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サステナビリティ 新潮流に学ぶ

第1回: サステナビリティのルーツを探る

SB-J コラムニスト・古沢 広祐

「サステナビリティ」は地球サミットの概念から

サステナビリティ(Sustainability)は企業報告書などでもよく使われ、「持続可能性」を意味する言葉ですが、それは「持続可能な開発・発展」(Sustainable Development)の概念から来ています。この言葉をめぐっては、かなり長い歴史的いきさつがあります。

しかも、昨年の国連総会(設立70周年)サミットにて「持続可能な開発のための2030年アジェンダ」が満場一致で採択され、そこで明示された「持続可能な開発目標」(SDGs)が今年から実際に動き出すことから、今や目を離すことはできません。(Developmentの訳は開発と発展があり適宜使い分ける)

この概念が世界的に広く普及したのは、1992年の地球サミット(国連環境開発会議、リオデジャネイロで開催)を契機にしています。当時、私はNGO(環境市民団体)のメンバーとして参加しましたが、世界170カ国以上、4万人を超える人々が集まり、史上空前の国連の環境会議として今もその熱気が思い出されます。

もともと国連のブルントラント委員会のレポート「われら共有の未来(Our common future)」(1987年、邦訳「地球の未来を守るために」)で提示されて、地球サミットの中心的キーワードとなったのですが、「将来の世代がその欲求を満たす能力を損なうことなく、現在の世代の欲求を満たす開発」としてよく引用されます。

今の現存世代の豊かさの実現が、将来世代の環境や資源を侵害しないように、末永く永続性を確保する開発・発展の姿を求めたものです。これは明解な定義というより、あるべき姿を結果の方から示した表現ですので、具体的な場面においては様々に拡大解釈を生んできました。

今回は、この概念がどのようにして形成されてきたのか、まずその成立史について簡単に辿ってみましょう。それは、環境問題が国境を越えた世界共通の課題として登場してきた1970年代にまでさかのぼります。

環境問題と経済発展の両立

1992年地球サミットの20年前、1972年に国連人間環境会議(スウェーデン・ストックホルム)が開催され、日本からは水俣病の患者さんが市民運動の支援で参加しました。急速な日本の経済発展について、当時は「奇跡の成長」と称賛されたものですが、その発展・繁栄の影で深刻な公害被害が起きていたことを国際社会は深刻に受けとめました。

この会議の中心的なテーマは、環境問題をどう受けとめていくか、とくに「環境と開発の両立」をめぐる問題への認識だったと言ってよいでしょう。経済発展が、環境破壊と表裏の関係として深く結びついていることへの認識と、それをどう克服するかがクローズアップされたのです。

この人間環境会議を契機に設立されたのが国連環境計画(UNEP)で、その本部はケニアのナイロビに置かれたことをみても、途上国の開発・発展が環境保全との両立を目指したい意志の表れでしょう。

その後、環境と開発の関連性や矛盾、とくに地球環境問題と南北問題・開発問題をどのように解決するべきかという課題に焦点をあてた会合が、74年に開かれました。

UNEP(国連環境計画)とUNCTAD(国連貿易開発会議)が共催してメキシコのココヨクで開かれた国際会議で、その会議において「経済社会的な諸要因、富と所得の分配パターン、国内または国家間の経済活動など開発問題と不平等を生んだものが、同時に環境破壊要因でもある」、「人間としての基本的必要の充足」、「生物圏の負担能力の限界を侵害しない」、「自助的で代替的な開発方式と生活様式の模索」などの点が合意されました。

なかでも興味深いのは、「我々の世代は、人類の将来福利と生存が危険にさらされるほど、地球上の有限の資源を消費したり、生命維持システムを汚染することなく、将来の世代の必要を考慮するまでの視野が必要である」という内容が提起されており、まさに「持続可能な開発・発展」の基本理念の萌芽がこの会議において議論されたことが分かります。

「カレント家庭科資料 暮らし/環境/共に生きる 」
 編集代表・古沢広祐 一橋出版 1996年刊

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古沢 広祐
古沢 広祐 (ふるさわ・こうゆう)

國學院大學経済学部(経済ネットワーキング学科)教授。
大阪大学理学部(生物学科)卒業。京都大学大学院農学研究科博士課程(農林経済)研究指導認定、農学博士。
<研究分野・活動>:持続可能社会論、環境社会経済学、総合人間学。
地球環境問題に関連して永続可能な発展と社会経済的な転換について、生活様式(ライフスタイル)、持続可能な生産消費、世界の農業食料問題とグローバリゼーション、環境保全型有機農業、エコロジー運動、社会的経済・協同組合論、NGO・NPO論などについて研究。
著書に、『みんな幸せってどんな世界』ほんの木、『食べるってどんなこと?』平凡社、『地球文明ビジョン』日本放送出版協会、『共生時代の食と農』家の光協会など。
共著に『共存学1, 2, 3, 4』弘文堂、『共生社会Ⅰ、Ⅱ』農林統計協会、『ギガトン・ギャップ:気候変動と国際交渉』オルタナ、『持続可能な生活をデザインする』明石書店など。
(特活)「環境・持続社会」研究センター(JACSES)代表理事。(特活)日本国際ボランティアセンター(JVC)理事、市民セクター政策機構理事など。
http://www.econorium.jp/fur/kaleido.html

https://www.facebook.com/koyu.furusawa

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