管理されている森林から調達されていると確信できる」と話す。

H&Mは2020年の春夏コレクションでも、テンセル(リヨセル)やオーガニックコットン、リサイクルポリエステルを主に使用し、全体の半数でサステナブルな素材を使用している。

繊維のトレーサビリティも重要に

木材パルプとリサイクル・コットンから作られる「リフィブラ」が示すサーキュラーな製造過程

ハイブランドのグッチも同様に、FSC認証を得た森林およびキャノピースタイル監査の基準を満たした生産者からレーヨン(ビスコース)などのセルロース繊維を調達すると表明している。2018年はすでに、ウェアおよびアクセサリーに使用した木材パルプ由来のレーヨンの約62%が、この手法に沿って検証されたサプライヤーから調達されたものだ。

セルロース繊維だけでなく他の素材に関しても、グッチは、2018年までに原材料の95%を原産地まで追跡するという目標を掲げ、2025年までにはその割合を100%にまで引き上げようとしている。

一方、サステナブルな素材への取り組みに熱心なブランド、ステラマッカートニーは、FSC認証を受けているスウェーデンの森林で採取した木から作られたパルプをつかったレーヨン(ビスコース)を選んでいる。パルプはドイツに渡ってビスコースの繊維に加工し、イタリアで生地に織り上げるという製造過程を把握し、サプライチェーンにおいても森林破壊に関与していないことを示すトレーサビリティを実現している。

同ブランドはレーヨン製造の環境影響に関するデータがないことに気づき、2017年に国際NGOキャノピーと協力し、セルロース繊維の原料10種の環境性能をライフサイクル・アセスメント(LCA)の手法で比較した。この調査では、原材料が森林から採取されるところから繊維の製造に至るまで、セルロース繊維の幅広い環境負荷を評価した。

この調査の結果の中で環境への負荷が少ないとされたユーズドの衣類から製造されたレーヨンをステラマッカートニーは2019年から製品に利用している。これはオーストリアのレーヨン最大手レンチング・グループが開発したリサイクルレーヨン「リフィブラ」で、木材ファイバーとコットンの古着や残布を混合して作る新たな循環型のセルロース繊維だ。ZARAやリーバイス、パタゴニアといったブランドも製品に採用している。

ファッション業界は廃棄量の多さや環境負荷が高いことが認識されるにつれ、それを是正しようとするサステナブルな傾向が年々高まっており、繊維の原料や加工についてのトレーサビリティや環境負荷についても重視するブランドや繊維会社が拡大しそうだ。

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箕輪 弥生 (みのわ・やよい)

環境ライター・ジャーナリスト、NPO法人「そらべあ基金」理事。
東京の下町生まれ、立教大学卒。広告代理店を経てマーケティングプランナーとして独立。その後、持続可能なビジネスや社会の仕組み、生態系への関心がつのり環境分野へシフト。自然エネルギーや循環型ライフスタイルなどを中心に、幅広く環境関連の記事や書籍の執筆、編集を行う。著書に「エネルギーシフトに向けて 節電・省エネの知恵123」「環境生活のススメ」(飛鳥新社)「LOHASで行こう!」(ソニーマガジンズ)ほか。自身も雨水や太陽熱、自然素材を使ったエコハウスに住む。

http://gogreen.hippy.jp/