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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)
サステナブル・ブランドの作り方

第16回:アップルが本気で徹底していること

SB-J コラムニスト・足立 直樹
アップルのティム・クックCEO Photo: Apple

こんにちは、サステナブルビジネス・プロデューサーの足立です。さて、この連載ではこれまで多くのサステナブルなブランドを紹介してきました。サステナブルな活動をしっかり行い、そしてそのことをしっかりと伝える努力をしているブランドばかりです。

それでは、私たちはどうしたらサステナブル・ブランドを作ることができるのでしょうか。サステナブルな活動をして、それを宣伝すればすぐにブランドになるのでしょうか。お客様から信じてもらえるのでしょうか。

もちろんというか、残念ながら話はそう単純ではありません。単にサステナブルな行動をしたり、カッコイイことを語るだけでブランドになるのであれば誰も苦労はしません。

しかしだからといって、何か特別に難しいことに挑戦しなくてはいけないというわけでもありません。むしろ、話はもっと簡単なことです。

私たちが行っていることがブランドになる、つまりその会社が大切にしている価値観がしっかり伝わるために、大切なことはなんでしょうか。

もちろん一番大切なのはその価値観そのものでしょう。何のためそのような行動をするのか、それをきちんと突きつめる必要があります。そして次に大切なことは、その価値観に沿った行動を徹底的に行なう。つまり言行を一致させることです。そうでなくては、信じてもらえませんからね。

そう、これこそがブランド作りの肝(きも)なのです。自分たちの価値観に沿った首尾一貫した行動をすること。それを徹底的に繰り返すこと。とてもシンプルなことですよね。

さらにブランディングをサステナビリティを軸として行なうためには、その価値観がサステナビリティにつながっていれば良さそうです。

「よしわかった、それなら簡単だ。サステナブルなことはもういろいろやっているから…」という威勢の良い返事が聞こえてきそうですが、ちょっとだけ待ってください。

サステナブルなことをしていると言っても、それは本当にあなたの事業にとって必要な、そして重要なサステナビリティなのでしょうか。つまり、今風に言うと「マテリアル(重要)」ってやつですね。それをまず確認していただきたいと思います。

なぜなら、本当に重要な課題には取り組まずに、本業とは関係性が低いサステナブルなことをしても説得力はないからです。下手をしたら、グリーンウォッシュだと評判を下げてしまうかもしれません。

そして自分たちにとってマテリアル(重要)なサステナビリティの課題を特定したら、それに徹底的に取り組む。繰り返し取り組む。命をかけて取り組む。それができれば、あとはそれほど苦労することはないでしょう。お客様が、社会が、あなたの会社の本気に気付けば、きっとサステナブル・ブランドは育っていくはずです。

その具体的な例として、今回は私がとても好きな事例をご紹介したいと思います。以下の映像をご覧ください。

Apple – アクセシビリティ – Sady

これは今から1年前の昨年10月27日、アップルが4年ぶりにリニューアルしたMacBook Proを発表したイベントの冒頭で流された映像です。

 「人は障がいが障壁であると思っていますが
 私はそうは思いません」

ナレーションは、この映像の主人公であるSady Paulsonさんが画面に打ち込んだ言葉を読み上げたものです。

世の中にはいろいろな種類の障がいをもった方々がいます。でもアップル製品は、どんな障がいを持った人にでも使えるようにデザインされているのです。なぜならアップルは、「テクノロジーはすべての人が使いやすいものであるべきだ」と信じているからです(※)。

この映像を見て、私はハッとし、自分が使っているMacBookやiPhoneを改めて見てみました。すると、たしかにそこには「アクセシビリティ」という項目があり、さまざまなアシスト機能が設定できるようになっているのです!

障がい者の方用に特別な製品を作ることなら、どこの会社でもできるでしょう。けれどもアップルの場合には、すべての製品にアクセシビリティを向上させる仕組みが最初から組み込まれているのです。

このことに気付いたとき、私はアップルの「本気」に言葉を失いました。確かにいろいろなアクセシビリティ機能があることには以前から気が付いていました。けれど、ここまで徹底しているとは考えていなかったのです。アップルを見る目がまったく変わりました。

しかし、このことによって世界を見る目が変わる体験をもっともしたのは、アクセシビリティ機能を日々活用している方々でしょう。

覚えているでしょうか、先ほどの映像の衝撃的な結末を。あの素晴らしい映像は、Sadyさん自身がMacを使って編集したものであり、彼女はこんな言葉で映像を締めくくっていました。

「すべての人のために作られたテクノロジーがあれば
 誰でも好きなことができます
 私のように」

え、カッコ良すぎる?できすぎ?この映像だけが特別?そんな声があったからかどうかはわかりませんが、今年の春にアップルはさらに7本の映像を公開しています。お時間のある方は、ぜひこちらもご覧ください。

アクセシビリティ — みんなが使えるように

※アクセシビリティについてのアップルの考え方は、以下のページに詳しく紹介されています
https://www.apple.com/jp/accessibility/

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足立 直樹
足立 直樹 (あだち・なおき)

サステナブル・ビジネス・プロデューサー。株式会社レスポンスアビリティ代表取締役。一般社団法人企業と生物多様性イニシアティブ理事・事務局長。東京大学・同大学院で生態学を学び、博士(理学)。国立環境研究所とマレーシア国立森林研究所(FRIM)で熱帯林の研究に従事した後、独立。2006年にレスポンスアビリティを設立し現在に至る。2008年からは企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)事務局長も兼務。

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