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  • 公開日:2016.03.30
  • 最終更新日: 2025.03.21
44号 世界のソーシャル・ビジネス(米国ガーデナ)テスラの好敵手、ファラデー・フューチャーのEV車とは
    • 寺町 幸枝

    コンセプトカーとして登場した「FF ZERO1」

    電気自動車(EV)の代名詞とも言える「テスラ」の人気が高まるなか、2014年に「テスラ」の対抗馬と噂され設立されたのが「ファラデー・フューチャー」(米カリフォルニア州ガーデナ)だ。2015年12月には、ネバダ州に10億ドル(約1138億円)を投入する生産工場の建設予定を発表。2016年1月には世界最大の家電見本市「CES2016」で、ベールに包まれていたコンセプトカーを発表し、今最も注目を集めている。(寺町幸枝)

    「ファラデー・フューチャー(FF)」の生い立ちは、「テスラ」なくして語れない。共同オーナーであるシニア・バイスプレジデントのニック・サンプソン氏をはじめ、「テスラ」のエンジニアや生産管理にかかわってきた人間が独立して設立した背景を持つ。コンセプト上では、「テスラ」以上に未来に重きを置いているといってもいいだろう。

    その夢を実現させるために財政的にも後押ししているのが、中国版「NetFlix」と呼ばれる「LeTV」だ。「LeTV」の共同オーナーであるディング・レイ氏は、CES2016で全面的な協力関係を築いていることを強調。「省エネで、環境に考慮し、機能的な車づくりを目指す」という明確なコンセプトを発表した。

    そのコンセプト通り、すでに100以上の技術に特許申請出願中という同社。3月1日に取得した特許第一号「FF Echelon Inverter」は、先駆的で、従来に比べてずっと機能的だという。してきたヘッドデザイナーのリチャード・キム氏のデザインだ。ハンドルにスマートフォンを装着し、様々な機能をタッチパネル式で実現する。「ドライバーが求めるあらゆるものを学習していく」車になるという。FFは車という概念を超えた車づくりを目指している。

    ファラデー・フューチャー・シニア・バイスプレジデントのニック・サンプソン氏

    分野を超えた車づくり

    FFの強みは「素晴らしいチーム」「革新的なビジョン」「信じられないほど素晴らしい協力関係」「素早い行動力がある」の4つだ。

    設立から1年半という短い間で、500人の国内従業員と250人の海外従業員を持つまでに急成長した同社。米オンラインメディア「ザ・バージ」のインタビューにおいて、先述のサンプソン氏は、「BMW、Audiなどの車業界はもちろん、Apple、Huluといった幅広い業界から、未来の車作りに携わるメンバー集めている」と言及した。

    2017年から生産開始を予定している同社は、北ネバダ州に新設する工場で、4500人規模の雇用を創出するという。敷地は900エーカー(東京ドーム約78個分)と広大だ。同社にとって「スピード感」こそ強みであり、「テスラ」が創業から7年以上かかって生産販売に辿り着いた経緯を考えると、「FF」の動きは驚くほど早い。

    今回コンセプトカーとして発表された「FF ZERO1」は、なんとレーシングカー。BMWで「i3」や「i8」のヘッドデザイナーとして活躍してきた同社ヘッドデザイナーのリチャード・キム氏の渾身のデザインだ。

    ハンドルにはスマートフォンを装着し、様々な機能をタッチパネル式で実現する。「ドライバーが求めるあらゆるものを学習していく」車になるという。車という概念を超えた車づくりを目指すFF。彼らが目指す未来はもうすぐそこだ。

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    written by

    寺町 幸枝(てらまち・ゆきえ)

    Funtrapの名で、2005年よりロサンゼルスにて取材執筆やコーディネート活動をした後2013年に帰国。現在国内はもとより、米国、台湾についての情報を発信中。昨年より蔦屋書店のT-SITE LIFESTYLE MAGAZINEをはじめ、カルチャー媒体で定期出稿している。またオルタナ本誌では、創刊号以来主に「世界のソーシャルビジネス」の米国編の執筆を担当。得意分野は主にソーシャルビジネス、ファッション、食文化、カルチャー全般。慶應義塾大学卒。Global Press理事。

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