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  • 公開日:2019.10.17
  • 最終更新日: 2025.03.02
パタゴニアがレジ袋を全廃、国内直営店で来年4月から
  • 沖本 啓一

パタゴニア日本支社は来年4月1日から、直営の22店舗で買い物袋を全廃することを発表した。日本政府は早ければ来年の同日から全業種の小売り店舗でレジ袋を有料化する省令改正の施行を目指しているが、さらにプラ削減を推し進める対策に踏み切る。同社は1989年に再生紙100%の買い物袋を導入するなどこれまでに先駆的な取り組みを進めており、すでに顧客の大半がマイバッグを持参・活用しているという。「『有料化』であろうと、プラスチックまたは紙という貴重な地球の資源を使うことに変わりはない」と全廃を決定した経緯を話す。(サステナブル・ブランド ジャパン編集局=沖本啓一)

今年6月に行われたG20大阪サミットでは、各国が「2050年までにプラごみの海洋流出ゼロを目指す」ことに合意し、日本政府は早ければ2020年4月1日に国内の全業種の小売り店舗でレジ袋を有料化する省令改正、施行する方針を発表した。アウトドアメーカーのパタゴニア日本支社は16日、買い物袋の有料化にとどまらず、来年4月1日から直営店舗で買い物袋を全廃することを打ち出した。

「パタゴニアは1989年の日本での第1号店目白ストアのオープン以来、『再生紙100%』のお持ち帰り袋を使用したり、マイバックの持参を奨励することで、環境に与える不必要な悪影響を最小限に抑えてきました」と説明するように、90年代にはマイバッグ持参の奨励を開始し、2008年にリサイクル原料を100%使用した買い物袋をデポジット制システムで循環させる仕組み「デポバッグ」を導入するなど、同社は世の中の「脱プラ」の動きに先駆けて買い物袋への取り組みを続けている。同社によればこれらの取り組みを通じ、各店舗を訪れる消費者の83%はすでにマイバッグを持参しているという。

この施策と同時に、各店舗で来店者から不要なエコバッグを回収。どうしても買い物袋が必要な来店者がいれば共有・循環する「エコバッグ・シェアリング」も実施する。回収は今月16日から行っている。

パタゴニア日本支社はSB-Jの取材に対して「長年のさまざまな検討の過程で、『有料化』であろうと、プラスチックまたは紙という貴重な地球の資源を使うことに変わりはありません。ミッション・ステートメントである『私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む』という方針のもと、すべての方にマイバックの持参へのご協力をお願いすることが最善であると考えました」と買い物袋の全廃を決定した経緯を話した。

環境課題への取り組みの最先端を走る同社の動向に今後も注目が集まる。

written by

沖本 啓一(おきもと・けいいち)

フリーランス記者。2017年頃から持続可能性をテーマに各所で執筆。好きな食べ物は鯖の味噌煮。

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