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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Brands, PBC)

ポストコロナのレジリエントな社会にむけて――緊急アンケートから読み解く、企業のニューノーマルとは

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2020年6月16日、サステナブル・ブランド ジャパン(以下、SB-J)は、「ポストコロナのレジリエントな社会にむけて」をテーマに掲げ、第2回SB-Jオープンフォーラムを開催した。議論の基軸となったのは、SB-Jが4月末から5月中旬にかけて実施した、「新型コロナウイルス対策に関する緊急アンケート」。企業を中心に、NPO/NGO関係者および学生などから約580件の回答が集まった。(笠井美春)

新型コロナウイルスの影響を鑑み、オンライン開催となった今回のフォーラム。その開会にあたり、サステナブル・ブランド ジャパンの鈴木紳介からは、多くのアンケート回答が寄せられことへの感謝が述べられた。そして、その結果を共有するとのことで、このフォーラムを新しい社会構築への課題や展望を議論する時間にしたいとの挨拶があった。

アンケートから浮かび上がる、都市と地方、大小企業の対応の違い

第1部は、サステナブル・ブランド国際会議 アカデミックプロデューサーである青木茂樹氏によるアンケート分析からスタート。

青木氏は、「重要なことは、新型コロナウイルス感染症の流行に際し、危機管理の観点から皆さんがどのような行動をとったのか、そのことを世界視野で多角的、相対的に分析し、その行動が適切であったのかを検証すること」と述べ、まずは日本企業における対応の違いについて触れた。

アンケートによると、日本企業の多くは一斉にテレワークを推進したが、その傾向は大都市および大規模企業ほど高く、一方で、多くの地方企業、小規模企業では平時スタイルのままであったことが分かった。

また、ポストコロナにおいて「企業におけるサステナビリティの重視度」が「上がる」との回答が約65%であることに触れ、今後、「環境に重点を置いた経済へのシフトは加速していく」との見解を示した。

そして、サステナビリティへの取り組みは変わらず推進されるべきとしたうえで、今後の「ライフ・トランスフォーメーション(生活の変革)」に期待を寄せた。

即座にトップメッセージを発信したグローバル企業の視点

第2部では、サステナブル・ブランド国際会議 アカデミックプロデューサー 足立直樹氏が、「企業のチカラ」と題し、ゲストスピーカーを迎えて、世界各国の企業がとった新型コロナウイルス危機への対応を紹介した。

企業対応を調査した3人のゲストスピーカーと2人の駒澤大学青木ゼミの留学生による発表を受け、フォーラム参加者もチャット機能で反応を示すなど、オンライン開催ならではの展開も見られた第2部。足立氏はこの中で、グローバル企業の対応の速さと、経営トップのメッセージの提示という対応スタイルに着目した。

「日本企業がHPなどで社内対策など提示したのに対し、世界各国のグローバル企業は、即座にトップメッセージを発信し、企業としての姿勢を示した。これは、企業のパーパス、社会的意義を常に考えてきたからだろう」と述べた。

これに関連し、新型コロナにより大きな影響を受けたアパレル業界がすぐにサプライチェーン支援を表明したこと、米国企業がコミュニティへの貢献を積極的に行ったことにも触れ、これらは「平時からサステナビリティを意識していたからこそできた動き」であると評価した。

さらに今後、世界は「元に戻る」のではなく「ニューノーマル」に向けて動いていくとし、その過程において「しなやかに再生する力」、Regeneration(リジェネレーション)が重要なのでは、と提起した。

質疑応答では、レジリエントな社会構築において、企業がパーパスをしっかりと掲げることの重要性などが議論された。

さらに「レジリエンスとは発生した困難を、はね返す力のことだ」(青木氏)、「その力を持って、ただ強固なだけではなく、その場に応じて変化してゆける力を養っていかなくては」(足立氏)と、これからの企業には「しなやかに回復する弾力性」が必要であることを確認し合い、オープンフォーラムは幕を閉じた。

今期の「SB-Japanフォーラム」は「再生」をテーマに7月スタート

今回話題となった、「Regeneration リジェネレーション(再生)」はサステナブル・ブランドの本年度グローバルテーマとなっている。サステナブル・ブランド ジャパンでは、今年7月から「Regeneration ポストコロナで社会はどう生まれ変わるのか。企業はどのような役割を求められるのか」をテーマに「SB-Japanフォーラム」を開催予定。

今期第1回目となる7月21日のフォーラムでは、今年6月にオンライン実施された「SB2020リーダーシップ・サミット」で話題となった、「CMOとCSOの連携によって生まれる力」などを紹介していくという。

登壇者:
鈴木紳介 サステナブル・ブランド ジャパンCountry Director
青木茂樹 サステナブル・ブランド国際会議 アカデミックプロデューサー 
駒澤大学 創業情報センター所長 / 経営学部 市場戦略学科 教授
足立直樹 サステナブル・ブランド国際会議 アカデミックプロデューサー
レスポンスアビリティ 代表取締役

ファシリテーター:
山岡仁美 サステナブル・ブランド国際会議 横浜 プロデューサー
グロウス・カンパニー・プラス 代表取締役

第2部:ゲストスピーカー
椎名武伸(サントリーホールディングス)
濱中祥子(フィリップ モリス ジャパン)
伊達敬信(UMINARI)