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ブロックチェーンで支援活動を透明化、「タドれるチョコ」のユニークネスとは

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福祉施設「工房集」の障がいのある作家の作品をパッケージに使った「タドれるチョコ」

バレンタインのチョコレートにもサステナブルな商品が年々増えている。そうした一つ、「タドれるチョコ」はカカオ生産における児童労働などの社会課題に着目し、販売価格の一部が、カカオ生産国の社会課題解決のために使われる応援金付きチョコレートだ。ユニークなのはブロックチェーン技術を使って、生産地で実際にどのような支援が行われたかをたどり、記録できる特徴をもつ点。同製品は、ブロックチェーン技術を使って“顔の見える電気”を販売するUPDATER(東京・世田谷) が運営する「TADORi」が企画したもので、同技術を使って支援活動やサプライチェーンをトラッキングし、透明化する。同社は児童労働など人権問題に関心のある企業との協賛企画も合わせて展開し、実効力のある社会貢献のあり方を企業へ提案している。(環境ライター 箕輪弥生)

バレンタインなどのギフトシーンでもフェアトレードなど、生産地の労働環境を考えたチョコレートに関心を持つ人が増えている。しかし、実際にどんなふうに生産地での支援につながっているのか、そこまで明らかにした社会貢献型商品はこれまでほとんどなかった。

「タドれるチョコ」プロジェクトを企画した「TADORi」の村松 尚子さんは「自分が寄付したものが相手に本当にわたっているのかを明らかにしたかった」と話す。

同プロジェクトは昨年に続き2回目だが、前回はUPDATERの電力トラッキングシステムに使われた技術を使って、チョコレートの販売価格に含まれる応援金100円相当が、どのような過程を経て指定の団体に支払われたかを証明した。

今回は、「どんなふうに支援金が使われたらいいかと思っているかを見える化してみよう」(村松さん)と事前に応援金の用途について消費者側へのリサーチを行い、1、生産地域への教育啓蒙活動、2、カカオ栽培に必要な設備用具の整備、3、新しい苗木を贈る、の3つの中から購入者に選んでもらう仕組みを付加した。これまでのところ、購入者による投票率は高いという。

今回販売されているチョコレートは、児童労働を減らす取組を行うNPO法人ACEが支援するガーナの地域で採れたカカオ豆を使用し、カカオ商社である立花商店(本社・大阪市)がそれを製品化している。
チョコレートの製造やプロジェクトへのアドバイスを行う立花商店の鶴田絹さんは、「現地では児童労働の問題の根底に、貧困問題がある。課題の解決のためには、カカオ産業の基盤を支えるサポートと、両親への教育などソフトのサポートの両方が必要だ」と説明する。

新たな井戸の寄付によって、水くみに半日かけていた子どもたちの学校に行く時間が増えた

鶴田さんは、ACEとガーナでの活動を日本で広めたり、児童労働がなくなる仕組みをつくった地域のカカオを日本に持って来て、チョコとして製品化することを10年以上にわたって続けている。
「カカオにまつわる問題について、ブロックチェーンなど新しい切り口で幅広い人に知ってもらいたい」と鶴田さんはプロジェクトに期待する。

TADORiは「タドれるチョコ」だけに限らず、ブロックチェーンを用いて支援活動やサプライチェーンをトラッキングできるプロジェクトを展開している。これには製造工程と原価を透明化したカシミアのプロジェクトや、自社商品のブロックチェーンにソリューションを提供して応援金をトラッキングしてもらうプログラムなどさまざまだ。

今回のプロジェクトでは、商品の販売に限らず、人権問題を学ぶセミナーを含む企業向け協賛プランも展開する。「TADORi」の村松さんは「今後もパートナーシップを広げて、社会的インパクトを大きくしていきたい」と語った。

箕輪 弥生 (みのわ・やよい)

環境ライター・ジャーナリスト、NPO法人「そらべあ基金」理事。
東京の下町生まれ、立教大学卒。広告代理店を経てマーケティングプランナーとして独立。その後、持続可能なビジネスや社会の仕組み、生態系への関心がつのり環境分野へシフト。自然エネルギーや循環型ライフスタイルなどを中心に、幅広く環境関連の記事や書籍の執筆、編集を行う。著書に「地球のために今日から始めるエコシフト15」(文化出版局)「エネルギーシフトに向けて 節電・省エネの知恵123」「環境生活のススメ」(飛鳥新社)「LOHASで行こう!」(ソニーマガジンズ)ほか。自身も雨水や太陽熱、自然素材を使ったエコハウスに住む。JFEJ(日本環境ジャーナリストの会)会員。

http://gogreen.hippy.jp/