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南米・カリブ地域、循環型経済への移行でコロナ禍からの復興を目指す

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コロナ禍からの復興に向けて世界が動き出そうとしている。国連環境計画(UNEP)は2月、南米・カリブ諸国の循環型経済への移行を支援する地域連合を設立した。同地域が新型コロナウイルス感染症の流行による経済的打撃に立ち向かう中、循環型経済へと移行することは、レジリエントで低炭素の経済復興を実行していく上でも良いことだ。地域連合は、イノベーションを起こすためのリソースの調達や具体的なプロジェクトの実施を促進するため、特に中小企業に重きをおいて資金調達を支援する。(翻訳=梅原洋陽)

パンデミック以前から、南米・カリブ諸国においては従来の「資源を採掘し、作って、捨てる」という直線型経済から脱却する必要性があると考えられていた。しかし、この地域の多くの国ではいまだにリサイクルのインフラが不足している。南米・カリブ諸国は、循環型経済(サーキュラーエコノミー)の原則に基づき、社会やビジネス、環境に利益をもたらし、さらに生物多様性の損失、汚染、気候変動といった世界的な課題の根本的原因に取り組む、発展と繁栄に向けた新たな波を生み出していく機会を手にしている。

UNEPが主導する「循環型経済のための地域連合」は、南米・カリブ諸国における循環型経済への移行に関して共通のビジョンを構築する。そして実行を促すため、分野横断的な連携と知識交換のためのプラットフォームを提供する。

同地域のUNEPでディレクターを務めるレオ・ハイルマン氏は、「この連合の設立に伴い、イノベーションや持続可能なインフラ、包括的な循環型経済を促進することで、特にSDG目標12『つくる責任つかう責任』に焦点を当てた、2030年までの世界共通目標への各国の取り組みの責任も再確認できる。持続可能でない消費・生産が、今日直面する3つの地球規模の危機(気候変動・汚染・生物多様性の損失)の原因となっていることを認識しましょう。これは直線型経済について考え直し、今までの消費・生産パターンを再構築する貴重なチャンスです」と話す。

この連合を支援する戦略的パートナーは、エレン・マッカーサー財団(EMF)、気候技術センター・ネットワーク、米州開発銀行、コンラート・アデナウアー財団、循環経済加速に向けたプラットフォーム(PACE)、国際連合工業開発機関(UNIDO)、世界経済フォーラム。4人の政府代表で構成される運営委員会が交代で指揮をとり、2021年から2022年の期間はコロンビア、コスタリカ、ペルー、ドミニカ共和国の代表で委員会が構成される。

「搾取をし、浪費をし、『これまで通りビシネスする』ことに地球はもう手を貸してくれません。循環型経済に関して地域共通のビジョンを構築することが重要です。連合はまさにそれを行い、具体的で、進捗の測定が可能な取り組みを支援していきます」と、コロンビアの環境・持続可能な開発大臣であり連合長のカルロス・コレア氏は言う。

2019年のEMFの報告書によれば、現在の気候変動に関する議題の多くが、温室効果ガスの総排出量の55%に関係する「再生可能エネルギーへの移行・エネルギー消費効率」に焦点を当てている。しかし循環型経済は、モノや食料の生産、消費によって発生する残りの45%の排出量に対処するのに役立つという。地域連合は、政府や企業、社会全体で連携することで、循環型の戦略を地域で実行する支援を行うことを目指す。

エレン・マッカーサー財団の南米代表、ルイサ・サンティアゴ氏は「エレン・マッカーサー財団は、地球規模の循環型経済への移行を達成するために貢献します。そのためには、あらゆるレベルで前例のない規模の連携が必要となってくる。だからこそ、この地域における循環型経済への移行のための野心的な共通ビジョンを作り上げ、それを達成するために地域での取り組みを統合し、加速させる役割を担う地域連合の発足を発表できることが本当に喜ばしい」と述べている。