• 公開日:2016.10.11
三菱重工、アカウミガメ保全調査で社内と地域を活性化
    • 松島 香織

    アカウミガメの足あとを確認する参加者

    三菱重工は2015年度から、NPOアースウォッチ・ジャパン(東京・文京)の主催する「種子島アカウミガメ保全調査」の支援を行っている。1年間で500万円を寄付するほか、調査には社員がボランティアで参加。絶滅が危惧されるアカウミガメの個体識別や産卵地を調査し、データ化するなど成果を挙げている。種子島の地域活性にもつなげる考えだ。

    種子島には日本最大のロケット発射場「種子島宇宙センター」があり、三菱重工は1975年から宇宙センターで打ち上げられたロケットの開発・製造に関わってきた。同社は2014年から「種子島宇宙センター」のロケット打ち上げ見学会を開催したり、芸術祭に協賛し、種子島の地域活性化に努めている。

    「当社は130年の歴史があり、社会的なCSRインパクト、責任がある。事業を行っている地域で、ISO26000の『生物多様性の保全』に則した取り組みをしたいと考えていた」と同社グループ戦略推進室広報部CSRグループの瓜生振一郎グループ長は話す。

    社員に対してボランティア機会を提供する、という目的もあった。調査プログラムにかかる宿泊費や食費、調査のための島内移動費は、会社で負担している。定員24人だが、毎年たくさんの応募があり抽選で決めているという。

    調査は年に4回、2泊3日のフィールドワークに、各回6人の社員が参加。研究員や地元NPO Turtle Crewのスタッフ、アースウォッチ・ジャパンが募集した一般応募者と一緒に、夜間4時間以上、浜辺を歩いて調査した。

    「砂に足を取られるので歩きづらく、筋肉痛になりましたが、子ガメは本当に可愛くてまた見たいと思いました」とボランティアに2年連続で参加したバリューチェーン革新部 環境管理課の久笠由江さんは話した。同じ会社で仕事をしていても知り合えない社員や、一般の人たちと交流できたのも自身の財産になったようだ。

    子ガメは40年後に種子島の浜辺へ帰ってくるという。同社は来年度以降も調査支援を行う。

    written by

    松島 香織(まつしま・かおり)

    2016年株式会社オルタナ在職中に、サステナブル・ブランド ジャパン ニュースサイトの立ち上げメンバーとして運営に参画。 2022年12月株式会社博展に入社し、2025年3月までデスク(記者、編集)を務めた。

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