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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)

「サステナブルブランド国際会議2016」米国本会議

「サステナブルブランド(SB)国際会議2016」の米国本会議が2016年6月6日─9日の4日間、カリフォルニア州サンディエゴで開かれた。23カ国から約1500人が参加し、今年のスローガン「アクティベイティング・パーパス(Activating Purpose)」について30以上の講演やシンポジウム、ワークショップが繰り広げられた。今年の傾向と内容を速報する。(オルタナ編集長 森 摂)

「存在目的(パーパス)」を揺り起こせ

今年のスローガン「アクティベイティング・パーパス」の「パーパス」は日本語で「目的」と訳されることが多い。

しかし、英語では単なる「目的」ではなく、企業や組織、個人が「なぜそれに取り組むのかという理由」「何のために存在するのかという意義」のニュアンスが強い。アクティベイトも平たく訳すと「活性化する」だが、敢えて意訳するなら「揺り起こす」だろう。

つまり、「アクティべーティング・パーパス」には、企業や組織が持続可能性(サステナビリティ)に取り組む理由を見つめ直し、改めて自社の立ち位置を決め、今後の環境・CSR/CSV活動をさらに強固にしていく─という意味が込められている。

SB国際会議は2006年の第一回以来、最初の10年が過ぎた。これまでのスローガンは「HOW NOW」(今、どのようにすべきか)など、個別のサステナビリティ活動に焦点を合わせるものが多かった。しかし今年は、ガラリと趣向を変え、もう一度、「企業や組織の立ち位置を見直すことに重点を置いた」と解釈してよいだろう。

ただし、日本企業がよくやるような「原点回帰」ではない。いまグローバル規模で起こっている変化への対応だ。それは、「市場」「世代」「社会」のいずれもが持続可能性を強く意識し始めたことに尽きる。近年、世界的に環境や人権などのサステナビリティ課題に対しての関心が高まるに連れ、市場もさらにサステナブルな方向にシフトしている。

「消費市場」だけではなく、「株式市場」も同様だ。サステナビリティへの取り組みが高い企業は特に欧州の株式市場で評価を受けている。「ブランドは常に変わり続ける。変わらないのは消費者との距離だけだ」─。CSV(共通価値の創造)を最初に提唱したピーター・ブラベック・前ネスレCEOは、筆者とのインタビュー(2005年)でこう言い切った。

ミレニアル世代にも照準

市場(消費者や投資家)がサステナビリティにシフトしていくのであれば、企業も同様に舵を切ることは当然のブランド戦略であり、それはビジネス戦略の中核に位置させるべきであろう。「世代」の変化では、特に「ミレニアル世代」に注目が集まった。1980年代半ば以降に生まれ、2000年以降に成人した世代のことだ。

彼ら/彼女らは世界的に「モノ」の消費意欲が低い一方で、コミュニティへの帰属意識、仲間とのつながり、サステナビリティなどに強い関心を示す。

ミレニアル世代はオーガニックの農産物やフェアトレード製品などを選択的に消費する傾向も強い。さらには「ソーシャル・グッド」(社会のために良いこと)を実践する企業やブランドを応援し、そうではない事例に対しては、たとえ有名なブランドでも厳しい批判の矛先を向ける。

今後、社会で一定割合を占めることになるミレニアル世代から高い信頼を得ておかないと、企業は今後、自社事業への潜在リスクを抱えたままになる。「市場」が変わり、「世代」が変わり、そして「社会」が変わる。先進的な企業は常に社会との関係性に敏感であり、さまざまなステークホルダーとのエンゲージメント(長期的な関係性の構築)への努力を惜しまない。

ビジネス変革迫る「持続可能性」

今年のSB本会議でも、途上国の貧困問題やフェアトレード、リサイクル、オーガニック製品の普及など、さまざまなビジネス事例が紹介された。彼らに共通するのは、自社の事業目的をサステナビリティや社会的課題の解決に置いたことだ。

その嚆矢(こうし)は米インターフェイス(再生カーペットメーカー、1973年創業)やパタゴニア(1973年創業)であり、ザ・ボディショップ(1976年創業)やアヴェダ(1978年創業)などが続いた。

これらのソーシャル・ビジネスは当初、世界的には小さい存在であったが、40年後の今、その価値観は他の大企業に大きな影響を与えるに至った。

今年のSB会議ではネスレ、BASF、ティンバーランドなどのグローバル企業がスポンサーになり、トヨタ自動車やウォルマート、ターゲットなどの担当者が、NGO/NPOや環境活動家らと同じ壇上に立った。

こうした光景を目の当たりにして、サステナビリティをビジネス戦略の根幹に置くことが今やあらゆる企業にとって喫緊の課題になったことを改めて実感させられた。

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