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  • 公開日:2016.09.06
  • 最終更新日: 2025.03.21
エネルギー社会の実現と人々の希望のために―テスラ
    • Hannah Furlong

    2016年3月末に発表されたテスラモデル3。大衆向けで、価格は約400万円。2017年後半には納車が始まる。Image credit: Tesla

    テスラ・モーターズのイーロン・マスク氏は7月20日、新たな事業計画「マスタープラン・パート2」を発表した。同事業計画は2006年8月にまとめた「マスタープラン」よりもさらに高い目標を掲げており、同社の自動車部門の戦略に留まらず、エネルギー生産と貯蔵、シェアリングエコノミーにまで言及している。(翻訳編集=オルタナ編集部 小松遥香)

    同氏は、今から10年前に以下の4つの長期目標を掲げた。

    1. 高級で少量生産の自動車を作る
    2. 「1」の売り上げで、少し価格の安い自動車を中量生産する
    3. 「2」の売り上げで、より安い自動車を大量生産する
    4. 太陽光発電を供給する

    当初、同氏がこの目標を掲げた理由は、テスラ・モーターズを設立した本来の目的が、高級スポーツカーを作ることではないと世間に示すためだ。どんなにかっこいい電気自動車でも、1000万円以上すると誰も手を出さない。テスラが目指すのは、持続可能なエネルギーの台頭を加速させ、より良い未来をつくることだ。

    2006年に掲げた4つの目標はほぼ達成されつつある。マスク氏は以下のような目標を新たに掲げた。

    1.エネルギー:バッテリーと完璧なまでに美しく一体化したソーラーパネルをつくる

    最初に挙げた目標は、エネルギーの生産機能と貯蔵機能を統合させることだ。バッテリーと完璧なまでに美しく一体化したソーラーパネルをつくる。誰もが自分たちで電気をつくり、世界中の人がこの技術を使えるようにしていく。

    これに伴い、マスク氏は自身のいとこが経営する太陽光発電企業のソーラーシティ社をテスラに統合した。これによりパワーウォール蓄電池を世界中に普及し、ソーラーシティは高度に分化した太陽光を供給できる。消費者にとっても、商品を注文し、受け取り、種々のサービスを受ける際も手間が省けて便利だ。

    ただ、この統合に疑問を呈すアナリストや投資家がいるのも事実だ。テスラはすでにソーラーシティとバッテリーの共同開発をしており、ソーラーシティを28億円で買い取ることで借金が増える。実際、買収計画を発表した直後、テスラの株価は下落した。

    2.電気自動車:テスラの電気自動車機能を公共の交通機関にまで広げる

    テスラはこれまでプレミアムセダンとSUVを販売してきた。さらに一般の消費者向けにコンパクトSUVのモデル3を開発中だ。現在、同社が何よりも力を注いでいるのは、工場の生産性を上げること。サステナブルな未来をより早く実現するには、生産性の向上が欠かせない。

    マスク氏は、開発中のものとは別に、重量トラックや大勢の人が利用する都市交通網も電気で走らせる必要があると考えている。「どちらも開発中で、来年にはお披露目できるはずです。テスラのセミトレーラーが完成すれば、貨物輸送のコストは大幅に削減できるでしょう。安全性も増すし、運転するのが楽しくなるでしょう」と話す。

    3.自動運転:人が運転するよりも安全な自動運転機能を開発する

    運転支援システム「オートパイロット」機能を使っていたテスラ車が事故を起こしたことは有名な話だ。しかし、あらゆる非難に臆することなく、テスラは自動運転機能をさらに磨き上げたいと考えている。

    マスク氏は、「オートパイロット機能は正しく使えば、ドライバーが自分で運転するよりも安全なものです。メディアから叩かれることや法的な責任を恐れて、発売時期を遅れさせるのはおかしい話です」と主張する。

    4.シェアリングエコノミー:カーシェアリングで、車の所有者が収入を得られるようにする

    テスラは、自動車を通してシェアリングエコノミーの実現することを目指している。テスラのスマートフォン用アプリを使い、車を使わない時には誰かに貸して、お金を稼ぐこともできる。実際、車の所有者が1日のなかで車を使う時間は全体の5~10%ほどだ。シェアすることで車の所有コストは下げられるし、誰もがテスラを利用できるようになる。

    目的地を設定すればそこに連れて行ってくれる自動運転を実現すれば、アプリ一つで車を呼び出し、シェアすることができる。

    マスク氏は以上の4つの目標を掲げた理由を「サステナブルエネルギー社会の実現を加速させることで、人々がさらに未来について考え、生きていることに希望を持てるようにするため」と説明する。

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