![]() シブヤ・ソーシャル・アクション・パートナー協定のロゴ
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東京・渋谷区は6日、京王電鉄と共同で地域課題の解決に取り組むため「シブヤ・ソーシャル・アクション・パートナー協定」を結んだ。住宅や公共施設を効果的に利用した渋谷区の新たな魅力作りや、街の活性化のためのブランディングなどを実施する方針。渋谷区は8月にはLINE、セコムとも協定を結んでおり、民間の技術力を総合的に活用してIT技術や防災対策などのサービス提供を目指す。
同協定の第1弾となったLINEは渋谷区に本社を置く企業の一つだ。同社は協定が渋谷区の発展につながるだけではなく、同社のコミュニケーションアプリを行政サービスなどで利用されることによる相乗効果にも期待している。今後、コミュニケーションアプリを用いた行政サービスやリテラシー教育に取り組む予定だ。
行政サービスにLINEを取り入れることで、窓口に出向かずに自宅からサービスに関する相談ができたり、妊婦向けに必要な検診を通知したりといった、地域住民の利便性を向上させる環境づくりを目指す。具体的な内容や実施スケジュールは未定だ。
セコムとの協定後初の取り組みとして、今月4日に「SHIBUYA BOSAI FES 2016」を実施した。従来のように1日に行うのではなく、日曜を選んで実施することで、住人だけではなく渋谷区に遊びに来ている人が被災したときを想定した防災訓練とした。今後も安全かつ防災に強い都市づくりを推進する取り組みを行っていく。
セコムの竹内昭彦広報担当は、「これまで社会貢献で行ってきた寄付や協賛は、使用用途が分からないことが多かった。しかし本協定では協働のねらいが明確なため、効果を見える化することができ、社会貢献としての意義が分かりやすい。今後はCSRとしての位置づけだけでなく事業化の可能性も検討している」と話した。
京王電鉄は渋谷区に本社を置かないが、京王線や井の頭線沿線を乗り入れていることもあり、沿線住民にとって魅力ある街づくりを行っていくため協定締結に至った。具体的には、初台・幡ヶ谷・笹塚・本町地区の活性化、子ども食堂の開設や子育て環境の整備にも取り組んでいく予定だ。
渋谷区は今後もさまざまな企業と連携して公民連携で魅力ある街づくりを進めていく。
辻 陽一郎 (つじ・よういちろう)
オルタナ特約記者、NPO新聞代表。フリーライターとして、NPO・NGOやボランティア、ソーシャルベンチャー、企業のCSRなどを中心に取材。