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東京五輪の持続可能な調達を通じ、SDGs具体化へ

リレートークでは「五輪の調達をいかにサステナブルにするか」が話し合われた

東京五輪に向けて1月に組織委員会が「持続可能性に配慮した運営計画第1版」を発表するなど、同大会での環境配慮の方向性や目標が明らかになりつつある。2月23日に「サスティナブル・ビジネス・ウィメン」らが主催した企業のためのシンポジウムで、小池百合子都知事が、東京大会での具体的な調達政策を紹介するほか、ワーキンググループに参加する委員らが持続可能な調達とSDGsの取り組み状況についての報告や課題を指摘した。(箕輪 弥生)

2年間塩漬けとなった持続可能性の運営指針

「SDGs『持続可能な生産消費』の具体化~五輪の調達を好機に!~」シンポジウムでは、これまでの五輪の環境への配慮について大野輝之・自然エネルギー財団 常務理事から説明があった。

五輪の持続可能性への配慮は、1994年のリレハンメル大会からだと言われている。NGOの連合が主導し世界初のグリーンオリンピックが実現した。2000年のシドニーオリンピックでは大会招致活動から国際NGO「グリーンピース」が参加し、「グリーンオリンピック」が中心的なコンセプトになった。

2012年のロンドンオリンピックでは持続可能な調達方針が明確になるなど、最も持続可能なオリンピックが実現したとされる。昨年開催されたリオのオリンピックでもこの方向性が深化した。 

国際オリンピック委員会(IOC)もこの動きをとらえ、環境や持続可能性を基本理念に盛り込んだ。「2012年のIOC報告書では大会による環境影響を最小化にすることに加え、開催都市の環境を改善する契機にするという視点が加わった」と大野常務理事は説明する。

東京では持続可能な大会がどのように展開されるのだろうか。立候補時点では「2020年東京オリパラ環境ガイドライン」があったが、その後の招致決定後にはガイドラインは公表されず、2年以上大会準備に持続可能性の指針が不在だったことを大野常任理事は指摘した。

今年1月に「持続可能性に配慮した運営計画第1版」が公表され、5月に2版が発表される予定だが、具体的な策定についてやや遅れをとったことは否めない。大野常任理事は「まず、東京都が自らの権限で進められる施設設備、調達で持続可能性の原則にたった取り組みを開始すべきだ」と提言する。

「東京五輪で良いレガシーを残したい」と話す小池百合子東京都知事 (C)UK in Japan- FCO

環境だけでなく経済成長を伴うSDGs の推進

小池百合子東京都知事は、シンポジウムで東京都が進める持続可能な調達政策について説明した。大会競技施設の建設などで使う木材については、認証材や合法性を証明された木材を調達することや、地元東京の多摩産材を優先的に活用し地産地消を進めるとした。

小池都知事は、「NGOからの指摘があった流通、加工段階において違法な木材が混入することについても留意する」と説明する。循環型の調達については2月16日から都庁舎で小型電子機器の回収を始めたことを紹介し、「都市鉱山から大会のメダルを作り、もったいない精神を世界にピールしたい」(小池都知事)と話した。

資金調達では、今年200億円程度の「東京グリーンボンド」を発行し、東京大会を契機とした環境対策を進める予定だ。小池都知事は「企業の方にもSDGsの推進は経済成長を伴うものだという認識をしていただいて、積極的に持続可能な調達を進めてほしい」と締めくくった。

東京大会での物品や建材などの調達の指針はどのようになっているのだろうか。

1月に東京2020組織委員会が発表した運営指針は、環境負荷の最小化だけでなく、資源の有効活用、トレーサビリティからサプライチェーン全体にわたる環境や人権・労働の配慮まで盛り込んだ。

蟹江憲史・慶應義塾大学大学院教授は、「環境だけでなく経済の側面も含めた持続可能性への取り組みが含まれたことが重要」と話す。同様に蟹江教授は、「SDGsとオリンピックは強い関係があり、国や企業の取り組みを世界基準であるSDGsで評価できれば今後投資などの指標にもなる」と期待する。

東京大会の持続可能な調達ワーキンググループの委員も務める冨田秀実・ロイドレジスタージャパン取締役は、「持続可能な調達は、東京大会がゴールではなく始まりである」と話し、ロンドン大会のように五輪終了後も社会にその仕組みが続いていくことの重要性を説いた。

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箕輪 弥生 (みのわ・やよい)

環境ライター・マーケティングプランナー・NPO法人『そらべあ基金』理事。
東京の下町生まれ、立教大学卒。広告代理店を経てマーケティングプランナーとして独立。その後、持続可能なビジネスや社会の仕組み、生態系への関心がつのり環境分野へシフト。自然エネルギーや循環型ライフスタイルなどを中心に、幅広く環境関連の記事や書籍の執筆、編集を行う。著書に『エネルギーシフトに向けて 節電・省エネの知恵123』『環境生活のススメ』(飛鳥新社)『LOHASで行こう!』(ソニーマガジンズ)ほか。自身も雨水や太陽熱、自然素材を使ったエコハウスに住む。

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