パネルディスカッションの様子(2月16日、都内にて)
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持続可能なスポーツイベントを実現するNGO/NPO連絡会(SUSPON)は2月16日、「スポーツを通じた持続可能な社会づくりへの挑戦」と題したシンポジウムを都内で開催した。2020年の東京五輪に向けて、SUSPONに設置した「ごみゼロ部会」「責任ある調達部会」「生物多様性部会」の代表が提言を行った。パネルディスカッションでは、三柴淳一・FoE Japan事務局長が「組織委員会には、川上から川下まで持続可能な調達を実現できるような調達コードを策定してほしい」と訴えた。(オルタナ編集部=吉田 広子)
SUSPON(サスポン)は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを持続可能な大会にすることをきっかけに、その後の持続可能な社会づくりに貢献することを目指している。
2016年に立ち上がり、現在はNGO/NPO17団体が参加している。組織委員会への提言や、議論する場をつくるほか、東京五輪での具体的な施策につなげていく。
シンポジウムでは、部会の代表が提言を行った。「ごみゼロ(廃棄物)部会」は、東京五輪では、短期間に膨大な廃棄物が排出されることから、食品も含めたごみゼロを目指すべきと主張した。その具体的な施策がリユース食器の導入だ。
「責任ある調達部会」は、持続可能性に配慮した木材調達基準を定めることなどを求めた。「生物多様性部会」は、開催による生物多様性の劣化を防ぎ、葛西三枚洲のラムサール登録を東京五輪のレガシーにすることなどを掲げた。
ラグビーワールドカップをプレ大会に
国際オリンピック委員会(IOC)は1994年、「スポーツ」「文化」に加え、「環境」をオリンピック精神の第三の柱にすることを宣言した。2014年12月に採択した「アジェンダ2020」では、持続可能な大会の重要性を強く打ち出している。
「2000年のシドニー大会以降、CO2削減など環境配慮が進み、2012年のロンドン大会では、『地球1個分のオリンピック』をテーマに、大会そのものが持続可能性に配慮された」(田中丈夫・東京オリンピック・パラリンピック2020競技大会組織委員会大会準備運営第一局持続可能性部長)
崎田裕子・持続可能な社会をつくる元気ネット理事長は、「東京2020大会を機に、みんなで持続可能なレガシーをつくるべき」とし、PDCAロードマップを示した。
崎田理事長は、「2019年に開催されるラグビーワールドカップをプレ大会と位置づけ、その反省を生かして、東京五輪を開催するのが良い」とし、「開催後は、成果の見える化・定量化を図り、レガシーとして社会全体で共有していく必要がある」と話した。
FoE Japanはこれまで違法伐採問題に取り組み、伐採地の森林環境や地域社会に配慮した「フェアウッド」を提案してきた。三柴事務局長は「組織委員会には、川上から川下まで持続可能な調達を実現できるような調達コードを策定してほしい。私たちNGOらが要求するレベルを超えた持続可能な運営計画に期待している」と力を込めた。
今後、2017年夏ころをめどに、持続可能性に関する目標などが盛り込まれた運営計画第二版の案が公開され、年内にパブリックコメントが実施される予定だ。
吉田 広子(よしだ・ひろこ)
株式会社オルタナ オルタナ編集部 オルタナ副編集長
大学卒業後、ロータリー財団国際親善奨学生として米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。2007年10月に株式会社オルタナに入社、2011年から現職。 「オルタナ」は2007年に創刊したソーシャル・イノベーション・マガジン。主な取材対象は、企業の環境・CSR/CSV活動、第一次産業、自然エネルギー、ESG(環境・社会・ガバナンス)領域、ダイバーシティ、障がい者雇用、LGBTなど。編集長は森 摂(元日本経済新聞ロサンゼルス支局長)。季刊誌を全国の書店で発売するほか、オルタナ・オンライン、オルタナS(若者とソーシャルを結ぶウェブサイト)、CSRtoday(CSR担当者向けCSRサイト)などのウェブサイトを運営。サステナブル・ブランドジャパンのコンテンツ制作を行う。このほかCSR部員塾、CSR検定を運営。