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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Brands, PBC)

米アマゾン担当者に聞く、サステナビリティ認証商品の購入を促進する仕組みづくり

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Kellie Ballew

米アマゾンは2020年9月、FSC認証やカーボンニュートラル認証、クレイドル・トゥ・クレイドル(Cradle to Cradle)認証などを取得している商品をサイト上で見つけやすくし、持続可能な消費を促進する「クライメイト・プレッジ・フレンドリー(Climate Pledge Friendly)」プログラムを開始した。同社のサステナブル・ショッピング部門グローバルリーダーのアダム・ワーバッハ氏に同プログラムを始めた経緯やこれまでに学んだこと、今後のビジョンについて聞いた。(翻訳=サステナブル・ブランド ジャパン編集局)

アマゾンは2019年、パリ協定の目標である2050年より10年早い2040年までに、二酸化炭素の排出量を実質ゼロにする誓約「クライメート・プレッジ」を共同で立ち上げ、最初の署名企業となった。クライメート・プレッジには今や300社以上が署名している。

その継続的な取り組みの一環で、同社は2020年、顧客がより持続可能な商品を見つけやすく、購入できるように、また販売パートナーには持続可能な商品づくりを優先する「クライメイト・プレッジ・フレンドリー」プログラムを導入した。

同プログラムの商品は、第三者によるサステナビリティ認証、同社独自のコンパクト・バイ・デザイン認証のいずれかを取得しているものだ。コンパクト・バイ・デザイン認証は、製品の大きさや重さの小さな違いが製造や出荷時の二酸化炭素排出量の削減につながるという考えから、環境負荷の少ないパッケージ、水の使用量が少ない商品、軽量化された商品、濃縮された商品などに付与される認証。

アマゾンは最近、運営する実店舗でも持続可能な販売・商品の促進に取り組むことを目指すことを発表した。米シアトルで今月開店したアマゾン・フレッシュの店舗は、非営利団体インターナショナル・リビング・フューチャー・インスティテュート(International Living Future Institute)が発行するゼロ・カーボン認証の取得を目指す世界初の食料品店だ。

「クライメイト・プレッジ・フレンドリー」プログラム

該当する商品には、緑色の“Climate Pledge Friendly”バッジが付けられており、ページを下にスクロールすると、どういう認証を取得しているかが説明されている。プログラムに認定された商品をまとめたページはこちら

――アマゾンが「クライメート・プレッジ・フレンドリー」プログラムを考案するきっかけは何だったのでしょうか。

ワーバッハ氏:現在、オンラインショッピングを利用する顧客の約半数はサステナビリティ(持続可能性)を優先・考慮して購入を決めています。顧客を大切にする企業として、買い物をされる方々がより持続可能な商品を見つけられるようにプログラムを立ち上げたというのが理由の一つです。このプログラムによって、お客さまはより簡単に、持続可能な製品を見つけることができます。販売者にとっても、顧客に自社の製品をより分かりやすく紹介する機会でありインセンティブでもあります。

――プログラムはこれまでにどのような効果を生んでいますか。

ワーバッハ氏:プログラムは開始して以来、成長し続けています。現在、レインフォレスト・アライアンス認証や、危険な化学物質を含まない商品を認証するEWG(環境ワーキンググループ:Environmental Working Group)認証、安全で資源循環型の製品を認証するクレイドル・トゥ・クレイドル認証、フェアトレード認証などを含む39の信頼できる第三者認証機関と提携しています。これらの認証が、お客さまがより持続可能性の高い商品を識別するための重要な要素となっています。われわれはこのプログラムを通して、科学的な根拠に基づき最も信頼できる基準を特定し、透明性を確保することで顧客からの信頼を築くことに努めています。

さらに、アマゾン独自の認証「コンパクト・バイ・デザイン」も開発しました。この認証は、余分な空気の注入、水の使用、包装を減らし、出荷の効率を高めた製品に付与されます。

現在、プログラムのラインナップは、ビューティー、ウェルネス、アパレル、テック、家庭用品など1万を超えるブランド、商品数では20万点以上に上ります。

このプログラムに名を連ねるブランドは、製品ページに「クライメート・プレッジ・フレンドリー」バッジが表示されたことが売上高にプラスの影響を及ぼしたと話しています。例えば、日用品ブランド「セブンスジェネレーション」は2020年9月に「クライメート・プレッジ・フレンドリー」製品に認定されてから、製品のクリック率が60%以上、新規購入率が140%以上になりました。購入後の調査でも、カスタマーサポート、切り替え行動、リピート購入行動といった点で、顧客が同プログラムのブランドに切り替え、再び購入するというポジティブな兆候も見られます。

――ステークホルダーからはどのような課題への取り組みが求められていますか。また、予想以上に上手くいったと手応えを感じていることはありますか。

ワーバッハ氏:ここまでプログラムを大きく成長させることができました。これからも製品や認証の選択肢を広げていくために、積極的に取り組んでいきます。お客さまからは、「すべての商品カテゴリーでクライメート・プレッジ・フレンドリーの製品を見つけられるようにしてほしい」という意見をいただいています。私たちはお客さまと地球の両方に対して責任があるので、これを機に日々挑戦し、より速く前進していくことを目指しています。

われわれは認証機関や企業ブランドと協力することで、より持続可能な製品を紹介し、消費者がより持続可能な買い物ができるよう促進しています。認証機関は日々、消費者がその購買力を使ってどのように世界をより良くしていけるかを考えています。そうした取り組みの後押しができることを誇りに思います。

――プログラムの今後の展開についてお聞かせください。

ワーバッハ氏:これはまだ始まりに過ぎません。認証の継続的な増加と、20万点以上の製品ラインナップによって、より持続可能な買い物をしたいと関心を抱くお客様に、より多くの選択肢を提供していきたいです。今後も、新たなカテゴリーや新たな国で「クライメート・プレッジ・フレンドリー」プログラムを拡大する機会を模索し、プログラムの認知度を高め、自然界を保全することの重要性をお客さまに伝えていきたいです。