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  • 公開日:2015.03.30
  • 最終更新日: 2025.03.21
40号 世界のソーシャル・ビジネス(台湾) 121カ国で「食育改革」肥満問題抱える台湾へ
    • 寺町 幸枝

    メ・ヴォーンジ社の葉子祺氏。台湾でベーカリーやレストランを経営している

    「フードレボリューションデー」を聞いたことがあるだろうか。WHO(世界保健機関)によると、世界で4400万人の子どもたちが「肥満」と言われるなか、イギリス人料理研究家であるジェイミー・オリバー氏が立ち上げた食育改革の一環だ。2014年には世界121カ国で、7千以上の食育イベントが開催され、9千人以上が参加した。(日本=寺町幸枝)

    フードレボリューションデーでは、ウェブサイトやソーシャルメディアを通じてアイデア提案をするだけでなく、各国で食育イベントを行う。

    2014年5月13日の「第3回フードレボリューションデー」は、「24時間の内に、さまざまな場所で、最も参加人数が多い料理教室の開催」という項目で、ギネス登録された。

    オリバー氏は、「大人は、食べものが身体にどのような影響を与えるかということについて、子どもたちに理解させる義務があります。子どもたちに料理を教え、食べるものを生み出すことの大切さやその技術を身に付けさせることが大切です」と語る。

    現在「アンバサダー」と呼ばれる人々が、フードレボリューションデーに賛同し、世界各国でこのイベントに該当する企画をしている。中でもアジアで積極的な展開をしているのが、「台湾」だ。

    昨年9月に来台した、ニール・ラベルCEOとボランティアスタッフ。「ミニクック」のイベントで

    外食の手軽さから肥満に

    「小吃(シャオツー)」と呼ばれる一品料理屋が立ち並び、西欧式のファーストフード店もこぞって出店している台湾。日本含め、食育に関しては感度の高い親が多いアジアだが、外食が手軽にできる台湾では、子どもの肥満も無視できないのが現実だ。

    台湾の食育改革のリーダーに立つのは、イケメン若手2代目実業家として、台湾の飲食業界では知る人ぞ知るセレブ、メ・ヴォーンジ社の葉子祺(トーマス・イェー)氏。ヨーロッパから飲料品の輸入をする商社や「ラ・メゾン・ドゥ・トリュフ」といったレストランの経営者として、幅広い事業展開をしている。

    そんな葉氏にとって、「アンバサダーとしての活動は、純粋なボランティア精神からだ」という。食に関係する者として、子どもたちの将来に対して何か自分にできないか、という思いが、オリバー氏の講演を聞いたのをきっかけに込み上げ、台湾アンバサダーとして一番に名乗りを上げた。

    昨年のフードレボリューションデーでは、公立小学生に対してクッキングレッスンを数カ所で開催。9月には英国本部から、ジェイミー・オリバー・フードレボリューション協会のニール・ラベルCEOが来台。30人の子どもと親と一緒に、「ミニクック」と名付けられた料理教室が開かれた。

    オリバー氏は今年のチャレンジとして、3月18日、署名サイト「チェンジ・ドット・オーグ」で、G20のリーダーに向けた「食育を学校教育に組み込むことを求める嘆願書」への署名活動を開始した。

    2011年には、肥満防止対策としてファストフード店の「玩具付きお子さまセット」販売禁止など、積極的な活動を進める台湾だが、葉氏たちが行う食育絡みの草の根活動は、現状を知る重要な機会。今後も台湾で根気強く支持されるに違いない。

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    written by

    寺町 幸枝(てらまち・ゆきえ)

    Funtrapの名で、2005年よりロサンゼルスにて取材執筆やコーディネート活動をした後2013年に帰国。現在国内はもとより、米国、台湾についての情報を発信中。昨年より蔦屋書店のT-SITE LIFESTYLE MAGAZINEをはじめ、カルチャー媒体で定期出稿している。またオルタナ本誌では、創刊号以来主に「世界のソーシャルビジネス」の米国編の執筆を担当。得意分野は主にソーシャルビジネス、ファッション、食文化、カルチャー全般。慶應義塾大学卒。Global Press理事。

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