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ニュージーランド

NZの銀行が「自然保護に携わる犬」の育成に資金援助

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ニュージーランドでは絶滅に瀕するキーウィなどの原生鳥類を守るのに、嗅覚が優れた犬を用いている  Facebook: Pai and Piri

ニュージーランド(NZ)では、自然保護での犬の活躍が目立つようになってきている。NZの有力銀行、キーウィ・バンク(本社・ウェリントン)は、同国の環境局と害獣撲滅を目的に活動するプレデターフリーNZトラストが進める「コンサベーション・ドッグ」プログラムに向こう3年にわたって資金協力をする。犬の主な役割は希少な鳥類と捕食動物を探し出すことで、環境局は同行が提供する資金を、専門トレーナーの常勤雇用に活用する計画。

NZの中央政府組織の1つ、環境局は、「プレデターフリーNZ・2050」と称し、2050年までに国内の害獣を撲滅することを狙いとした活動に取り組んでいる。キーウィ・バンクが支援するのは、その内の「コンサベーション・ドッグ」プログラム。絶滅に瀕するキーウィなどの原生鳥類を守るのに、嗅覚が優れた犬を用いている。環境局は、現職のパートタイムトレーナー67人に加え、同行からの援助金で専門トレーナー2人を常勤で雇う。

自然保護に従事する犬の使命は2つある。1つは保護鳥を探し出し、トレーナーを導くこと。そこでトレーナーは鳥に標識バンドを付ける、他の安全なエリアに移すなどの適切な保護手段を講じる。もう1つは天敵であるイタチやネズミがいた形跡や匂いを探知し、知らせることだ。トレーナーはその情報をもとに、周辺にわなをしかけたり、食毒剤をまいたりして、駆除を行う。現在45匹の犬が保護鳥、35匹が捕食動物を探す任務に就いている。トレーナーの充実で、環境保護に携わる犬の数の増加、その働きの精度の向上が期待できる。

キーウィ・バンクはさらに、町ぐるみで害獣を排除しようというコミュニティへのサポートも表明している。専門家によるアドバイスの提供のほか、わなの代金を補助する。

現在のところ支援は3年の予定だが、延長の可能性もある。同行の最高責任者、ポール・ブロック氏は、全国すみずみにいきわたる、同行の支店・顧客網を通して、害獣撲滅運動をアピールしていきたい、と話す。

クローディアー真理

ニュージーランド在住ジャーナリスト。環境、ソーシャル・ビジネス/イノベーションや起業を含めたビジネス、教育、テクノロジー、ボランティア、先住民マオリ、LGBTなどが得意かつ主な執筆分野。日本では約8年間にわたり、編集者として多くの海外取材をこなす。1998年にニュージーランドに移住。以後、地元日本語誌2誌の編集・制作などの職務を経て、現在に至る。Global Press所属。