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  • 公開日:2016.09.15
  • 最終更新日: 2025.03.21
オバマ大統領、ハワイを世界最大の海洋保護区に
    • 羽生 のり子

    オバマ大統領が表明したことで「海洋保護」が世界に広がっていくか Image credit:James Watt

    オバマ大統領は8月26日、ハワイの国定海洋保護区域を4倍に拡大し、世界最大の海洋保護区にすると発表した。これにより、保護区域はテキサス州の約2倍の151万平方キロメートルに達する。新保護区域には7000種以上の絶滅危機生物が生息している。商業的な漁や海底採掘などの営利目的の資源搾取は禁止で、地元民の自家消費用の漁は許可される。ハワイ州知事はこの決定を支持している。

    現在のハワイ・パパハナウモクアケア国定海洋保護区域は、2006年にジョージ・W・ブッシュ前大統領が設定し、2010年にユネスコが世界遺産に認定した海域だ。以来、研究が進み、ウミガメなどの絶滅危機生物や4500年以上生息している黒サンゴが、海水の酸化や海温上昇により危機に瀕していることがわかった。

    保護区域拡大を提案したのはブラニアン・シャーツ上院議員(民主党)だが、ハワイ先住民の聖域であることから、先住民のリーダーたちも保護海域拡大をオバマ大統領に要請していた。拡大された海域で、科学調査と先住民の伝統儀式は許可される。

    オバマ政権が2014年に発表した第三回アメリカ合衆国気候アセスメントは、ハワイも気候変動の影響を大きく受けており、海温上昇がマグロの繁殖に不利に働いていると報告している。

    メバチマグロとメカジキを獲るハワイ延縄漁業協会のショーン・マーティン会長は、「アメリカの漁師がアメリカの海域にアクセスするのを永久に禁じるものだ」と、アソシエーテド・プレスに、この決定への不満を表明した。

    しかし、ハワイの延縄漁業船は、2015年8月までに1年分の割り当て量を獲ってしまったが、海洋漁業局が追加で漁獲量を割り当てたことから、環境保護派から、乱獲だと批判を浴びたことがある。

    デービッド・イゲ・ハワイ知事は、8月24日にオバマ大統領に宛てた書簡に「海域改定をめぐり、ハワイで激しい論争が起きたので、賛成派と反対派の意見を聞いた。保護区域拡大で商業的漁業が受ける影響は、漁獲高の6.5%にすぎないと理解している」と書いた。そして「(この措置が)世界の他の海洋のサステナビリティの手本になりうる」と大統領の決定に支持を表明した。

    written by

    羽生 のり子(はにゅう・のりこ)

    環境、エコロジー、農業、食物、健康、美術、文化遺産を主な分野とするジャーナリスト。1991年からフランス在住。環境ジャーナリスト協会、自然とエコロジーのジャーナリスト・作家協会、文化遺産ジャーナリスト協会(いずれもフランス)の会員。共著「世界の田園回帰」(2017年、農文協)。

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