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いまサステナビリティ経営に求められるチャレンジングな課題とは

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SB国際会議2023東京・丸の内

Day1 プレナリー

今や企業経営において、「サステナビリティ」は主要なテーマの一つとなっている。企業の価値を左右するサステナビリティ経営を推進するに当たり、何が重要で、どのような視点が求められるのか。先進的に取り組むグローバル企業から3人の女性リーダーが課題を語り合った。(眞崎裕史)

ファシリテーター
足立直樹・SB国際会議サステナビリティ・プロデューサー
パネリスト
小野真紀子・サントリー食品インターナショナル 専務執行役員
新名司・ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス アシスタントコミュニケーションマネジャー
ジェニファー・モテルス・フィリップ・モリス・インターナショナル チーフサステナビリティ・オフィサー

小野氏

サントリーの小野氏はサステナビリティを推進する上で「いろいろな国・地域の多様性への理解」の重要性を強調。その上で工場の水源エリアに森を整備し、地下水を育む「水源涵養活動」を紹介した。サステナビリティ経営においては「事業やブランドにサステナビリティの価値を植え込んでいく」、つまり事業とビジネスを一体で進めていくことが重要との認識を示した。

新名氏

ユニリーバは企業パーパスを「サステナビリティを暮らしの“あたりまえ”に」と定め、成長とサステナビリティを両立させる戦略「ユニリーバ・サステナブル・リビング・プラン」を2010年に導入。50余りの数値目標を設定し、進捗状況を毎年、社内外に共有してきた。新名氏はこれらを機能させるポイントとして、「透明性の高いコミュニケーション」や「パートナーシップ」など5点を具体的に紹介。「市場では健全に競争しつつも、共創もサステナビリティには欠かせない」と力説した。

モテルス氏

たばこメーカーのフィリップ・モリスは、サステナビリティの観点から、ビジネスモデルの大変革を進めている。
モテルス氏は企業・製品の変革において、ESGデータや、変化の進捗を伝える指標の公表が重要と強調した。

また、サステナビリティ経営を根付かせるアプローチとして、ESGなどサステナビリティに関わる指標と、社員の長期的な報酬とをリンクさせていると紹介。

「従業員はどの部門にいようと、財務的な成功だけでなく、自然の資本、あるいは社会的資本を伸ばしていくことで報酬を受けることができる」と説明した。

最後にサステナビリティ経営でのもっともチャレンジングな課題について、ファシリテーターの足立氏がそれぞれに質問。3氏はほぼ同様に、パートナーシップや共創を口にした。

小野氏はScope3(事業者の活動に関連する他社の温室効果ガス排出量)を課題に挙げ、「業界の中では競合している企業同士でも、協力し、共創していくことが重要になる」と力説。新名氏も行政や消費者をどう巻き込んでいくかが最大のチャレンジだとし、「お互いにメリットのあるポイントを見つけて、粘り強くコミュニケーションしていけば、絶対に道は見つかる」と強調した。モテルス氏は、民間企業は短期的に物事を考えてしまうと指摘した上で「今すぐ成果が見えなくても、正しいことをやっていれば、いつかは実りある結果が出てくる。諦めないでください」と来場者に呼びかけた。

3氏の発言を受けて足立氏が「ここにいる私たちが諦めずにこの仕事を続けることが、これからの地球、社会のための原動力になる」と強調し、セッションを締めくくった。