• 公開日:2017.10.26
  • 最終更新日: 2025.03.21
IUU廃絶と持続可能な漁業目指し新フォーラム始動
    • 瀬戸内千代

    IUU漁業対策プロジェクト

    国際環境NGOや漁業コンサルタントなど8者はこのほど「IUU漁業対策フォーラム」を立ち上げ、IUU(違法・無報告・無規制)漁業の廃絶に向けて活動を始めた。まずプラットフォームとなるウェブサイトを開設し、取り組むべき対策を政府や企業、消費者に向けて提言した。10月27日には有識者を招き、IUU漁業対策のためのトレーサビリティーに関する公開パネルディスカッションを実施する。(瀬戸内 千代)

    日本の水産業の持続可能な発展のために、WWFジャパン、シーフードレガシー(東京・中央)、セイラーズフォーザシー日本支局、オーシャン・アウトカムズ、グリーンピース・ジャパン、ザ・ネイチャー・コンサーバンシー、トラフィック、ジーアール・ジャパン(東京・千代田)の8団体が結集。今後、協働してIUU漁業対策の議論と発信と支援を進めていく。

    9月末に発表した提言では、政府に取り締まりの強化を、漁業関係者に漁獲の記録と保存を、企業にIUUに関する調達基準を定めて公表・実施することや消費者への情報提供を、消費者にトレーサビリティーに関心を持つことなどを求めた。

    IUU漁業を撲滅し水産資源の回復を図ることは国連が掲げているSDGs(持続可能な開発目標)のひとつ

    10月27日に東京・新宿で開催される「東京サステナブルシーフードシンポジウム」では、「トレーサビリティーの確立で違法漁業や労働問題から水産市場を守る」と題したパネルディスカッションを行う。11月2日には政府や企業向けに、IUU漁業対策に関する日EUハイレベルセミナーを開く。

    オーシャン・アウトカムズの委託で実現した世界初の日本市場対象のIUU調査は、輸入水産物の約3割がIUU漁業由来と推計した。WWFジャパンによると、近縁種が多く管理が複雑なウナギ類やヒラメ・カレイ類、サケ・マス類は特にIUU漁業由来のリスクが高い。

    ジーアール・ジャパンの粂井真ポリシーマネージャーは、「持続可能な水産業への脅威となるIUU漁業の廃絶に向け、フォーラム参加団体それぞれの強みを生かしながら活動していく。IUU漁業対策の実施には一定のコストも生じるが、日本の水産業へのメリットはコストを上回る」と述べた。

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    瀬戸内千代(せとうち・ちよ)

    海洋ジャーナリスト。雑誌「オルタナ」編集委員、ウェブマガジン「greenz」シニアライター。

    1997年筑波大学生物学類卒、理科実験器具メーカーを経て、2007年に環境ライターとして独立。自治体環境局メールマガジン、行政の自然エネルギーポータルサイトの取材記事など担当。2015年、東京都市大学環境学部編著「BLUE EARTH COLLEGE ようこそ、「地球経済大学」へ。」(東急エージェンシー)の編集に協力。

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