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  • 公開日:2016.12.23
  • 最終更新日: 2025.03.21
ニッスイなど水産大手、「持続可能な水産業」を宣言
    • 瀬戸内千代

    国内水産会社6社が「太平洋クロマグロ保全の誓い」に賛同した Image credit:WWF Japan

    環境NGOや科学者らの呼び掛けに応え、国内の水産大手が持続可能な水産業を誓う書面に相次いで署名した。丸紅や日本水産(以下、ニッスイ)など6社は11月30日、WWFジャパンの「太平洋クロマグロ保全の誓い」に賛同。ニッスイは12月14日、ストックホルム・レジリエンス・センターの科学者らと持続可能な水産業を構築していく国際宣言にも署名した。この国際宣言には、水産分野で世界最大手のマルハニチロも参加している。(瀬戸内 千代)

    「太平洋クロマグロ保全の誓い」に賛同したのは、ニッスイ、丸紅、生活協同組合コープみらい(さいたま市)、ヤマサ脇口水産(和歌山県東牟婁郡那智勝浦町)、大地を守る会(千葉市)、亀和商店(東京・中央)の6社だ。

    太平洋クロマグロは、初期資源量の2.6%まで減少している。宣言は、5月に欧州企業38社が声を上げて、インド洋のキハダの資源管理政策を前進させたことを参考に、WWFジャパンが発案。フィジーでのWCPFC(中西部太平洋まぐろ類委員会)年次会合を前に、国内企業に呼び掛けた。

    会合に進展は無かったが、WWFジャパン海洋水産グループの三沢行弘氏は、「大消費地である日本のサプライチェーン数社が、自主的に保全を宣言したのは明るい兆しだ」と語った。

    賛同企業の一つ、丸紅の三代川昌弘水産部部長代理は、「天然水産資源の維持・管理は、水産ビジネスを継続する上で重要である」とコメントした。

    ニッスイは上記宣言に続き12月14日、ストックホルム・レジリエンス・センターの科学者と世界の水産大手8社との協働宣言「海洋管理のための水産事業」にも署名した。

    同センターは水産資源の未来を左右する、巨大多国籍企業名を割り出し、11月に彼らを招いて初の「キーストーン・ダイアローグ」を開催。違法、無報告、無規制(IUU)漁業の削減を含む10項目の取り組みを提唱した。

    日本からは、「世界有数の売り上げを誇る」マルハニチロやニッスイが招かれ、マグロ加工のタイ・ユニオン・グループPCLや、サーモン養殖加工の三菱商事子会社セルマックなどと共に、科学者との継続的な協働と、持続可能な水産業の構築を誓った。

    「キーストーン・ダイアローグ」紹介ビデオ(スウェーデン大使館提供)

    written by

    瀬戸内千代(せとうち・ちよ)

    海洋ジャーナリスト。雑誌「オルタナ」編集委員、ウェブマガジン「greenz」シニアライター。

    1997年筑波大学生物学類卒、理科実験器具メーカーを経て、2007年に環境ライターとして独立。自治体環境局メールマガジン、行政の自然エネルギーポータルサイトの取材記事など担当。2015年、東京都市大学環境学部編著「BLUE EARTH COLLEGE ようこそ、「地球経済大学」へ。」(東急エージェンシー)の編集に協力。

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