![]() 絶滅危惧種に指定されたトナカイ(C)Staffan Widstrand_WWF
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世界自然保護基金(WWF)ジャパン(東京・港)が、「グリーンクリスマス」を実現するための10のアクションを提案している。クリスマスの時期には消費が増えるとともに環境負荷が高まることから、環境に配慮した形でクリスマスを楽しんでほしいという趣旨。今年初めて絶滅危惧種に指定されたトナカイを引き合いに出し、トナカイの目線で「お出かけには公共交通機関やソリを利用しよう」など身近な話題をユニークな視点で呼びかけている。(オルタナ編集部=吉田広子)
国際自然保護連合(IUCN)が2016年6月に公表した「レッドリスト」で、トナカイは危急種(絶滅危惧II類)に分類された。IUCNによると、3世代(約21-27年)前に480万頭と推定されたが、2015年には289万頭に減少した。その原因の一つとして地球温暖化が挙げられている。
北極圏では温暖化の影響が大きく、トナカイがエサを取れない状況になっている。冬は雪の下の苔などを食べるが、雪ではなく雨が降ることで、地表が氷に覆われてしまうからだ。フィンランドでは、温暖化の影響で蚊が増え、トナカイの大量死を引き起こしたという報告もある。
IUCNは地球温暖化のほか、交通機関やリゾートの開発など、人間の活動が生息環境に悪影響を与えていることも指摘している。
そこで、WWFジャパンは、クリスマスをきっかけに、環境問題と自分との関係を見直してほしいとの思いから「グリーンクリスマス」を提案している。
クリスマスの時期は、プレゼントやカードを送ったり、料理をしたりするなど消費が進む。
その分、環境への負荷も増えることから、WWFジャパンは暮らしの中で簡単にできるアクションを呼び掛けている。具体的な10のアクションは次の通り。
◆「グリーンクリスマス」までにしたい10のこと
1. プレゼントは、環境によい商品を選びましょう。WWFの通販「パンダショップ」からはエシカルジュエリーがオススメ。
2. お出かけには、地球温暖化の主因となるCO2の排出が少ない公共交通機関やソリを利用しましょう。
3. クリスマスカードはFSC(林管理協議会)マーク付きのカードや、Eカードで送りましょう。
4. スペシャルなお料理には、海のエコラベルMSC(海洋管理協議会)やASC(水産養殖管理協議会)マークがついた食材や、地産地消の食材を使いましょう。
5. 地球からの恵みに感謝して、お料理は出来るだけ残さずにいただきましょう。
6. クリスマスは、ミツロウキャンドルで地球にも優しいあかりを灯しましょう。
7. クリスマスツリーのデコレーションはLEDライトでライトアップしたり、季節の自然の素材で飾りつけましょう。
8. 暖房の温度設定を18℃に。環境にもお財布にも優しく、北極気分を楽しみましょう。
9. WWFの地球温暖化防止の活動を応援して、「ホッとトート」をもらおう。動物たちが「ホッと」できる地球に。
10. 12月25日のグリーンクリスマスを、環境問題と自分との関係を見直す機会にしてみましょう。
吉田 広子(よしだ・ひろこ)
株式会社オルタナ オルタナ編集部 オルタナ副編集長
大学卒業後、ロータリー財団国際親善奨学生として米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。2007年10月に株式会社オルタナに入社、2011年から現職。 「オルタナ」は2007年に創刊したソーシャル・イノベーション・マガジン。主な取材対象は、企業の環境・CSR/CSV活動、第一次産業、自然エネルギー、ESG(環境・社会・ガバナンス)領域、ダイバーシティ、障がい者雇用、LGBTなど。編集長は森 摂(元日本経済新聞ロサンゼルス支局長)。季刊誌を全国の書店で発売するほか、オルタナ・オンライン、オルタナS(若者とソーシャルを結ぶウェブサイト)、CSRtoday(CSR担当者向けCSRサイト)などのウェブサイトを運営。サステナブル・ブランドジャパンのコンテンツ制作を行う。このほかCSR部員塾、CSR検定を運営。