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「パンツからドレスまで」レンタル業、世界的に拡大

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レナ・ザ・ファッション・ライブラリーで。ファッショントレンドにも、環境問題にも敏感なミレニアル世代が主な顧客だ
© Lena the Fashion Library

ジーンズからドレスまで、服のレンタル業が世界的な広がりを見せている。ファストファッションの「大量販売・大量消費」を環境・倫理面で問題視する消費者の存在が背景にある。多くは月ぎめの会員制で、モノの所有にこだわらないミレニアル世代向けが多く、「シェアリングエコノミー」の一形態と言えそうだ。(クローディアー真理)

衣類の生産量が年々増加している一方で、マッキンゼー・アンド・カンパニーによれば、生産後1年以内に捨てられるのは、その5分の3にも上るという。材料科学の専門誌、『アドバンスト・マテリアル・リサーチ』に2014年に発表された研究では、廃棄衣料の95%が再利用可能なものだそうだ。先進国では、使用済み衣料の約1割を占める質が良いものを再販し、残りは途上国に輸出する。しかし、質が良くなく、輸出先でも処分されることが多いという。

この問題を少しでも解決しようと、世界各地で服のレンタルショップがオープン。ミレニアル世代の女性を中心に「自分のたんす」として利用する人が増えている。

服のレンタルを、日常生活の一部に

消費者に、「ファストファッション」の代わりに「レンタル」を浸透させたいと、約10年前にオランダのアムステルダムに創立されたのが、「レナ・ザ・ファッション・ライブラリー」だ。店舗とオンラインで、高品質なヴィンテージウエアを中心に、地元デザイナーの新作のレンタルを行っている。

レンタルにはお金の代わりにポイントが使われる。顧客は4タイプある会員の1つを選択する。借りられるコレクションや、与えられるポイント数がそれぞれ違う。会費は1カ月10~50ユーロ(約1200~6400円)。レンタル期間は問われない。非会員でも、そのつど料金を支払えばレンタルできる。

返却は、店舗や市内各所にあるスワップポイントに持参するか、送付する。送料は顧客持ち。返す前に、店側の指示書に沿って洗濯をする必要がある。

デザイナーブランドで女性を力づける

米国人気デザイナー、ニコール・ミラーのドレス。レント・ザ・ランウェイでは、同ブランドを含め、500以上のブランドのドレスやアクセサリーを貸し出している

「レント・ザ・ランウェイ(RTR)」は米国国内の5店とネットでレンタルを行う。デザイナーブランドの服を借りて着ることで、女性に自信をつけてもらおうと、2008年に女性2人組が開業した。

1カ月に4着を借りるタイプと、1度には4着だが何度借りてもいいタイプの2種類の会員がある。レンタルできるブランドの種類も双方で異なる。1カ月の会費は、前者が89USドル(約1万円)で、後者が159USドル(約1万8000円)。両会員向けにさまざまな特典を設けている。

RTRは、シーズン落ちの衣類を慈善団体に寄付している。環境に負荷がかからない包装やクリーニング法をとり、動物保護のため、毛皮は置かない。2015年には、スイス最大の銀行、UBSの協力を得て、RTR基金を立ち上げ、後輩女性起業家の支援も行う。

ファストファッションの解決策としてレンタルを提案

ザ・クローズ・ライブラリーでは、レンタルされている服を買うことも可能だ
© The Clothes Library

オーストラリアはシドニーの、「ザ・クローズ・ライブラリー」では、おしゃれで、ファストファッション並みに安価で便利、そして環境への負荷を抑えられる、服のレンタルを行う。

セカンドハンドのデザイナーラベルを中心に、地元デザイナーの服も貸し出す。会員制で、入会費は100AUドル(約8000円)。50、75、100AUドル(約4000、6000、8000円)の3つのタイプがあり、1回のレンタル数や、借りられるアイテムの値段が各々異なる。

服の持ち込みも歓迎だ。レンタルとして貸し出すものもあるが、そのほかは慈善団体に寄付したり、アップサイクル・ワークショップで利用したりする。現在、「脱ファストファッション」のメッセージを伝えようと、地元の学校でもワークショップを行うことを計画中だ。

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クローディアー真理

ニュージーランド在住ジャーナリスト。環境、ソーシャル・ビジネス/イノベーションや起業を含めたビジネス、教育、テクノロジー、ボランティア、先住民マオリ、LGBTなどが得意かつ主な執筆分野。日本では約8年間にわたり、編集者として多くの海外取材をこなす。1998年にニュージーランドに移住。以後、地元日本語誌2誌の編集・制作などの職務を経て、現在に至る。Global Press所属。