![]() ナヤ創業者のカタリナ・ギラルド(右)とハリウッド女優のジーナ・ロドリゲス©Naja
|
サンフランシスコ発のエシカルランジェリーブランド「ナヤ(Naja)」は2015年10月、ゴールデングローブ受賞女優であるジーナ・ロドリゲスを共同CEOに迎えた。同社はそのクオリティーやデザインだけでなく、環境配慮型の下着生産モデルを構築したことで注目されている。ロドリゲスが参加したことで、もう一つの企業ミッションである「女性の活躍を推進する企業」として、新たな一歩を踏み出した。(寺町幸枝)
「ナヤ」は元弁護士で、コロンビア出身のカトリーナ・ギラルドが2013年に設立したオンライン下着ブランド。その人気は、米ランジェリージャーナル誌が「注目すべき下着ブランドトップ5」の一つにあげるほどだ。
「ナヤとパートナーを組むことに、何のためらいもなかったわ。ランジェリーとしての美しさや仕立ての良さに限らず、企業として追求しているミッションは、私の思いとぴったりと重なったの」と、女優のジーナ・ロドリゲスは語る。
「ナヤ」の凄みは、スタートアップ企業にもかかわらず、下着の生産工程のあらゆるサプライチェーンを把握していること。デジタル機器を駆使した自社工場での生産で、通常のアパレルが持つリードタイムを80%まで削減し、無駄な在庫を持たずに利益を確保できる仕組みを作り上げた。
さらに同社製品の50%は、リサイクルプラスティックの再生生地を使用している。
![]() ワイヤレスの「ブラレット」(黒)は65ドル(約8000円)©Naja
|
シングルマザーを支援
「ナヤ」のもう一つ重要なミッションは、女性、特にシングルマザーのサポートだ。工場のあるコロンビアで、シングルマザーあるいは家族の経済的な大黒柱になる女性を積極的に採用し、安定した収入だけでなく、家族サポートのための福利厚生を整備する。
「ナヤ」は商品代金の2%を「アンダーウエア・フォー・ホープ・プログラム」に寄付する仕組みを構築。このプログラムにより、従業員たちは労働時間をフレキシブルにできるだけでなく、子どもの教科書や制服など教育に関する費用の代金をナヤが負担する。
とはいえ、製品自体も良くなければ人気は出ない。「ナヤ」はブラジャーのサイズや形も豊富なうえ、女性が楽しめるメッセージを下着の内側に入れるなど、人の心を揺さぶるデザインが施されている。
当初予算の関係で創業者であるギラルド自身でデザインしていたが、いまでは彼女のウィットに富んだアイデアやデザインが、ブランドの成功を牽引している。
例えば、メモリーフォームを利用し、押しつぶされても型崩れしないブラカップを採用したり、デジタルプリントで寿司やハンバーガー柄をパンティーに描いたものは、美しい高級レースの下着と並びブランドの人気商品だ。パンティー12ドルから、ブラジャーが50ドル前後という価格は、他の人気下着ブランドとほぼ変わらない価格だ。
まさに、女性の、女性による、女性のためのブランド。これからますます「ナヤ」への注目は高まっていくだろう。
寺町 幸枝(てらまち・ゆきえ)
Funtrapの名で、2005年よりロサンゼルスにて取材執筆やコーディネート活動をした後2013年に帰国。現在国内はもとより、米国、台湾についての情報を発信中。昨年より蔦屋書店のT-SITE LIFESTYLE MAGAZINEをはじめ、カルチャー媒体で定期出稿している。またオルタナ本誌では、創刊号以来主に「世界のソーシャルビジネス」の米国編の執筆を担当。得意分野は主にソーシャルビジネス、ファッション、食文化、カルチャー全般。慶應義塾大学卒。Global Press理事。