![]() 子どもたちにパワーポイントの使い方を教える高濱氏(中央)
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国際電気通信連合(ITU)によれば、世界人口の約6割にあたる40億人が、いまだインターネットにアクセスできない状況にある。情報格差は大きな生活の格差を生み出してしまう。NPO法人Class for Everyone(C4E)は、パソコンの国際的なリユースサービスを通じて、平等な機会の創出に取り組んでいる。(日本=瀬戸義章)
2001年に「資源有効利用促進法」が制定され、不用になったパソコンを処分する場合は、メーカーに引き取り依頼をすることが求められるようになった。集められたパソコンは、新たな資源とするために解体される。リサイクルを推進するために設けられた制度だが、毎年解体される約6千トンの中には、まだ使用可能なもの、リユースできるものが含まれている。
パソコンとして機能するものまで解体してしまうことは、資源を有効利用しているとは言い難いだろう。
C4Eは、パソコンをリユースするときの新たな選択肢を提供している。彼らはデータ消去したパソコンを引き取り、英語版のOS再インストールや清掃などの作業を経て、発展途上国の学校やNGOに届ける仕組みを構築している。パソコンを送る主な目的は、主に地方や貧困地域に暮らす子どもたちの教育に役立てるためである。
同団体の高濱宏至代表によれば、途上国の貧困地域でもICT機器による教育ニーズは高いそうだ。文書作成や表計算、インターネットによる情報収集や発信といったスキルを身に付けることが、仕事の獲得に直結する。パソコンを利用できる・できないという格差が、信じられないほどの所得格差に繋がっていくのだ。
そこでC4Eは、単に物品を送るだけでなく、さまざまな団体と連携して、操作方法のレクチャーやビデオ授業の放送といったICT教育を推進している。
![]() フィリピンの地方小学校にパソコンが初めて導入された記念
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社員を巻き込むCSR
C4Eは、2012年2月に創業して以来、アジア・アフリカ16カ国72地域の学校や教育団体にパソコンを届けてきた。2014年度は、大手機械メーカーや情報処理サービス事業者、大学、あるいは個人から約800台のパソコンを引き取り、集めた活動資金は約1千万円に上った。
企業側が彼らのサービスを使うメリットは、一定の周期で必要となる「パソコンの廃棄」が、「途上国への教育貢献」というCSR活動として示せることだ。また、C4Eは、社員を巻き込んだリユースイベントやボランティアツアーも企画している。単に使用済のパソコンを渡しただけでは、本当にそれが役に立っているのか実感することは難しい。
自分たちの手でパソコンをリユースして途上国に届け、現地の子どもたちが実際に使っている様子を見に行くことで活動の意義を確かめることができるというわけだ。
高濱代表は現地での活動を重ねる中で、不安定な電力事情にも気付いたと言う。停電が頻発したり、あるいはそもそも電気が供給されていない地域でICT教育を行うことは難しい。そこで今年度から新たに、太陽光パネルのリユースにも取り組んでいく。廃棄されていたICT機器を組み合わせ再利用することで、世界中に平等な機会を生み出していくことが彼らの狙いだ。
瀬戸 義章(せと・よしあき)