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「未来のための金曜日」の小中高生デモ、世界に拡大

2月に開催されたベルギー・ブリュッセルのデモに参加したグレタ・トゥンベリさん(左から2人目)
©︎Michiko Kurita

いま気候変動対策を訴える小中高生の動きが世界規模で高まっている。12月の国連気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24、ポーランド)にスウェーデンの高校生グレタ・トゥンベリさんが登壇し、大人の世界に対して辛辣な批判をしたことに呼応した。米国や欧州では学生・生徒によるデモも起きた。(寺町幸枝、パリ・羽生のり子)

グレタさんはCOP24で、世界の政治的・経済的リーダーたちに対し、「地球環境が危機的状況ということを、はっきり認識し、それに伴って化石燃料の使用を停止するといった対策を早急に取る必要がある」と辛辣な言葉で訴えた。

スピーチするグレタ・トゥンベリさん
©︎Michiko Kurita

グレタさんが行動を起こしたのは昨夏。政治家へ環境問題に対する積極的なアクションを求めたスト「Fridays For Future(FFF、未来のための金曜日)」を提案し、自らスウェーデン国会前で学校へ行かずに座り込みを始め、3週間も続いた。

ローリングストーン誌によると、グレタさんは「選挙前にも関わらず、政治家から気候変動に関する具体的な政治指針が出されていないことにショックを受け、そのことが、FFFのきっかけになった」という。

グレタさんのFFFストは、インターネット世代の若者たちの間で、すぐに共有され、国と地域を超えて世界規模のムーブメントとして広がった。米国からオーストラリア、ウガンダや日本の若者たちを動かし、共感した学生たちが世界各地300を超える都市で、FFFが一気に広がった。

1月には3万5千人を超える学生たちが、ベルギーでFFFのデモ行進を行い、一気に世界の注目を集めた。2月に行われたデモにはグレタさん本人も駆けつけた。現地で取材に当たったジャーナリストの栗田路子さんによると、スウェーデンから丸一日以上も電車に乗ってブリュッセル入りしたグレタさんを熱狂的に受け入れ、ベルギーの中高生代表をはじめ、ドイツ、オランダからも応援が駆けつけて大きなデモにつながった。

グレタさんは「現代版ジャンヌ・ダルク」と形容され、そのカリスマ性、行動力は多くの若者たちを魅了している。

欧州では、最近では教師や親を中心とした大人たちが加わって、ストライキには7万~10万という人が週末に集まるようになっているという。そして3月15日には、世界100カ国を超える国と地域で、大きなデモが行われた。日本でも、京都や東京・渋谷の国連大学前を皮切りに、集会とデモ行進が行われ、100人以上が参加した。

フランスでも、グレタさんに賛同した気候変動対策を訴える学生デモが3月15日、全国規模であり、16万8千人を動員した。パリでは中高大学生5万人が行進した。環境対策の遅れで地球が破滅すると訴えるプラカードを持つ学生たちで、出発点のパンテオン広場は身動きができないほどだった。学生を支援する教員も多かった。

出発点のパンテオン広場で「Make our planet great again」
「勉強?どんな未来のために?」
「乾燥を止めるために授業をサボった」

フランスのFFFデモは2月15日、エネルギー移行・連帯省の前に学生たちが集まったのが一回目だった。2月22日、主催者側がパリに招待したグレタさんとともに、約1000人の学生と教員がオペラ座からレピュブリック広場まで行進した。

3月15日のデモは、翌日の気候変動デモ「今世紀の行進」と連動しており、16日のデモの主催者は学生デモにも参加するよう呼びかけていた。

デモ地に行くバスに乗り合わせたパリの中学生三人は、初めて参加するデモに興奮気味で、「今日は先生たちも学校に来ていない」と話した。

出発点のパンテオン広場は、段ボールの裏に手書きしたプラカードを持つ若者ではち切れんばかりになった。

ネギを持つ12歳の三人組
「子どもの頃、シロクマを救う人になりたかった。でももう遅い。シロクマはいなくなってしまった!」
「むかしむかし、地球があった」

「緑の象徴として」ネギを掲げて歩いていたニルさん、ディミトリさん、イゼさんは12歳の中学生。「気候変動には自分たちの未来が掛かっている。家で親とも話している」と語った。

高校生のリリさんは「子どもの頃、シロクマを救う人になりたかった。でももう遅い。シロクマはいなくなってしまった!」と書いたプラカードを持ち、「気候変動を食い止めるために誰も動こうとしない」と怒っていた。

生徒を応援に来た中学教師、レティシア・フェカンさん

教師も多かった。教員組合の旗を持っていたパリの中学教師、レティシア・フェカンさんは「生徒を応援するために来た。中学では気候変動についての授業が少なすぎる。教育省はもっと増やすべきだ」と訴えた。

黄色いベストの男性も二人いた。一人はノルマンディの中学教師のクレマンさん。組合には入っていないが、組合がストを申請すると非組合員もストに参加できるので、今日はストをしてデモに来た、という。「学生がこうしたデモをするのは素晴らしい」と賞賛した。

行進の主役が若者と子どもだけに、武装した警察官や機動隊は来ておらず、行進は平和的に終わった。

ノルマンディの中学教師、クレマンさん(右)
この人も教師。「子どもたちのため、生徒たちのため、ここに来た」
行進する学生たち




寺町 幸枝 (てらまち・ゆきえ)

  • Funtrapの名で、2005年よりロサンゼルスにて取材執筆やコーディネート活動をした後2013年に帰国。現在国内はもとより、米国、台湾についての情報を発信中。昨年より蔦屋書店のT-SITE LIFESTYLE MAGAZINEをはじめ、カルチャー媒体で定期出稿している。またオルタナ本誌では、創刊号以来主に「世界のソーシャルビジネス」の米国編の執筆を担当。得意分野は主にソーシャルビジネス、ファッション、食文化、カルチャー全般。慶應義塾大学卒。Global Press理事。


羽生 のり子 (はにゅう・のりこ)

  • 環境、エコロジー、農業、食物、健康、美術、文化遺産を主な分野とするジャーナリスト。1991年からフランス在住。環境ジャーナリスト協会、自然とエコロジーのジャーナリスト・作家協会、文化遺産ジャーナリスト協会(いずれもフランス)の会員。共著「世界の田園回帰」(2017年、農文協)。


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