![]() 有識者と共に、中高生20人が審査した
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企業の教育活動を顕彰する「教育応援グランプリ2016」が12月23日に開かれ、敷島製パンがグランプリを受賞した。リバネスが主体となって運営する同グランプリでは、「企業の成長につながる次世代教育活動」をテーマに、子どもと企業がともに成長する教育活動を選出している。敷島製パンは、全国の中高生と国産小麦「ゆめちから」の栽培研究を行い、小麦の自給率向上を目指している。(オルタナ編集部=吉田 広子)
「教育応援グランプリ」とは、教育界側の視点だけでなく、産業界側の視点を取り入れながら企業の次世代育成活動を評価する制度だ。今年はファイナリストとして11企業がプレゼンテーションを行った。
教育応援グランプリは、中高生向けに実験教室などを展開するリバネス(東京・新宿)が主体となって運営する。リバネスは2002年、「理科離れ」に対応するために理系学生15人で設立された。
グランプリを受賞した敷島製パンとリバネスは2012年、全国の中高生とともに国産超強力小麦「ゆめちから」のプランターでの栽培方法について研究を開始した。気候の異なる場所、畑を確保できない場所であっても、日本中で「ゆめちから」を栽培することを目指す。
中高生は、施肥のタイミングや量、日当たりや水の量などの条件を変えながら、パン作りに最適な小麦の栽培方法を研究している。ある生徒は、同プログラムがきっかけで農業の面白さを知り、大学の農学部に進学したという。
同社マーケティング部販売促進グループの池井戸悟マネージャーは、「1919年の創業当時、米騒動が広がるなかで、小麦が米の代用食になるという思いから当社が設立された。中高生自らできるだけ農薬を使わない栽培方法を考えるなど、中高生の学びになるとともに、当社にとっても有益な研究結果が得られる」と話す。
教育応援グランプリ審査項目は、「パッション」「教育的意義」「社内外の巻き込み力」「プログラムの進化」の4点だ。有識者の審査員のほか、小学生12人、中高生8人も審査に加わった。受賞者一覧は次の通り。
グランプリ(金賞から1社を選出)
敷島製パン株式会社 マーケティング部 販売促進グループ
ゆめちから栽培研究プログラム
金賞
DIC株式会社、DICグラフィックス株式会社 総務人事部
絵の具や色鉛筆の色ってなにからできているの?~金属と水溶液から「色のもと」を作り出そう~
敷島製パン株式会社 マーケティング部 販売促進グループ
ゆめちから栽培研究プログラム
コニカミノルタ株式会社 経営企画部 CSR推進グループ
コピー機のしくみを学ぼう~手動コピーに挑戦~
銀賞
株式会社タカラトミー 社長室 社会活動推進課
出張タカラトミー!「100ねんあそぼ。~おもちゃメーカーのお仕事~」
東レ株式会社 宣伝室
青空サイエンス教室~サイエンスをもっと楽しく~
森永乳業株式会社 CSR推進部
パッケージから牛乳のひみつを探ろう!
銅賞
森下仁丹株式会社 ヘルスケア開発部、マーケティング部
知ってる?おなかの中の100兆個の生き物たち!
研究者と一緒に学ぶ腸内フローラ実験教室With 腸内細菌ボードゲーム『バクテロイゴ』
新日鉄住金エンジニアリング株式会社 CSR・広報部CSR室
エンジニアリングエデュケーションプログラム「情熱・先端 Mission-E」
ヤンマー株式会社 ヤンマーミュージアム
「ヤンマーミュージアム」~感動を呼び起こす豊富な展示とワークショップ~
吉田 広子(よしだ・ひろこ)
株式会社オルタナ オルタナ編集部 オルタナ副編集長
大学卒業後、ロータリー財団国際親善奨学生として米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。2007年10月に株式会社オルタナに入社、2011年から現職。 「オルタナ」は2007年に創刊したソーシャル・イノベーション・マガジン。主な取材対象は、企業の環境・CSR/CSV活動、第一次産業、自然エネルギー、ESG(環境・社会・ガバナンス)領域、ダイバーシティ、障がい者雇用、LGBTなど。編集長は森 摂(元日本経済新聞ロサンゼルス支局長)。季刊誌を全国の書店で発売するほか、オルタナ・オンライン、オルタナS(若者とソーシャルを結ぶウェブサイト)、CSRtoday(CSR担当者向けCSRサイト)などのウェブサイトを運営。サステナブル・ブランドジャパンのコンテンツ制作を行う。このほかCSR部員塾、CSR検定を運営。