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環境再生型農業をビジネスに取り入れるメリットとは

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NSF INTERNATIONAL

消費者はよりトレーサビリティが確保された、エシカルな商品を求めるようになってきている。企業にさらに多くの責任と透明性を期待しているということだ。繊維業界のリーディングカンパニーは気候変動に与える影響を下げようとする動きを見せている。サプライヤーから農作物が安定して提供されることがビジネスの成功には欠かせない。こうした課題に対応していくために、企業や国際的な連携組織は解決策を探そうと動いている。(翻訳=梅原洋陽)

解決策としての環境再生型農業

環境再生型(リジェネラティブ)農業は、二酸化炭素の排出量削減目標を達成し、レジリエンスを高め、消費者の要求に応える方法として注目を集めている。製品やサプライチェーンを二酸化炭素の排出の根源から気候変動対策の一環へと変え、さらに農家を支援し、よりレジリエントな農業システムを構築することができる。

環境再生型農業とは

環境再生型農業という新たなアプローチの定義はこれから明確になっていく。一般的に、環境再生型農業は、土壌や農場の健康をただ保つのではなく、土壌、人、環境の健康を改善させることを目指すものである。被覆栽培や、輸換放牧、保全耕起などの農業や家畜の手法は、土地に栄養を補充し、予測できない気候変動の影響を農園やコミュニティが乗り越える力を強固なものにできる。さらに土壌内に二酸化炭素を抑え込むこともでき、大気中の二酸化炭素を抑制できる。

境再生型農業は、企業の責任ある調達戦略を通して、気候変動やサステナビリティに関する目標を達成するための強力なツールとなる。

サステナビリティ目標を達成する

農作物の調達を必要とする企業が、将来的な調達を確保することはトレンドではなく、賢いビジネス戦略だ。そして、気候変動に対して行動を起こしていくこともトレンドなどではない。調達を通じで、気候変動に対応する姿勢を示すべきだというNGOや投資家からのプレッシャーは増している。

企業やブランドは環境再生型農業で生産された農産物を調達することで、気候目標や企業目標を達成するために活用できる。例えば、温室効果ガスをどれだけ(どれぐらいのスピードで)減少させるかを示す計画表となるSBT(科学と整合する温室効果ガス削減目標)にも利用できる。地球の気温の上昇幅を2℃未満に抑える目標であれば、その目標は科学的だといわれる。環境再生型農業による炭素隔離は環境再生型事業を行う大きなメリットだ。

ブランド、顧客、そして従業員にとってもチャンス

サプライヤーにインセンティブを与え、環境再生型の取り組みを促すことで、ブランドはサプライチェーンのネットワーク全体を通して変革ができ、サステナビリティ戦略を加速できる。企業が実践できる取り組みには以下のようなことがあるだろう。

●現在のブランドの慣行を分析し、ベンチマーキングする
●環境再生型の調達を実行するための戦略を設定する
●サプライヤー、材料、製品の優先順位をつける
●測定や認証のために、正しい環境再生型事業のフレームワークを選ぶ
●サプライヤーや農家を成功に導くために、使えるリソースを明確にする
環境再生型プログラムを実行し、進捗を追跡する

リジェネラティブ・オーガニック(環境再生型有機)認証制度

公衆安全衛生に関する米国の認証機関「NSFインターナショナル(以下、NSF)」では、リジェネラティブ・オーガニック・アライアンスと共に環境再生型オーガニック認証(リジェネラティブ・オーガニック認証:ROC)という認証プログラムを生み出している。同機関は文章やシステム、さまざまなプロセスを担うROCの基本設計を担当するだけではなく、認証団体を認可し、監督する役割も果たしている。

そしてNSFインターナショナルは、ソイル・カーボン・イニシアティブの開発を担当するデザインチームパートナーでもある。同イニシアティブは、環境再生型農業にシフトすることで、土壌の健康を促進し、土壌炭素の構築を目指す、検証に基づいた基準だ。

NSFインターナショナルは、多様なアプローチを策定し、プログラムを実行し、信憑性のある成果を報告することで、環境再生型農業の実践を加速する取り組みを企業と連携して行っている。

より詳細な情報については無料のオンラインセミナーも行っている。米国の有機農業の研究機関ロデール・インスティチュートなどの専門家が土壌健康に関する基礎的な知識や、最適な実践、費用を下げて収穫高を増やす方法、輪作、窒素固定細菌、栄養価の高い作物、そして農場の生産性や生産能力などについて議論を交わしている。